えどことばじてん
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いまとなってはよくわからない江戸ことば。
なんでもないことばの裏にじつはこんな意味が。
その独特の言い回しについて明らかにしていきます。
2025年12月2日現在
■あ行
あいえんきえん【合縁奇縁】親しくなる縁の不思議さよ
あいおいや【相生屋】寛政頃、吉原水道尻にあったそば屋
あいかた【敵娼、合方、相方】相手となる遊女
あいがた【間形】女性用の小型の丸げた
あいくち【匕首】つばのない短刀 =ひしゅ、九寸五分
あいずり【相摺、相棒】共犯者
あいたくちへぼたもち【開いた口へ牡丹餅】諺。いきなり幸運が来る
あいたくちへぼたもち【開いた口へ牡丹餅】ぐうぜん幸運に出会う
あいだな【相店】同じ長屋に住む。相長屋
あいてかわれどぬしかわらず【相手変われど主変わらず】一人が大勢を相手にする
あいにおさえがあるものか【間に押さえがあるものか】酒をさされた際の決まりことば
あいのまくら【間の枕】夫婦
あいのり【相乗り】二人乗り用の人力車
あいはてほん【間は手本】酒の相手をする人の飲みっぷりは他人の手本になる
あいびき【媾曳】男女がひそかに会う
あいぼう【相棒】駕籠かきの片っ方
あおざしごかんもん【青緡五貫文】一両一分(約10万円)
あおなにしお【青菜に塩】しおれる
あおにょうぼう【青女房】顔色が悪い妻
あかいさびみつ【赤井錆光】名刀めかした戯称
あかいわし【赤鰯】錆びた刀
あかいごもんのかみ【赤井御門守】大名
あかぎ【赤城】私娼窟があった。新宿区赤城元町、赤城下町
あがったり【上がったり】どうにもならない
あかにしやけちべえ【赤螺屋吝兵衛】けちん坊
あかめひっぱる【赤目引っ張る】怒ってにらむ。やっきになる
あがりかまち【上がり框】上がり口
あがる【上がる】寄席で芸人が高座に出演する。
あきやでぼうをふる【空き家で棒を振る】人知れず骨を折る
あくば【悪婆】あばずれ。崩れた色気と伝法肌の美しい悪女
あげいた【揚げ板】釘付けされていない台所などの床板
あごあし【顎足】飯代と運賃
あこぎ【阿漕】同じことが度重なる、しつこい、あつかましい
あごはえ【顎蠅】やっと生きている
あさい【浅い】寄席の出番の時間が早い。⇔深い
あさがらばば【麻殻婆】死にぞこないのおばあさん
あさぎうら【浅黄裏】田舎侍
あさまやまふんか【浅間山噴火】天明3年(1783)7月8日の浅間山の大噴火。天明の浅間焼け
あすび【遊び】お女郎買い
あだうち【仇討ち】臼井六郎が一瀬直久を討った明治13年(1880)12月17日の一件が最後
あだじけない【あだじけない】けち
あたはら【疝】腰や下腹部の痛み =疝気
あたぼう【あた坊】当たりめえだ、べらぼうめ
あたりばこ【あたり箱】硯箱 ※忌み言葉
あと【後】寄席で自分の次に出る芸人。その準備具合
あとがない【後がない】寄席で出演する予定の芸人が来ていない。→おあとがよろしい
あなぐら【穴蔵】地下室
あにさん【兄さん】先輩の芸人。上方では「にいさん」。女性は「ねえさん」
あぶりじんじゃ【阿夫利神社】➡大山詣り
あまきん【甘金】寄席でよく笑う客。軽蔑的に。→きんちゃん
あまのじゃく【天邪鬼】へそまがり
あみうちば【網打ち場】松村町(江東区深川福住1丁目)の俗称。「砂打場」の誤記も
あめふりのにわっとり【雨降りの鶏】首をかしげるさま
あやがぬけぬ【綾が抜けぬ】気がかりなことがまだある
あよぶ【歩ぶ】歩く。行く
あらきだ【荒木田】荒木田土。荒川区荒木田あたりの土。土俵用、荒壁や鋳掛けの継ぎ目用に使う
あらもの【荒物】桶、はたき、ほうき、ざるなど
あらものや【荒物屋】荒物を売る店
ありのみ【有りの実】梨 ※忌み言葉
あるへい【有平】有平糖。白砂糖と水飴を煮詰めて作った菓子
ありんすこく【有りんす国】吉原
あわしまさま【淡島さま】淡島神社
あわびのかたおもい【鮑の片思い】恋愛の一方通行
あわもち【粟餅】目黒不動の名物
あんじ【案思】考え。アイデア
あんぺら【筕篖】むしろ
あんぽつ【行ぽつ】上級の駕籠
いいずく【言いずく】言い方
いいださない【飯田左内】言い出さない
いいたて【言い立て】口実。名目。取り立てて言うこと
いいまのふり【いい間の振り】気取る。見え張る
いいわけこわけ【言い訳故訳】いろいろ言い訳するさま
いえくら【家蔵】財産
いえぬし【家主】土地や家屋の管理人
いがくかん【医学館】幕府の漢方医養成所。神田佐久間町の躋寿館が起源
いかもの【偽物】まがいもの
いき【粋、意気】さっぱり、あかぬけ、色気の3つがある状態
いきちょん【粋ちょん】ちょっと粋な
いけずき【いけ好き】とても好き。「いけ」はののしる意の接頭語。「いけずうずうしい」「いけ好かない」「いけまじまじ」
いけつび【いけ𡱖】あそこ。「いけ」はののしる意の接頭語。「𡱖」は女性器
いこう【衣桁】衣類かけ
いこうづく【威光尽く】権威をかさにきる
いごきなき【動き泣き】不平を言いながら働く
いさみ【勇み】男だて
いじばる【意地張る】意地を張る
いじょく【居職】自宅で仕事をする職業。裁縫、印判など
いせのるす【伊勢の留守】伊勢詣での最中に女房が不義をする
いせはら【伊勢原】相模女の地
いせやよそうじ【伊勢屋与惣治】けち。伊勢からの人は質商になるのが多かった
いそのぜんじ【磯の禅師】男舞の祖。静御前の母
いたつき【板付き】獄門首
いたねぶり【板ねぶり】長い茎
いたのまかせぎ【板の間稼ぎ】湯屋での盗み
いち【市】年の市。12月17日、18日の浅草での。川柳の「市」はこれ
いたやのたまあられ【痛やの玉霰】痛い!
いちばんだいこ【一番太鼓】寄席などで開場時に演奏される太鼓
いちまいかんばん【一枚看板】寄席で人気があって一人で多くの客を呼べる芸人。大看板
いちもくおく【一目置く】一歩譲る
いっかんばり【一閑張り】紙張り子に漆塗り
いっこくもの【一刻者】がんこもの
いっちょうら【一張羅】これだけ
いっていじ【一丁字】一個の文字 ➡めにいっていじもなし
いっぷく【一服】一休み 「いつふく」とも
いどちゃわん【井戸茶碗】朝鮮産の抹茶茶碗
いなかものでござい【田舎者で御座い】湯屋で浴槽に入るときに他人をよける挨拶
いなせ【鯔背】勇み肌で侠気ある若者
いなりしんこう【稲荷信仰】倉稲魂神の信仰。農耕、商業、屋敷など。狐が神使
いのひ【亥の日】炉開き。10月玄猪(→厳重、猪の子)の日。炬燵を出してぼた餅を食べる
いはずかたらずわがこころ【云はず語らず我が心】長唄「娘道成寺」の一句
いまどやき【今戸焼】素焼きの土器
いもきゃく【芋客】薩摩藩の遊客
いもでんがく【芋田楽】婿養子が嫁の母とも通じる。親芋と子芋を一串で刺す
いもほり【芋掘り】僧侶の蔑称
いれごみ【入れ込み】混浴の銭湯
いれずみ【入れ墨】元罪人 ➡ほりもの
いろ【情夫】深い関係をもった男
いろづかをにぎる【色柄を握る】廓通いの象徴たる刀の柄を握る→色の道の権威になる
いろはぢゃや【いろは茶屋】上野谷中感応寺門前の私娼窟。寛永寺の僧侶が
いろめかす【色めかす】はでなふるまい
いろもの【色物】寄席で出演少数派の芸。多くは落語以外の漫才、奇術、曲芸など
いんごう【因業】がんこで無情
いんどうをわたす【引導を渡す】とどめの一発を食らわす
うおいち【魚市】芝の雑魚場(本芝と金杉)
うかべる【浮かべる、泛べる】半知半解のまま知ったかぶりをする
うきみをやつす【憂き身を窶す】身も心も
うけちん【受け賃】のろけを聞いた代償。のろけの聞き賃。
うけにいる【有卦に入る】好いことが続く
うけにん【請け人】身元保証人
うざっこい【うざっ濃い】うじゃうじゃ
うしみつ【丑三つ】午前二時
うじゃじゃける【うじゃじゃける】熟れすぎて崩れる。湿ってぐちゃぐちゃする
うしろまく【後ろ幕】襲名や昇進などを祝って贔屓客から送られる幕
うすい【薄い】寄席で客の入りが悪い
うそつきやじろう【うそつき弥次郎】虚言者
うだつがあがらない【梲が上がらない】出世できない
うちのし【内の衆】自分の主人
うちまたこうやく【内股膏薬】節操ない
うつしえ【写し画】享和年間(1801-4)、都屋都楽が作った動く絵
うっつく【美】美しい人、美女
うでいる【鵜で居る】呑み込んでいる
うてんつう【うてん通】通人ぶる人、半可通
うどんげ【優曇華】ありえない
うのめたかのめ【鵜の目鷹の目】懸命にものを探す
うまのほね【馬の骨】氏素性
うみせんやません【海千山千】三流以下の遊女
うらがぶぎょうしょ【浦賀奉行所】船改め(船舶の検査)、海難救助、地方役所、海防の役所
うらをかえす【裏を返す】同じ女とふたたびまみえる
うりのつる【瓜の蔓】兄弟
うわきまいり【浮気参り】物見遊山の参詣
うわばみ【蟒蛇】大酒飲み
うんさい【雲斎】雲斎織り。地を粗く斜めに織った厚い綿布
うんじょう【運上】雑税
うんつく【運尽く】おろかもの
うんどう【運動】明治時代には散歩の意
えいちやごうし【江市屋格子】妾宅で見る窓格子
えさし【餌差】万歳芸の一。太夫が鳥刺し役で才蔵と掛け合いで鳥尽くし歌をうたう
えた【穢多】中世からの民。居住地や職業に制限。皮革業など。1971年、平民に
えちぜん【越前】包茎
えっちゅうふんどし【越中褌】三尺の布に紐を付けた下帯
えどいり【江戸入り】徳川家康が初めて江戸に入った日
えどかいものひとりあんない【江戸買物独案内】江戸の約2600店を紹介するガイドブック
えどござんまい【江戸五三昧】江戸あった代表的な火葬場
えどじっそし【江戸十祖師】日蓮像のある江戸の十寺院
えどしぶみ【江戸渋味】粋に組み込まれる美意識。デザインで語られることが多い
えどすなご【江戸砂子】菊岡沾涼の地誌
えどずびょうぶ【江戸図屏風】寛永期の江戸と近郊を描いた屏風
えどっこ【江戸っ子】頼りにならない
えどはちじゅうはちかしょ【江戸八十八か所】二本榎正覚院から白金台高野寺まで
えどべえ【江戸兵衛】江戸のばか。※上方語。江戸者をばかにした言い方
えどまえ【江戸前】芝や品川あたりの海
えどみやげ【江戸土産】錦絵が一番人気
えどむらさき【江戸紫】江戸名物の一
えな【胞衣】胎児を包んでいた膜と胎盤 埋めた上を最初に通った生き物を嫌う俗信
えほう【恵方】歳徳神のいる方角
えほう【恵方詣り】恵方の神社を参り福徳を祈る
えんにち【縁日】神仏のえにしある日で、参詣すると功徳があるという
おあし【お足】おかね
おあとがよろしい【お後がよろしい】寄席で次に出る芸人が準備に入っている状態。
おいだしだいこ【追い出し太鼓】一日の興行が終わった時に演奏される太鼓。バレ太鼓
おいねえ【負いねえ】手に負えない
おうすっちゃん【おうすっちゃん】どんちゃん騒ぎ
おおかぶり【大被り】大失敗
おおぎり【大喜利】トリの後、一座の噺家が高座で余興をする
おおだな【大店】大商店
おおばん【大判】大型で楕円形の金貨や銀貨
おおみせ【大見世】高級妓楼
おかしらつき【尾頭付き】一尾まるごと
おかしろい【可笑白い】おもしろくておかしい
おかずいれん【陸水練】役に立たない
おかまのだんご【お釜の団子】数が多いだけ
おかもち【岡持ち】食べ物を運ぶ桶 ➡仕出し桶
おかわや【お厠】おまる
おきゃあがれ【おきゃあがれ】よしやがれ
おきょうをよむ【お経を読む】決まり文句を言う
おくにのまつがみえる【お国の松が見える】経済的に一息つく
おくやま【奥山】明治期、浅草公園内の七区のうちの五区の俗称。観音堂北方あたり
おけぶせ【桶伏せ】吉原の私刑の一。未納の遊客を風呂桶にかぶせて路上に放置する
おさきたばこ【お先煙草】他人からもらうたばこ
おしきせ【お仕着せ】決まり切った
おしちや【お七夜】赤ん坊が生まれて七日目の祝い
おしぶち【おしぶち】枷、束縛、お咎め
おしもにござれ【お下に御座れ】座りなさい
おしもの【押し物】おはこ、得意芸
おじゃんになる【おじゃんになる】使いものにならなくなる
おだいもく【お題目】ごたく 文句
おたけ【お竹】日本橋大伝馬町、佐久間家のお竹が大日如来の化身だったという俗説
おだぶつ【お陀仏】お手上げ、万事休す
おたまりこぼし【お溜まり小法師】やりきれない、たまらない
おたらい【おたらい】女性の髪型
おち【おち】落語で終わりを結ぶ言葉。サゲ
おちあいのほたるがり【落合の蛍狩り】妙正寺川と神田川の合流地での名所
おちゃこ【お茶子】上方の寄席の女性従業員。高座返し、客席案内、楽屋の世話など
おちゃとう【お茶湯】仏前へのお茶
おちゃのこさいさい【お茶の子さいさい】かんたん
おちゃっぴき【お茶っぴき】売れない遊女
おちゃをひく【お茶を挽く】花街などで客が来ないで暇
おちよ【お千代】舟饅頭。ぽちゃぽちゃのお千代
おっこち【おっこち】愛人、情人、情夫
おっこちきる【おっこちきる】ぞっこん
おつもり【お積もり】これで終わり
おてちん【お手ちん】からっけつ
おどしゃをかける【お土砂をかける】おべんちゃらをいう
おとみ【弟見】乳飲み子がいるのに妊娠する
おはうちからす【尾羽打ち枯らす】落ちぶれる
おはこ【十八番】得意芸、押し物
おはちがまわる【お鉢が回る】順番が回ってくる
おはやしさん【お囃子さん】下座の人。三味線は女性(おねえさん)、太鼓と笛は噺家
おひざおくり【お膝送り】畳敷きの寄席でみんなが少しずつ詰めて客を入れる
おひねり【お捻り】ご祝儀
おひゃくどまいり【お百度詣り】強い祈願
おひゃる【おひゃる】おだてる、ひやかす
おまつり【お祭り】性交
おめしちりめん【お召縮緬】高貴な人が着た絹織物
おもりもの【お盛物】神仏への供物
おやばかちゃんりん【親馬鹿ちゃんりん】親馬鹿のきわみ
おりかみ【折り紙】保証書
おれくち【折れ口】人の死。葬式
おれこます【折れ込ます】妊娠させる
おろくになった【お六になった】死んだ
おんじゃく【温石】懐炉みたいなもの
おんせん【温泉】明治7年(1873)頃、東京市内に有馬、草津、伊香保を冠する場ができる
おんのじ【御の字】ありがたい、しめた
■か行
かいせんどんや【廻船問屋】荷主と船主の間で積み荷の取り扱いをした業者
かいだんばなし【怪談噺】人情噺の一。幽霊と人との対決をえがく。オチはない
かいちょう【開帳】寺院で特定日に厨子を開けて秘仏を見せる。開龕
かいのくちがねこじゃらし【貝の口が猫じゃらし】だらしがない
かいまき【掻い巻き】袖付き掛け布団
がえん【臥煙】定火消所属の火消し
かがい【花街】色街、遊郭
かがみがいけ【鏡ヶ池】台東区橋場2丁目の北、総泉寺の南。梅若の母が身投げした
かきころばす【書き転ばす】まんまとだます
がく【額】一分銀 ※4枚で1両
かくやのこうこ【覚弥の香々】細かく刻んだ古漬け物
かくらん【霍乱】暑気当たり
かけ【掛け】掛け売り、掛け買いの略
かけおち【駆け落ち】失踪。逐電。走り。出奔
かげきよ【景清】悪い奴
かけこみ【駆け込み】駆け込んで訴える
かけとり【掛取】借金取り
かげのぞき【影覗き、陰覗き】顔を見せる
かけむかい【掛け向かい】夫婦二人だけの生活
かこい【外妾】①囲い者。別宅の女 ②囲い女郎。太夫、天神に次ぐ地位の遊女。鹿恋
かさもりいなり【笠森稲荷】笠森お仙の茶屋は谷中感応寺境内
かし【河岸】①魚河岸 ②吉原の河岸見世(遊郭外側のお歯黒溝に沿った西河岸と羅生門河岸)
かじち 家質 家宅を抵当に入れる
かしほんや【貸本屋】➡品川心中
かしら【頭】その分野の長
かすがい【鎹】二本の材木をつなぎとめる両端の曲がった釘。
かずちゃわん【数茶碗】ありふれた安っぽい茶碗
かぜ【風】扇子。寄席用語
かたくち【片口】片方に注ぎ口のある銚子
かたつきみ【片月見】吉原で8月15日に登楼しながら9月13日に登楼しなかった客の蔑称
がたみつ【がた光】竹光。※武士をあざける意味で
がちぎょうじ【月行事】月交替で事務に当たる
かっつぁき【掻浚】かっぱらい
かなぐそをひる【金糞を放る】金銭上の不始末をする
かなぼうひき【鉄棒引き、金棒引き】おしゃべり。うわさをふれまわる ※「小言幸兵衛」
かのえさる【庚申】その夜はセックス禁止
かみしも【上下】顔を左右に振ることで人物を演じ分ける演出。噺家の基本芸
かみいどこ【髪結い床】かみゆい
かみがた【上方】大阪(大坂)と京都(京)
かみせき【上席】寄席で1か月を10日に区分けして、1~10日をさす
かみて【上手】客席から見て右側。噺家がこちらから見ると目上の人を演じている
かみなりのやまい【雷の病】着た切り雀 ※北鳴り→着たなり
かみばな【紙花】遊里での祝儀。現金代わりに配る小菊紙。1枚で1分銀に引き換える
かみやしき【上屋敷】各大名の江戸での本邸。上と中は幕府から賜る
かめ【洋犬】明治期、飼い犬のこと。カメヤ、カメ犬など
かめいどのがりゅうばい【亀戸の臥竜梅】亀戸の梅屋敷。百花園の新梅荘と並ぶ
かもい【鴨居】上部に渡した溝のある横木 引き戸、障子、襖などの
かわたれ【彼誰】夕方
かをやく【蚊を焼く】蚊帳内の蚊を紙燭(携帯用の照明具)などの火で焼き殺す
かんえいじ【寛永寺】東叡山
かんこうば【勧工場】明治期のスーパー
かんざし【簪】前挿と後挿がある
かんだ【神田】江戸の発祥
かんだじょうすい【神田上水】世界一
かんだみょうじん【神田明神】芝崎
かんどう【勘当】親子の縁を切る ※「火事息子」「船徳」「湯屋番」など
がんにんぼうず【願人坊主】乞食僧
かんはっしゅう【関八州】常陸、下野、上野、武蔵、下総、上総、安房、相模
がんぶろ【雁風呂】浜辺の木を集めた風呂を沸かす風習
かんぼやつす【かんぼやつす】顔かたちがやつれる
きいたふう【利いた風】知ったかぶり
きさらづぶね【木更津船】江戸橋西詰(日本橋の東)の木更津河岸から房総方面に出る船
きしょう【起請】男女が交わした誓紙。「きじょう」とも
きせん【喜撰】上等なお茶
きぞう【木像、木蔵、木造】まだ色気の出ない娘
きたなびる【汚びる】意地悪いふるまいをする けちなふるまいも
きたむらだいぜん【北村大膳】松江藩の家臣。「とんだところへ北村大膳」
きって 【切手】手形。証書
きつねけん【狐拳】相対で拳を使う勝負事。狐は庄屋に勝ち、庄屋は猟師に勝ち、猟師は狐に勝つ
きではなこくる【木で鼻括る】冷ややかな態度。無愛想
きながし【着流し】カジュアル
きぬぎぬ【後朝】情交の後の男女が迎える翌朝
きのえねまち【甲子待ち】語り明かす
きのわるい【気の悪い】性的な刺激を受けてその気になる
きはちじょう【黄八丈】黄色地に茶や黒の縞柄を織り出した絹織物
きぶさい【気塞い】怪しい、疑わしい
きめしき【定式】約束事
ぎゃくえん【逆縁】仏教の教えにそむく。→順縁
きゃきゃ【伽伽】胸がどきどきする
ぎゅう【妓夫】若い衆、牛太郎
きゅうすけ【久助】下働きの男
ぎゅうたろう【牛太郎】若い衆、妓夫
きゅうり【久離】重勘当
ぎょうとくぶね【行徳船】日本橋小網町と下総本行徳を往復する24人乗り定期船
ぎょく【玉】①芸者、遊女。②芸者や遊女の揚げ代(遊興費)
ぎょけい【御慶】新年おめでとう
ぎょうずい【行水】たらいの湯水でからだを洗う
きよもと【清元】清元延寿大夫の浄瑠璃(三味線音楽)。文化以降。道行き濡れ場に
きよもりさん【清盛さん】熱くなっている ※平清盛の熱病(マラリア)からの洒落
きりあい【切り合い】割り勘
きりねた【切りネタ】上方でトリがたっぷり演じる噺。東京ではトリネタ
きりもち【切餅】25両。1分銀を100枚包んだもの
きわめつき【極め付き】①骨董で極め書き(鑑定書)の付いたもの。②確かなもの
きんざ【金座】金貨を鋳造する役所。明治2年(1869)廃止
ぎんざ【銀座】銀貨を鋳造する役所。明治2年(1869)廃止
きんざんじ【径山寺】なめ味噌。浙江省径山寺→紀州湯浅→江戸
きんちゃん【金ちゃん】寄席でのお客。→あまきん
きんとき【金時】金時豆を甘煮た食べ物
くいつき【食いつき】寄席で、中入り後の最初の出番
くがい【苦界】遊女のつらい境遇
くさる【腐る】ぬれそぼつ。びしょびしょになる
くじ【公事】訴訟。裁判
くしゃくにけん【九尺二間】長屋
くすぐり【くすぐり】寄席で、噺の途中で笑いを取るために仕掛けることばや動作
ぐずろべえ【ぐずろ兵衛】ものがゆるい(大工ことば)。矮小な男
くすんごぶ【九寸五分】=匕首
くだりあめ【下り飴】地黄煎を加えた茶色の硬飴。鉋で削って売る
くちっぱたき【口っ叩き】口の達者な人
くちとり【口取り】お茶受け。口取り菓子。お茶の前に出す菓子
くったくらしい【屈託らしい】心配そうな
くぼくみる【くぼく見る】見くびる
くもすけ【雲助】宿場や渡し場で貨客運搬を業とする男。非行者が多い
くりからもんもん【倶利伽羅紋々】
くろっぽい【黒っぽい】玄人(プロ)みたいな
くろもじ【黒文字】爪楊枝
くろをかう【黒を飼う】黒猫を飼う。労咳(肺結核)が治るという俗信から
くわがたけいさい【鍬形蕙斎】浮世絵師。北尾政美。畳屋の三公。1764-1824
けいあん【桂庵 慶庵】江戸期、就職や縁談のあっせん所。慶安、慶庵とも
けいあんばばあ【桂庵婆】お妾のあっせん業。悪質な職業女性の代表格。女衒と並ぶ
けいすけ【傾助】傾城好き
けいせい【傾城】遊郭
けいどう【警動】岡場所や賭場への手入れ
げざ【下座】寄席の囃子方。芝居でも使う
けしからねえ【怪しからねえ】大変な
けしきどる【気色取る】気取る
げじきにする【下直に為る】軽視する
けじめをくう【けじめを食う】ないがしろにされる
げすばる【下司張る】下品
げそ【げそ】寄席で、履物箱
けだし【蹴出し】すそよけ。腰巻の上にかさねてまとうもの
げばさき【下馬先】下馬札が立つ場所。城、寺、神社などの門前。馬から下りる。下馬
けれん【外連】①芝居で俗受け狙いの演技。②ごまかし
げんしろう【源四郎】盗み、ごまかし。席亭が入場料の収入をごまかす
けんだい【見台】高座で使われる小机。主に上方落語で
けんつう【見通】髪が薄い
げんのう【玄翁】鉄製の大つち。玄翁和尚が殺生石を砕いたことから
けんのみ【剣のみ】剣のみね
けんのん【剣難、険吞、剣呑】あぶなっかしい
けんびる【剣菱る】剣菱の酒を飲む
ごいさりまし【御免さりまし】お許しください
こう【講】参詣を目的とした信者の団体。講中
こうか【後架】便所。禅家で僧堂の後ろを架け渡した洗面所の意から
こうがい【笄】髪をかきあげるもの かみがき 箸に似る
こうごう【香合】香箱
ごうこのそう【江湖の僧】曹洞宗の僧
こうざ【高座】噺を演じる舞台。転じて、落語を演じることもさす
こうざがえし【高座返し】寄席で、一席後に座布団をひっくり返す。東京では前座の仕事
こうざせん【高座扇】噺家が高座で使う扇子
こうじょうがき【口上書き】真打ち昇進の引き出物で、幹部や有名人の推薦文
こうしんまち【庚申待ち】寝ずに明かす
ごうぜえもん【郷在者】田舎者
こうばん【香盤】出演表
ごうむね【乞胸】武士→乞食→大道芸人
ごうりき【合力】①ほどこし。②乞食
ごかん【五貫】1両1分
こぎく【小菊】楮原料の手すき紙。鼻かみ用だが、紙花にも用いる
こけらおとし【杮落とし】新劇場の初興行
こけん【沽券】①売り渡しの証文。②売り値 ※沽は売る
ごこくじ【護国寺】音羽の真言宗寺院。元禄5年(1692)、桂昌院による
こししょうじ【腰障子】紙張り障子の下の部分が板張りになっている建具
こしや【輿屋】葬儀屋。嫌われるので大通りにはいない ※輿は棺桶を載せる台
ごぞうろっぷ【五臓六腑】心の中。からだの中
こそで【小袖】袖を小さく袖を丸く縫った衣服
こたつ【炬燵】やぐらを置いてふとんを掛けて暖を取る家具
こづか【小柄】刀の鞘の鯉口の部分にさしそえる小刀の柄
ごとく【五徳】①3人が1か所に集まる。②駕籠屋の符牒。夜駕籠を3挺並べて行く
ごねる【御涅る】人が死ぬ ※御涅槃→御涅る
こびょうし【小拍子】主に上方で小さな柝のようなもの。噺のリズムや効果音に
ごぶもすかぬ【五分も透かぬ】非の打ちどころがない
こまたがきれあがる【小股が切れ上がる】女性のすらりとした粋な姿。小股=性器
こまどめいし【駒止石】大川端の旧松浦邸前(墨田区横網2丁目)の道中にあった丸い石
こまもの【小間物】日用品、化粧品、装身具など
こめびつ【米櫃】①白米を入れておく器。②生活を支える人
こめや【米屋】米を売る人
こもん【小紋】細かい模様を布地面染め出したもの
こより【紙縒り】紙を細く切り縒って紐にしたもの。かみより→こうより→こより
ごろはちぢゃわん 【五郎八茶碗】茶漬けの茶碗。飯椀より大きい
こわいろ【声色】①声の調子。②声まね
こんがらどうじ【矜羯羅童子】不動明王の脇侍
ごんさい【権妻】明治期、お妾の意
こんどのはくらんかい【今度の博覧会】明治10年(1877)8-11月の第1回内国勧業博覧会
ごんぱち【権八】ばくち打ちの食客(いそうろう、用心棒)
こんりんざい【金輪際】①最後まで。②絶対に。あくまで。断じて
こんろ【焜炉】煮炊きに使う手軽な炉。しちりん
■さ行
さいくば【細工場】女陰。※大工の隠語。大工の客は根津が多く、大工隠語と根津が関連する
さいけん【細見】吉原のガイドブック
さいづち【才槌】小型の木槌。才小槌
さいほう【西方】西方極楽浄土
ざいもくや【材木屋】気が多い
さがみおんな【相模女】好色な女、尻軽
さぎさかばんない【鷺坂伴内】『忠臣蔵』での滑稽な敵役。「よいところへ鷺坂伴内」
さげ【さげ】「おち」を見よ
さし【緡】銭の穴に差し通して、百文、四百文、一貫文などをまとめる藁縄。ぜにざし
さしがね【差し金】まがりかね
さしこみ【差し込み】胸や腹部の痛み =癪
さしこ【刺し子】火事装束などに
ざとう【座頭】盲官の最下位。検校→勾当→座頭
さとことば【里言葉】遊女がつかう言葉
さはい【差配】管理人
さらくち【サラ口】寄席の開園直後の時間帯。二つ目の出番あたり
さわりふつか【障り二日】遊女の生理休暇
さんさくのみどころもの 【三作の三所物】目貫き、小柄、笄の刀装具が同じ作者のそろいもの
さんじゃくもの【三尺物】侠客を主人公にした講談。侠客は三尺帯(約90cm)を締める
さんだいばなし【三題噺】三つのお題を使って作られる即席の噺
さんのうごんげん【山王権現】日枝神社の祭神。将軍家の産土神(じのかみ)
さんべんげいこ【三遍稽古】師匠宅に三日間通い続けて、その間に噺を覚えること
さんぼう【三宝】接頭語。「なげやり三宝」「すて三宝」「言いなり三宝」など
さんまい【三枚】三枚肩の略。四手駕籠を三人で担ぐ→急いでいる気配
さんまい【三昧】三昧場の略。墓場、火葬場
しいころばす【強転ばす】飲酒を無理強いする
しいのきやしき【椎の木屋敷】大川端の旧松浦邸(墨田区横網2)の俗称
しいのしょうしょう【四位の少将】深草少将。お人よし
しおだち【塩断ち】塩気のものを一切食べず神仏に願をかける
しか【噺家】噺家、落語家
しかたばなし【仕方噺】身振り手振りをまじえた話。落語、講談
しかのぶざえもん【鹿野武左衛門】江戸落語の祖。仕方噺が得意。1649-99
しきいがかもい【敷居が鴨居】
じくちあんどん【地口行燈】祭礼などに立てる長方形の絵行燈で、地口に絵解きが描かれる
しげる【繁る】男女が仲睦まじい
しこる【しこる】夢中になる
じざいかぎ【自在鉤】囲炉裏の上にぶら下がっている鉤
ししゅく【四宿】➡四宿の屁
じしんばん【自身番】町内の警戒用番所
じだいもの【時代物】①歴史上の事件を題材とした歌舞伎狂言。⇔世話物。②古くさいもの
したじ【下地】①醤油。②基本。③教養
しだしおけ【仕出し桶】➡おかもち
しちみょうねん【七明年】気が長い。待ち遠しい
しちもくれん【しち木蓮】うるさい。めんどう
しちりけっぱい【七里結界】嫌って寄せ付けない際の呪文 ※けっかい→けっぱい→けんばい
じつ【実】①まごころ。②本当に
しっぽく【卓袱】①中国風の食卓。②しっぽく料理。今のおかめそば。享保年間から
しなもの【品者】①美人。あだっぽい女性
じぬし【地主】屋敷持ち
しのびがえし【忍び返し】泥棒よけに塀の上に尖った竹などを並べた仕掛け
しぼ【皺】しわ、でこぼこ
しまだまげ【島田髷】若い女性の髪型
じまわり【地回り】①土地の者。②吉原の者
しまんろくせんにち【四万六千日】浅草観音は7月10日、芝愛宕神は6月24日の参詣日
しめこのうさぎ【占子の兎】①しめた!②絞め殺す③わが手中のもの
しもうたや【仕舞うた屋】①町中で商い以外の収入で生活する人。②格子を入れた家
しもこうせん【下黄泉】冥途
しもせき【上席】寄席で1か月を10日に区分けして、21~30日の10日間をさす
しもて【下手】客席から見て左側。噺家がこちらから見ると目下の人を演じている
しもむら【下村】日本橋両替町(中央区本石町2)の化粧品店、下村山城掾
しゃく【癪】胸や腹の痛み =さしこみ
しゃぐま【赤熊】 縮れ毛でつくった入れ毛
しゃくりあげる【しゃくりあげる】おだてあげる
じゃはすんにしてひとをのむ【蛇は寸にして人を呑む】すぐれた人は幼少から卓越している
じゅうにそう【十二社】新宿町角筈の十二所権現。十二叢とも
じゅうのう【十能】炭火を盛って運ぶ道具
じゅうのじのしりをまげる【十の字の尻を曲げる】質に入れる ※十→七→質
じゅうはちだんりん【十八檀林】浄土宗の関東での道場
じゅうはちにち【十八日】上野両大師(寛永寺開山堂のこと)の縁日。これにかこつけて遊ぶ
じゅばん【襦袢】はだぎ、汗取り、ジバン(gibao ポルトガル語)
しゅび【首尾】密会
しゅらいまけ【集礼負け】集礼(入費、雑用)が多くて商売に失敗すること。費用倒れ
しょうぐんせんげ【将軍宣下】
じょうせき【定席】年中無休で開いている寄席
じょうはりのかがみ【浄玻璃の鏡】
じょうびけし【定火消】幕府方の防火警備
じょうふ【上布】麻の上質な織物 ※「花色木綿」
しょうべん【小便】買う約束を反故にする
しょうれつもない【生連もない】薄情だ
しょきばらい【暑気払い】
しらうお【白魚】
しらかわよふね【白河夜船】
しらみせ【白店】かたぎの商家
しらみひも【虱紐】虱除けの紐。薬液が塗ってあり、腹廻りに結ぶ
しりにはさむ【尻に挟む】問題にしない
しりやけ【尻焼け】飽きっぽい性質
しりをくらう【尻を食らう】とばっちりを食う
しろうま【白馬】どぶろく
しろいくび【白い首】芸者
しろむくでっか【白無垢鉄火】表は上品ぶりながら裏では無頼者。
しんしょう【身上】財産、身代、暮らし向き
じんすけ【甚助】すけべい、やきもちやき
しんぞう【新造】
しんとみちょう【新富町】明治期の新富座(守田座)。新島原遊郭の跡地。島原とも
しんばりぼう【心張り棒】心張りとも。樫の木で作った棒。戸締まりに使う
じんばり【腎張り】好色 淫乱
じんぶつくさい【人物臭い】老成したかんじの。思慮ありげな
しんみち【新道】地主が近隣住人のために所有地でつくった私道。横丁の対語
すえぜん【据え膳】女性が男性に挑む
すえつむはな【末摘花】べにはな、くれない
すけ【助】寄席で、助演。江戸期全般、「助」は協力や助力の意に使われた
すけんつう【素見通】ひやかし専門の廓通
すこびる【すこびる】気取る
すすはき【煤掃き】12月13日の大掃除。煤払い。煤取り →土用掃き
すっぱぬき【素っ破抜き】①いきなり刀を抜く。居合抜き。②人の秘密をあばく
ずない【図ない】横着な
すばこ【寸白】①サナダムシ。②女性の病。①によるものと信じられていた。「すばく」とも
すべた【すべた】女性をののしる語
すぼけ【窄け】包茎
すみかえ【住み替え】主家を替える
すりこぎ【摺古木、摺小木】①あたりぎ。②陰茎。③蔑称。男女とも。④「僧侶」の蔑称
すりばん【擂り半】擂り半鐘の略
すりばんしょう【擂り半鐘】近火の知らせに半鐘を続けざまに打つ
ずるでえ【ずるでえ】てんで
すをかう【酢を買う】いらぬせっかいをする
せいたかどうじ【制多迦童子】不動明王の脇侍
せきてい【席亭】寄席の経営者
せけんのあな【世間の穴】一般には知られていない隠しごと。隠し場所
せこ【勢子】悪い
せちがわれる【せちがわれる】ねだられる。せがまれる
せった【雪駄】竹皮草履の裏に牛革を張ったもの。のちにかかとに鉄を付けた
ぜにかね【銭金】銭は銅貨、金は金貨
せわば【世話場】歌舞伎で、貧家での窮乏、病態、悲惨、愁嘆などを示す場面
せんき【疝気】腰や下腹部の痛み =あたはら
ぜんざ【前座】入門したての噺家
せんざいうり【前栽売り】行商の八百屋 「豆屋」
せんぱっひゃぷ【千八百】大うそ。「千三つ」と「うそ八百」を合わせた語
そういってもらう【そう言ってもらう】店屋ものの注文に
そうこうか、そうごうか【総後架】長屋の共同便所
そうじや【掃除屋】糞尿の汲み取り
そが【曽我】貧乏 ※曽我兄弟が貧しかったことから
そくらをかう【嘱賂を飼う、惣鞍を支う】悪知恵を授ける
そし【祖師】日蓮
そそる【そそる】ひやかして歩く
そっぽ【素頬】顔、頬
そばづえがあたる【傍杖が当たる】とばっちりを食う
それしゃ【其れ者】①専門家。②娼妓。くろうと
ぞろっぺい【ぞろっぺい】着流し。だらしない ※五代目古今亭志ん生の代名詞として
そんりょう【損料】借用料
そんりょうや【損料屋】損料を扱う店
■た行
だいえん【代演】寄席で予定の演者が変更されること
だいこばたけ【大根畑】本郷湯島新町屋の俗称。岡場所の一。円朝の出生地
だいし【大師】①上野寛永寺の両大師(開山堂)。天台宗。②川崎大師。金剛山平間寺。真言宗
だいじんぐう【大神宮】伊勢神宮
だいばね【代バネ】寄席で予定のトリが変更されること
だいみゃく【代脈】医師の弟子が代診すること
だいみょうこうじ【大名小路】江戸名物の一
だいもく【題目】南無妙法蓮華経
だいろくてん【第六天、大六天】他化自在天
たが【箍】桶や樽をつくる竹製の輪
たかがり【鷹狩り】調教した鷹や隼で小動物を捕らえさせる。大鷹狩りは冬、小鷹狩りは呼ぶ
たかじょう【鷹匠】鷹狩りに使う鷹を調教する人
たかば【鷹場】鷹狩りの場所
たからぶねや【宝船屋】元日と二日、駿河半紙の刷り物を売り歩く
たしない【足し無い】少ない
だっそ【脱疽】困った病 ※「粟田口霑笛竹」
たっぱい【答拝】丁重にもてなす
たつみあがり【辰巳上がり】声を甲高く荒げる
たてぜんざ【立て前座】いちばん経験豊富な前座
たてば【建て場、立て場】休み場
たてひき【達引、立て引き】義理を立てる ※「酢豆腐」
たてひょうご【立兵庫】頭上に輪をつくる髪型
たとう【畳紙】厚紙に渋や漆を塗ってたたんで物を入れる。クリアファイル
たなこ【店子】長屋の住人
たなだて【店立て】借家を追い出す
たなちん【店賃】家賃
たなぼた【棚牡丹】思いがけない幸運。棚から牡丹餅
たなもの【店者】商店の番頭や手代など。店の従業員
たのもしこう【頼母子講】互助金融組合 =無尽、無尽講
たぼ【髱】①結髪の後ろの部分で張り出たところ。たぶ。つと。②若い女
たぼをだす【髱を出す】おめかしする。派手なかっこうをする
たまごにめはな【卵に目鼻】色白でかわいらしい顔立ち
だりむくる【だりむくる】泥酔する
だるま【達磨】寄席で、羽織
だるまがえし【達磨返し】髪を後ろに束ね寄せ上に巻き上げる、伝法肌の女の髪型
たれ【垂れ】寄席で、女陰、女性、のろけ
たろう【太郎】①向島の鯉料理店。②男性。陰部が大きい人。③たろ→寄席で、お金
たろしろ【太郎四郎】浄瑠璃界で、ばか、まぬけ
たわけ【田分け、戯気】おろかもの
たんかをきる【啖呵を切る】啖呵=啖火を切る。痰を吹きかけるように相手を痛快に口説く
たんじろう【丹次郎】女性にもてる柔弱な男性
だんない【大事ない】差し支えない
たんばのあらくま【丹波の荒熊】乞食の一種
ちくとんばい【ちくとんばい】少しばかり
ちくてん【逐電】逃げる
ちのみち【血の道】女性の病気
ちゃあふう【ちゃあふう】ぱあになる
ちゃがらはがら【茶殻葉殻】どさくさ
ちゃきちゃき【ちゃきちゃき】女郎に振られる
ちゃくとう【着到】寄席で開演5分前を知らせる二番太鼓。「お多福来い来い」
ちゃけんじょう【茶献上】献上博多帯の茶色のもの
ちゃちゃをつける【茶々を付ける】じゃまする。「ちゃちゃを入れる」とも
ちゃり【ちゃり】滑稽な文句や動作
ちゅうっぱら【中っ腹】腹を立てる。短気。=向かっ腹、むか腹
ちゅうぶ【中風】ちうぶ。中気。脳卒中などの後遺症としての半身不随
ちょうずば【手水場】トイレ
ちょうもく【鳥目】銭 ※「唐茄子屋政談」
ちょうやくにん【町役人】町人身分の役人
ちょうらかす【ちょうらかす】からかう
ちょき【猪牙】猪牙舟。屋根のない小舟。吉原の往来に。猪牙で小便千両
ちょこざい【猪口才】生意気
ちょらちょら【ちょらちょら】でまかせ
ちりからたっぽう【ちりからたっぽう】ことば
ちりめん【縮緬】いちめんに細かなシボを出した絹織物
ちんけ【ちんけ】程度が低い 器量が小さい
ちんちん【ちんちん】鉄瓶の熱さ
ちんちんかもかも【ちんちん鴨鴨】男女のむつまじいさま
つうくつ【通窟】情を通じる
つがもねえ【つがもねえ】とんでもない
つきのよにちょうちん【月の夜に提灯】むだなこと
つきや【搗屋】精米業者。米つきをなりわりとする人。舂屋とも。
つくばい【蹲】蹲踞
つけがあらい【付けが荒い】飲食や色の道にいじきたない
つじばん【辻番】武家地での番所
つつみがね【包み金】100両 小判を100枚包んだもの
つつもたせ【美人局】男女がらみで金品をゆする
つなうちば【綱打ち場】松村町(江東区深川福住1丁目)の俗称。「砂打場」の誤記も
つなぎ【繋ぎ】寄席で、次の出演者がまだ来ないときに長く演じる
つのはず【角筈】①優婆塞。在家で仏門に入った男性。②新宿区新宿1-4丁目あたりの旧地名
つばなれ【つ離れ】寄席で、客の数が10人を超える
つばめる【つばめる】まとめる
つめいん【爪印】親指に朱肉を付けてを印の代わりにする
つらあて【面当て】あてこすり
つるかめつるかめ【鶴亀鶴亀】呪文
で【出】芸者が客席にはべる。「出の紋付」などと言う ※「松と藤芸妓の替紋」
でいでい【でいでい】履物修理 ※その呼び声から
ていらず【手入らず】きむすめ
でおんな【出女】飯盛り
てき【的】①~さん。人名の後に付けて親しみを込める。②あの人
てき【敵】遊里で、客が相手の遊女への呼称。遊女が相手の客への呼称でも使う
てきやく【敵薬】てきぐすり
てけつ【チケット】寄席で、入場券売り場
でたっこ【出たっこ】でたらめ
てっか【鉄火】博打場
てっぽうざる【鉄砲笊】てっぽうかご。竹で粗い目に編んだ円筒形のかご
てつめんぴ【鉄面皮】面の皮があつい
でばやし【出囃子】高座に上がる際に流れる噺家個々の主題曲 ※東京は大正8年から
てめがあがる【手目が上がる】いかさまがばれる
でんぎょう【伝教】蔑意の接頭語。権威者を笑う意。「〇〇伝教」などと ※伝教大師は最澄
てんじん【天神】菅原道真。天満天神の略。天神祭は1月25日
てんすいおけ【天水桶】雨水をためておく防火用の桶。町中の隅々置いた
てんびんぼう【天秤棒】①物を担う棒。②踊りの名。棒づくしの唄に合わせた騒がしい踊り
てんぽう【天保】使えない奴
でんぽう【伝法】無法者
とうがらしをくわせる【唐辛子を食わせる】人をだます
とうざん【唐桟】木綿で平織りにした縞織物
どうしてくりょうさんぶにしゅ【どうして九両三分二朱】泥棒がらみ
どうさんばし【道三橋】道三堀の辰の口から銭瓶橋までの間に架かる橋。初期には遊女がいた
どうしん【同心】30俵二人扶持
とうはちけん【藤八拳】宴席での罰金ゲームの一種。狐拳の発展形。唐八拳とも
とうまる【唐丸】唐丸駕籠の略。罪人を護送する駕籠
とうりゅう【棟梁】「とうりょう」とも
どうろくじん【道陸神】道祖神。くなどの神。さえの神 ※金精神とは違う
とがくしさま【戸隠さま】戸隠神社 ※歯痛に効く
ときあがり【時上がり】雨が一時やむ
どきゅうば【土弓場】楊弓場の天明までの呼び名。ドンカチリ。矢場女がいて売色も
どざえもん【土左衛門】水死人
どさくさ【どさくさ】
としとくじん【歳徳神】その年の福徳をつかさどる神
としま【年増】男は40歳前後、女は20~40歳 狭義には24~30歳
どぞう【土蔵】周囲を槌壁で塗り込めた倉庫
とっつおいつ【とっつおいつ】思案に暮れる =とっつおっつ
とどのつまり【とどのつまり】
どどいつ【都々逸】都々一坊扇歌による
とのさまかみさまさんじょさま【殿様奥様三所様】羽根つき唄の一種
とびじらみ【飛び虱】陰毛に付く毛ジラミ。これが付くと毛を剃る
とまえ【戸前】土蔵の数詞。「蔵の三戸前もある」などと
とみ【富】富くじ。富突き。谷中感応寺、湯島天神、目黒不動は江戸の三富
とみざわちょう【富沢町】鳶沢町。中央区日本橋富沢町。古着屋が並ぶ。富沢町の朝市
とめな【留め名】一門で最高の名前。三遊亭円生、柳家小さん、笑福亭松鶴など
ともらい【葬い】葬式
とやにつく【鳥屋につく】遊女の梅毒療養。休業。髪が抜けるのを鳥の羽抜けになぞる
どや【どや】宿
どよう【土用】夏の18日間
どようはき【土用掃き】夏の大掃除 →煤掃き
どら【どら】道楽、放蕩、怠惰、極道
とられんぼう【取られん坊】遊女にだまされて金を取られる人。「坊」は蔑称
とり【取り】寄席で最後に登場する真打ち
とりねた【取りネタ】上方の「切りネタ」を東京ではこう言う。「切りネタ」を見よ
とりはずす【取り外す】①失禁する。放屁する。②遊女がうっかりしくじる
とりんぼう【取りん坊】①遊女の物を取る人。⇔取られん坊。②ひやかしの客
どろぼう【泥棒】盗み。空き巣より重罪
とんてき【頓的】おっちょこちょい
■な行
な【菜】
ないしょうかんどう【内証勘当】
なおす【直す】遊女との時間を更新する。延長料金を払う
ながいへいすけ【永井兵助】浅草御蔵前の歯磨き売り。長井兵助とも。居合抜きで売る
なかいり【中入り】寄席で、途中の休憩時間。客が来るようにと「仲入り」とも
なかがわごばんしょ【中川御番所】中川の河口で下総や上総を往来する船を検査する役所
なかきり【中喜利】寄席で、中入り直前にやる大喜利
ながさかやき【長月代】月代を剃らずに毛を伸ばしている
なかざわどうに【中沢道二】心学の人
ながじゅばん【長襦袢】着物と同じ丈のはだぎ
なかせき【中席】寄席で1か月を10日に区分けして、11~20日の10日間をさす
ながもち【長持】600文。雲助の符牒
なげし【長押】柱と柱を水平方向にむすぶ横材
なさぬなか【生さぬ仲】義理の親子
なじみ【馴染み】吉原で三度目に登楼した際に遊女に渡す馴染み金
なだてがましい【名立てがましい】有名らしい
ななつすぎ【七つ過ぎ】古びた衣服。時刻の七つ(4時)は盛りを過ぎた時間のため
なぬし【名主】町人の最高位
なまず【鯰】明治期、動物見立ての流行語で役人の意
ならい【東北風】海沿いに吹く冬の寒い風
なるくち【成る口】酒好き
なんぞういん【南蔵院】大鏡山。豊島区高田1丁目の真言宗寺院 ※「乳房榎」
なんりょうにしゅぎん【南鐐二朱銀】8枚で1両
にかい【二階】遊女の店
にがむし【苦虫】噛めば苦いだろうと思わせる想像の虫
にくてい【憎体】にくらしいさま。にくたい。にくて
にしがし【西河岸】吉原の一区画。揚屋町河岸とも。たんに河岸とも
にじゅうろくや【二十六夜】旧暦1月と7月の26日の月待ち。涼みかたがたの行事
にせはん【偽板】海賊版。江戸時代は大罪だった
にっちもさっちも【二進も三進も】どうにも。まったくもって
にっちょうさま【日朝さま】赤坂の円通寺。眼病に効く
ににんぶち【二人扶持】日に玄米1升、年に3石6斗の扶持米。三人扶持なら1.5倍
にばんだいこ【二番太鼓】寄席で、開演5分前を知らせる太鼓。「着到」を見よ
にゃける【若気る】男が女っぽい
にんじょうばなし【人情噺】口承の物語で、落語以外の噺。オチがない
にんじん【人参】高麗人参
にんそくよせば【人足寄場】
ぬかぶくろ【糠袋】石鹸代わり
ぬけさく【抜け作】まぬけ。抜け作左衛門
ぬけまいり【抜け参り】無断でお伊勢参り ※「居残り佐平次」
ぬるいこと【微温い事】なまぬるい
ぬれたそで【濡れた袖】色事をしてしまったからにはそれ以後はいくら色事をしてもかまわない
ぬれてであわ【濡れ手で粟】労せず役を得る。濡れ手で粟のぶったぐり
ぬれぶみ【濡れ文】恋文。ラブレター
ねぎしおぎょうのまつ【根岸御行の松】西蔵院不動堂(台東区根岸、真言宗智山派)の松
ねこばば【猫糞】悪事をして素知らぬ顔をする。猫が糞を砂かけすると素知らぬ顔をするので
ねこれん【芸妓連】明治期、動物見立ての流行語で芸者の意。猫→三味線→芸妓の連想
ねじかかる【捻じ掛かる】食って掛かる
ねずみいらず【鼠入らず】鼠除けの食器棚
ねずみくいぞんぜず【鼠喰存ぜず】質屋の決まりごと ※質屋は鼠の害を保証しない
ねずみなき【鼠鳴き】うれしい 「ねずなき」とも
ねづごんげん【根津権現】公許遊郭は慶応4年(1868)3月。明治21年(1888)7月、洲崎へ
ねん【年】年季
ねん【年期】遊女の年期奉公
ねんあき【年明き】勤めの年季が終わって自由になる。ねんあけ。年が明ける
ねんきぼうこう【年季奉公】
ねんだいき【年代記】時系列に事件を記し、さらには雑多な記述も含めた書物
ねんぶつ【念仏】南無阿弥陀仏
のいたなかでもねえ【退いた仲でもねえ】ほとんど同じ
のうてんき【能天気】軽はずみで向こう見ず。上方語。江戸では宝暦から登場
のしゃばりでる【伸張り出る】しゃしゃりでる
のせる【載せる】①おだてる。②食う
のっぴき【退っ引き】よける。のがれる
のほうず【野放図】傍若無人。横着
のむうつかう【飲む打つ買う】三道楽煩悩
のらくらもの【のらくら者】のらりくらりと過ごす→怠け者→遊び人
のりやのばばあ【糊屋の婆あ】謎の老女
のれんし【暖簾師】田舎風を装い不良品を売る詐欺的な商人
のろま【野呂松】野呂松人形→緑青を吹いた銅杓子→あほう→野暮
のんこのしゃあ【のんこのしゃあ】厚顔無恥
のんこのちゃわん【のんこの茶碗】三代目楽道入の楽焼茶碗
のんのこさいさい【のんのこさいさい】天明~寛政にはやった俗謡
■は行
はいかいうた【俳諧歌】滑稽味のある和歌。「俳諧体」とも
はいせん【杯洗】杯洗い。酒席で他人に酒をさす前に盃をすすぐ器
ばいぼく【売卜】占い
はくちゅう【伯仲】①兄と弟。②せっている。差があまりない
ばくれん【莫連】女性の場合はすれっからし。男性の場合は無頼の者
はけさき【刷毛先】男の髷の先。切りそろえた先端
はこいりむすめ【箱入り娘】
ばしゃてつどう【馬車鉄道】明治15年(1882)6月、新橋-日本橋間。10月、浅草まで
はすのうてな【蓮の台】亡くなった人の座席→死を意味する ※「品川心中」
はたきぬく【叩き抜く】さんざんに
はつてんじん【初天神】1月25日
はつめい【発明】利発
はつめいする【発明する】了解する
はつもの【初物】走り
はなしがめ【放し亀】放生会で放す亀
はなしをあげる【噺を上げる】覚えた噺を高座で演じてもよいか師匠に判断してもらう
はなまたむら【花又村】足立区花畑。鷲明神の酉の市で栄えたが、安永5年から衰退
はなやしき【花屋敷】二つある。①向島寺島、②浅草
ぱのらま【パノラマ】明治23年(1890)5月7日、上野に日本パノラマ館。22日、浅草にも
はめもの【ハメモノ】噺の進行に鳴り物を合わせること
はやしかた【囃子方】拍子をとり、雰囲気を出すための音楽。太鼓、笛、三味線が主
はやりかぜ【流行感冒】はやり風邪→インフルエンザ。明治23年(1890)春、大流行
はらがきた【腹が来た】腹が減った ※「腹が北山」などとしゃれる
はらがけのどんぶり【腹掛けのどんぶり】職人の作業着の内ポケット
はりつけ【磔】死罪の刑罰
はりまぜ【貼り交ぜ】隠元、木庵、即非をよしとする
ばれ【破礼】下品、猥雑
ばればなし【破礼噺】艶笑噺。寄席ではできないのでお座敷や独演会などで演じる
ばれだいこ【破礼太鼓】「追い出し太鼓」を見よ
ばんぐみ【番組】寄席で、出演順序を決めたプログラム。よく変更がある
はんしょうどろぼう【半鐘泥棒】のっぽ
はんじょうをいれる【半畳を入れる】非難する
はんしろうかのこ【半四郎鹿の子】浅葱地に鹿の子絞りで麻の葉模様を描いた染め物
ばんだい【盤台】魚商が使う浅くて大きい楕円形のたらい
ばんたろう【番太郎】木戸の番人
ばんとう【番頭】商家の奉公人のかしら
ばんどうさんじゅうさんかしょ【坂東三十三所】観世音霊場の巡礼
はんにゃとう【般若湯】酒 ※「智水」とも
はんふだ【半札】寄席で、半額割引券
はんみょう【斑猫】鞘翅目の豆斑猫の粉末。発泡剤の原料。毒薬
ひあわい【廂間】路地
ひいろ【緋色】深紅色
ひかげもの【日蔭者】
ひかれもののこうた【引かれ者の小唄】
ひきまど【引き窓】
ひけし【火消】
ひけしやしき【火消屋敷】
ひごのかみ【肥後守】
ひざ【ヒザ】トリの直前の演者。色物が多い。「ヒザ代わり」とも
ひざかくし【膝隠し】上方落語で、見台の前に置く衝立。見台とセットで使う
ひざがわり【膝代わり】寄席で、トリ(主任)の前に出る芸人
ひざまえ【ヒザ前】ヒザ(ヒザ代わり)の直前の演者
ひしゅ【匕首】あいくち=九寸五分
ひぞる【干反る】むくれる
びたいちもん【鐚一文】
ひだるい【ひだるい】ひもじい
ひだりまえ【左前】
ひぢりめん【緋縮緬】緋色に染めた縮緬。長襦袢に
ひつけとうぞくあらため【火付盗賊改】
ひっこしそば【引っ越しそば】
ひっそく【逼塞】
ひってん【ひってん】文なし
ひと【人】面白くもない意「なにひと」「何だひと」「誰がひと」「しと」も同義
ひとすじなわ【一筋縄】
ひとちゃくる【ひとちゃくる】ちょろまかす
ひとめせきゆ【火止め石油】火災の原因となっていた石油の改良品
ひとをいのらばあなふたつ【人を祈らば穴二つ】
ひふきだけ【火吹き竹】
ひまをだす【暇を出す】
ひやかし【素見】
ひゃくしろ【ひゃくしろ】
ひゃくなり【百成り】口うるさい
ひゃくものがたり【百物語】明治44年(1901)、森鷗外の作
ひゃっかにちしきり【百か日仕切り】
ひょうたくれ【ひょうらくれ】ばか
びらした【びら下】寄席で、招待券。招待券で来た客をも
びりつく【びりつく】女性にでれでれする
ひろこうじ【広小路】
ひろちゃく【ひろちゃく】取り散らかす、広げる。例は僅少。 ※牡丹燈籠
ふうらぼう【風羅坊】松尾芭蕉
ふかい【深い】寄席の出番の時間が遅い。⇔浅い
ぶかん【武鑑】大名や旗本のガイドブック
ふくさ【袱紗】方形の絹布
ふくちゃ【福茶】
ふくろもの【袋物】
ぶげん【分限】資産のあること
ふさようじ【房楊枝 房楊子】歯みがきの道具 ※「明烏」
ふじづか【富士塚】➡富士詣り
ぶたいばん【舞台番】
ふださし【札差】
ふだつき【札付き】
ふたなり【二形】両性具有
ぶちころす【打ち殺す】
ふともの【太物】
ふら【ふら】寄席で、芸人が持っている天然の資質
ふり【振り】
ぶりねた【ぶりネタ】上方で言う切りネタをさす。「切りネタ」を見よ
ふるぎや【古着屋】
ぶんきんたかしまだ【文金高島田】島田髷のもとどりを高く巻き上げた髪型
へこおび【兵児帯】
へしと【へしと】どっさり
へっつい【竃】かまど
べらぼう【便乱坊、可坊、箆棒】
ぽいだす【ぽいだす】追い出す
ほうがちょう【奉加帳】寄付金の名簿
ぼうだら【棒鱈】たちの悪い酔っ払い
ぼうはち【忘八】女郎屋。その主人も
ほうろく【焙烙】
ほおがえし【頬返し】
ぼくねんじん【朴念仁】
ほご【反故】
ほぞをかむ【臍を噛む】
ほっこく【北国】吉原
ぼっとりしんぞう【ぼっとり新造】肉感的な娘
ほてくろしい【ほてくろしい】品なく好色な
ぼてふり【棒手振り】行商
ほねがらみ【骨絡み】
ほめきざかり【熱盛り】色気盛り
ほりもの【彫り物】
ほんきん【本金】大判 だいたい10両
ぼんくら【盆暗】
ほんけがえり【本卦還り】還暦
ぼんぼん【ボンボン】江戸では盂蘭盆会に子供たちが手をつないでボンボン唄を歌う
ほんもみ【本紅】ベニハナだけで染めたもみ
■ま行
まいまいつぶろ【舞々螺】
まおとこ【間男】やってはいけない
まきざっぼう【真木撮棒】切ったり割ったりした木片 薪 薪ざっぽう ※「豆屋」
まごだな【孫店】借家をまた借りした家
ますはな【増花】前の女性よりいいかんじの女性 ※「お見立て」
まち【マチ】明治期、マッチのこと。摺附木、擦附木、磨附木、早附木とも
まちかいしょ【町会所】
まちどしより【町年寄】
まちびけし【町火消】
まちぶぎょう【町奉行】
まちや【町家】
まちわり【町割】
まちん【番木鼈、馬銭子】ストリキニーネ。犬の毒殺に使う
まつすぎをうえる【松杉を植える】
まねき【招き】
まび【間日】暇な日。仕事と仕事の間の意から。
まぶ【間夫】愛人
まめぞう【豆蔵】手品や物まねを見せる大道芸人
まるまげ【丸髷】年増の髪型
まわし【廻し】
まわたでくび【真綿で首】
まんだら【マンダラ】寄席で、手ぬぐい
みうけ【身請け】
みかえりやなぎ【見返り柳】
みくだりはん【三行半】
みじんまく【身慎莫】
みずがし【水菓子】
みずや【水屋】
みだし【見出し】寄席で、今演じている芸人の名前がわかる木製の看板
みつわ【三つ輪】三つ輪髷。みつまげ
みところもの【三所物】刀の柄の目貫、小柄、笄
みふたつ【身二つ】
みょうがきん【冥加金】雑税。商工業者が得た利権の見返りで払う税
むいかしらず【六日知らず】
むかえで【迎え手】寄席で出囃子が鳴りメクリが出ただけで客の拍手があること
むかしとったきねづか【昔操った杵柄】
むかっぱら【向かっ腹】わけもなく怒る。=中っ腹、むか腹
むくどり【椋鳥】田舎者
むくのかわ【無患子の皮】ムクロジの皮。泡が立つ
むかしばなし【昔噺】明治期、噺家の語るものすべてをさした
むこうじま【向島】
むしがかぶる【虫が齧る】産気づく
むしけん【虫拳】
むじん【無尽】互助金融組合 =頼母子講、無尽講
むぜっかい【むぜっかい】強引
むぜつげない【無是つ気ない】無慈悲な
むっくに【むっくに】まるで
むねわりながや【棟割長屋】
むねわる【胸悪】
むらはちぶ【村八分】
めがね【万世橋】眼鏡状に見える石造の橋。明治6年(1873)10月完成
めくり【メクリ】寄席で、今演じている芸人の名前がわかる紙製の看板や札
めじろおし【目白押し】
めにいっていじもなし【目に一丁字もなし】字が読めない
めぬき【目貫】刀剣の柄の側面につける飾り金物
めぬり【目塗】蔵の壁穴に泥を塗る 財産焼亡を防ぐ手立て
めのよるところへたまがよる【目の寄る所へ玉が寄る】
めはしをきかせる【目端を利かせる】機転を利かせる
めり【めり】①くいこみ ②挨拶金 ➡生活の美意識 いずれ役立つ
めんつう【面桶】貧者が所持する飯椀 これひとつでなんでも
めんとりこうし【面取り格子】
めんどりすすめておんどりときをつくる【雌鶏勧めて雄鶏時刻を作る】
もうしご【申し子】
もがり【虎落】ゆすり、たかり
もぎどう【没義道】人でなし
もぎり【もぎり】
もじり【もじり】
もちはもちや【餅は餅屋】
もっけ【勿怪】
もっとい【元結】
ものみゆさん【物見遊山】
もみ【紅絹】ベニで無地に染めた絹布。ほんもみ
もみのきれ【紅絹の布】眼病に効くきれ
もやう【舫う】船を岸につなぎとめておく
もんきりがた【紋切り型】一定の形式。おさだまり
もんぴ【紋日】五節句祝日。吉原ではその日の揚げ代金は客がもつ。諸経費入用の日でもあった
■や行
やかたぶね【屋形船】
やきがまわる【焼きが回る】
やきつぎや【焼き接ぎ屋】
やくどし【厄年】
やくばらい【厄払い】
やけぼっくいにひ【焼け木杭に火】
やし【香具師】
やじりきり【家尻切り】蔵や納屋の盗み
やすけ【弥助】握りすし
やぞうをくむ【弥蔵を組む】職人や遊び人の決まりのポーズ ※「二番煎じ」
やっかい【厄介】
やっとう【やっとう】
やとう【夜盗】夜の盗み
やとりおんな【矢取り女】矢場で客に媚びを売る女。矢場女とも
やにさがる【脂下がる】
やぬし【家主】大家さん
やば【矢場、楊弓場】明治期でも奥山、郡代、芝神明前、湯島、根津、淡路町などに
やぶいしゃ【藪医者】
やぶそば【藪蕎麦】雑司ヶ谷の「藪の内」と駒込団子坂の「蔦屋やぶそば」が有名
やまし【山師】
やまのかみ【山の神】
やまのて【山の手】
やもめ【寡婦、鰥夫】
やもり【家守】
やらずぶったくり【やらずぶったくり】
やりて【遣手】
ゆうた【幽太】寄席で、怪談噺のときに幽霊の扮装で出る人
ゆうや【湯屋】
ゆきだおれ【行き倒れ】
ゆげがあがる【湯気が上がる】出世する
ゆすり【強請り】
ゆれる【宥れる】
ゆれる【緩れる】
ゆれる【赦れる、許れる】許してもらう ※「唐茄子屋政談」
よあかし【夜明かし】
よいごしのぜに【宵越しの銭】
よいちかい【余一会】寄席で大の月の31日での興行。一門会など特別興行がある
ようたし【用達】
ようだんす【用箪笥】
よくおんえん【浴恩園】
よこにねる【横に寝る】借金を返さない
よこぼね【横骨】美女の形容詞。「踵がしまって横骨がひっこんだ」。頬骨ではない
よたか【夜鷹】
よたろう【与太郎】でたらめ
よつで【四つ手】
よつめがき【四つ目垣】
よつめや【四ツ目屋】
よぼける【よぼける】老いぼれる
よりき【与力】
■ら行
らお【羅宇】煙管の雁首と吸い口をつなぐ竹
らおや【羅宇屋】羅宇を交換する職人
らしょうもんがし【羅生門河岸】吉原の一区画。河岸とも
りちぎもの【律義者】
りゅういん【溜飲】
りゅうこうしん【流行神】
りょうがえや【両替屋】
りょうけんする【了見する】堪忍する
りょうだいし【両大師】寛永寺の開山堂(慈眼堂)。慈眼(天海)が尊崇する慈恵の二人をまつる
りょうてんびん【両天秤】
りんき【悋気】やきもち
りんしょく【吝嗇】けち
れんがどおり【煉瓦通り】明治期、銀座のこと
れんじゃく【連尺】
ろうがい【労咳】
ろうやくにん【牢役人】囚人の自治組織の中で、官に選ばれる徒刑経験者
ろうやしき【牢屋敷】
ろく【陸】
ろくじ【六字】南無阿弥陀仏
ろくだんめ【六段目】おしまい
ろくぶ【六部】六十六部。回国巡礼
ろっこんしょうじょう【六根清浄】
■わ行
わきまえる【弁える】つぐなう 弁償する
わざくれさんまい【わざくれ三昧】無視する
わかいし【若い衆】わけえし。遊郭で働く男 =夫、牛太郎
わがくこうだんしょ【和学講談所】
わきおうかん【脇往還】
わたりにふね【渡りに船】
わらいえ【笑い絵】春画。閨中秘図
わり【割】寄席で、給金
わりないなか【割ない仲】
わりまえ【割前】
わるあし【悪足】たちの悪い情夫
わるごしらえ【悪ごしらえ】わざと悪者ふうのかっこうをする
わるずいりょう【悪推量】