にせきん【贋金】演目

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廃れた噺ですが、けっこうおもしろいですよ。

別題:錦屋の火事(上方)

【あらすじ】

ころは明治。

大酒飲みで名の通った某士族の家に、出入りの道具屋、金兵衛が、先日売った書画の残金三円を掛け取りにやってくる。

この殿さま、酔うと誰彼かまわずからむ癖があるやっかいな代物で、今日も朝からぐでんぐでんになった挙げ句、奥方や女中を悩ませている。

さっそく標的になった金兵衛、おそるおそる催促するが、殿さまは聞かばこそ。

三円ばかりの金をもらうという料簡だからきさまは大商人になれん、俺はきさまをひいきに思えばこそ金はやれんと、酔いに任せて吹き放題。

のまされるうちに金さんにも酔いが回ってきて、殿さまのためならご恩返しに首でも命でも捨てまさァ、と、言ってしまう。

「その一言に相違なければ、その方にちと頼みがある」
「だからさァ、首でも命でもあげますってのに」

その頼みというのが、実にとんでもないことで、友達が今度、おのおのが珍しいものを持ち寄って楽しむ会を催すことになり、そこで自分も珍物を出品したいが、それについて思い出したのがきさまの金玉。

「きさまのがタヌキ並みであることを知っておるによって、ぜひ切り取って譲ってもらいたい。明朝八時までに持ってくれば、代金五十円やる。いやなら即刻お出入り禁止にする」
ときた。

すっかり酔いが醒めた金兵衛、しどろもどろになったがもう遅い。

泣く泣く、チン物提供を約束させられてしまった。

翌日。

飲み明かして二日酔いの殿さま。

これが昨日のことはすっかり忘れてしまっている。

そこへ、青い顔をした金兵衛がやって来て
「お約束通り、金を切ってきました」

さあ、困ったのは、殿さま。

なにしろ、そんな約束はキレイさっぱり忘れているうえ、こんなものを持ちこまれても外聞が悪い。

しかたがないので、治療代五十円に、借金分兼口止め料三円も付けてようやく帰ってもらったが、そこでつくづく自分の酒乱を反省し、酒をのむたびに五十円の金玉を買ったのではたまらないので、すっぱりと酒を止めると、言いだす。

それにしても気の毒なのは金兵衛、と改めて包みの中をのぞいてみると、これが金玉とは真っ赤ないつわりで、蛸の頭を二つ生ゆでにして毛を刺しただけ。

「あいつめ、五十円ごまかしたな」

それから三日とたたないうちに、金兵衛はお召し捕り。「贋金づかい」というので、お仕置きになった。

底本:二代目(禽語楼)小さん

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【しりたい】

貨幣贋造は厳罰

江戸時代の「公事方御定書」ではもちろん死罪。それが緩和され、死刑の適用範囲が減った明治3年(1870)の「新律綱領」、明治15年(1882)の刑法でも死刑。ビクトリア朝英国でも、アメリカでも縛り首。かっては世界中、どこでも死罪でなかった国はないくらいの重罪で、現在でも死刑を科している国がけっこうあります。

柳家の噺を三遊宗家が復活か

オチの部分は文化4年(1807)刊の笑話本『按古落当世』中の小咄が原話です。

古くから柳家小さん系の噺で、明治24年6月の『百花園』に二代目(禽語楼)小さんが「酒の癖」と題して速記を載せています。上方では「錦屋の火事」の題で演じられていました。

二代目小さん以後、三代目小さん、三代目蝶花楼馬楽と弟子、孫弟子に継承されましたが、三遊系の三代目三遊亭円馬らも演じ、戦後、二代目小さんの速記をもとに六代目円生が復活しました。

禁演落語の一

戦時中「はなし塚」に葬られた53種の禁演落語の一つです。モノがモノなので、艶笑落語という理由ではなく、この非常時に不謹慎な、という自粛もあったでしょう。

【語の読みと注】
公事方御定書 くじかたおさだめがき
按古落当世 あごおとせ

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にわかに【庭蟹】演目

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逃げ噺。高座での時間の調整用。志ん生のが秀逸。テーマは「洒落」。

別題:洒落番頭

【あらすじ】

洒落のわからない、無粋なだんな。

得意先のだんなから、お宅の番頭さんは粋で洒落がうまいとほめられ、番頭に
「おまえさんは洒落がうまいと聞いたが、あたしはまだ洒落というものを見たことがない。ぜひ見せておくれ」
と頼む。

番頭が
「洒落は見せるものではないから、なにか題を出してください」
と言うので、
「庭に蟹が這い出したが、あれはどうだ」
「そうニワカニ(俄に)は洒落られません」

それなら、雨が振り出して、女が傘を半開きにしていくところではどうかと聞くと
「さようで。そう、さしかかっては(=差し当たっては)洒落られません」

だんな、
「主人のあたしがこれほど頼んでいるのに、洒落られないとはなんだ」
とカンカン。

そこへ小僧が来て、ちゃんと洒落になっていることを説明。

だんなは、なんだかまだわからないが、謝まって、ほめるからもう一度洒落てくれと頼むと、番頭、
「だんなのようにそう早急におっしゃられても、洒落られません」
「うーん、これはうまい」

底本:五代目古今亭志ん生

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【しりたい】

ダジャレを集めた逃げ噺

昭和では六代目三升家小勝(1971年没)が時折演じました。三代目三遊亭金馬が自著『浮世談語』中で梗概を紹介しているので、金馬のレパートリーにもあったと思われます。

ダジャレを寄せ集めただけの軽い噺で、小咄、マクラ噺、逃げ噺として扱われることが多く、洒脱で捨てがたい味わいを持ちながら、速記もなく、演者の記録も残りにくい性質のものです。

「洒落番頭」の別題もあるようですが、ほとんど使用例を聞きません。

志ん生の音源で

『志ん生、語る。』(岡本和明編著、アスペクト、2007年)は、家族、門弟、落語界の朋友・後輩たちが五代目志ん生の知られざる、とっておきの逸話を語る貴重なものですが、その付録CDで「小咄二題」として「小僧とぼた餅」とともに「庭蟹」が収録されています。

志ん生の「庭蟹」はこれまで、「化物つかい」のマクラとして音源化されたものはありましたが、まさに「幻の音源」にふさわしい、貴重なものです。

噺の進め方は極めてオーソドックスで、「庭蟹」「さしかかっては…」のダジャレのほか、「ついたて(=ついたち)二日三日」のシャレも入れ、きちんとオチまで演じています。

原話もダジャレの寄せ集め

安永9年(1780)刊の笑話本『初登』中の「秀句」が原話です。

「これは「庭蟹=にわかに」のくだりを始め、ほぼ」現行通りの内容ですが、オチは、下男の十助が茶を持って出て、「だんな、あがりませ」と言うのをだんながダジャレと勘違いし、「これはよい秀句」と言う、たわいないものです。

秀句傘

狂言「秀句傘」に原型があるともいわれます。「秀句」は本来、美辞麗句のことで、のち、テレビの大切りで言う「座布団もの」の秀逸な洒落を意味するようになりましたが、ここでは単なる地口、ダジャレに堕しています。

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ちがいなしのまんなか【違いなしの真ん中】むだぐち ことば

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これもむだぐち? というかんじですが、正確には江戸アクセントで「ちげえねえの真ん中」。「どんぴしゃ」「間違いなし」というのを強調した形です。

このむだぐちは、寛政(1789-1801)から天保(1801-44)にかけてのはやりことば。「……の真ん中」という言い回しは、的中、大当たりという意味で、語意を強調するため、広く使われました。

むだぐちを継ぎ足して「違えねえの真ん中、もうちっと端を行くと、溝へでも落ちるだらう」(人情本『娘太平記操早引』、1837年初編刊)などとからかうことも。

このしゃれををもじったものに「わからないの安中」があります。「真ん中」と上州(群馬県)の安中を掛けた地口です。

【語の読みと注】
安中 あんなか

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だんだんよくなるほっけのたいこ【だんだんよく鳴る法華の太鼓】むだぐち ことば

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現代でもけっこう知られたむだぐちでしょう。情勢がだんだん好転してくるというのを、「なる」→「鳴る」から太鼓の音に引っ掛けたもの。「だんだん」は「どんどん」のダジャレです。

江戸では法華宗(日蓮宗)信者が数多かったので、お題目を唱えながら集団で太鼓を打ち鳴らし、町中を練り歩く姿は頻繁に見られたもの。

「だんだん」には、「ドンツクドンドン」と遠くから法華大鼓の音が聞こえてきて、近づくにつれ徐々に大きく響くさまも含んでいるでしょう。

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たこうはいわれぬえどびんやっこ【高うは言われぬ江戸鬢奴】むだぐち ことば

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「高うは言われぬ」は、歌舞伎や時代劇などで耳にするセリフで、「機密なので大きな声では言えない」ということ。そこで「もそっと近う」とかなんとか江戸家老あたりが腹心の部下か御用商人と膝詰めでよからぬ密談をする、というシーンになります。それを町人が茶化してむだぐちにしたもの。「言われぬ」を「結われぬ」としゃれ、そこから糸鬢を出したものです。

糸鬢は江戸初期の元和(1615-24)頃から流行った髪型で、主に武家奉公の中間や小者が結った髷です。これは月代を広く剃りあげ、鬢を額の方向に細く糸状に残す形。したがって髷は低く寝かせた形になり、「高くは結われぬ」となります。

この髪型の中間が糸鬢奴。「江戸鬢」という呼び方はないので、これは糸鬢奴が江戸独特の風俗だったため、こう言い換えたのでしょう。

【語の読みと注】
結われぬ ゆわれぬ
糸鬢 いとびん
髷 まげ
月代 さかやき
糸鬢奴 いとびんやっこ

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これからさけのだんのうら【これから酒の壇ノ浦】むだぐち ことば

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これから酒宴の段取りにしよう、というのを、源平の壇ノ浦海戦に掛けたもの。

「さけ」は「さき(先)」のしゃれとも取れ、「さあ、これから先は腰を据えて飲もう」という開会宣言と解釈できます。同時に壇ノ浦に掛けて、酒合戦の宣戦布告でもあります。

「酒の段」は芝居がかって、浄瑠璃の章段の区切りである「○○の段」を踏まえ、しゃれたものでしょう。

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ごめんそうめんゆでたらにゅうめん【御免素麺茹でたらにゅうめん】むだぐち ことば

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一応「ごめん」と謝った形ですが、こうまでざれごとを並べ立てたら、謝る気などさらさらないのは見え見え。おそらく子供の軽口でしょう。許されるどころか、逆に大雷が落ちるのは必至です。しゃれとしては、「めん」という韻を重ねただけの他愛ないものですが、むだぐちとしての言葉のリズムはなかなかのもの。

「ごめんそうめん」は、古語の「御免候え」のもじり。「ごめん」のしゃれもなかなか多く、「御免素麺冷素麺」「御免素麺売れたら一銭」「御免茄子おいて南瓜、一服西瓜今日は冬瓜」「御免頂来豆の粉しんちこ」「しからば御免の蒙り羽織」などなど。この中には謝罪というより、「しからば御免」のように、「ちょっと失礼」という意味だけのものも含まれています。受けた相手の逆襲は「五面(=御免)も十面もねえっ」に尽きるでしょう。

【語の読みと注】
御免候え ごめんそうらえ
御免素麺冷素麺 ごめんそうめんひやそうめん
御免茄子おいて南瓜 ごめんなすおいてかぼちゃ
一服西瓜今日は冬瓜 いっぷくすいかきょうはとうがん
御免頂来豆の粉しんちこ ごめんちょうらいまめのこなしんちこ
しからば御免の蒙り羽織 しからばごめんのこうむりはおり

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なめる【なめる】演目

【RIZAP COOK】

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ちょっと色っぽいけど、怪談めいてて。奇妙な噺です。

別題:菊重ね 重ね菊

【あらすじ】

猿若町の芝居が評判なので、久しぶりに見物しようとやって来たある男。

三座とも大入りで、どこも入れない。

ようやく立見で入れてもらい
「音羽屋、音羽屋ッ」
とやっていると、前の升席に十八、九のきれいなお嬢さんが、二十五、六の年増女を連れて見物している。

年増女が男に
「あなたは音羽屋びいきのようですが、うちのお嬢さまもそうなので、よかったら自分たちの升で音羽屋をほめてやってほしい」
と声をかけた。

願ってもないことと、ずうずうしく入り込み、弁当やお茶までごちそうになって喜んでいると、年増女が
「あなた、おいくつ」
と聞く。

「二十二」
と答えると、
「ちょうど良い年回りだ」
と思わせぶり。

聞けば、お嬢さんは体の具合が悪く、目と鼻の先の先の業平の寮で養生中だという。

そこで自然に
「お送りいたしましょう」
「そう願えれば」
と話がまとまり、芝居がハネた後、期待に胸をふくらませてついていくと、大店の娘らしく、大きな別宅だが、女中が五人しか付いていないとのことで、ガランと静か。

お嬢さんと差し向かいで、酒になる。

改めて見ると、その病み疲れた細面は青白く透き通り、ぞっとするような美しさ。

そのうちお嬢さんがもじもじしながら、
「お願いがあるのですが」
と言う。

「ここだ」と思って、お嬢さんのためなら命はいらないと力むと、
「恥ずかしながら、私のお乳の下にあるおできをなめてほしい。かなえてくだされば苦楽をともにいたします」
という、妙な望み。

「苦楽ってえと夫婦に。よろしい。いくつでもなめます。お出しなさい」

お嬢さんの着物の前をはだけると、紫色に腫れ上がり、膿が出てそれはものすごいものがひとつ。

「これはおできじゃなくて大できだ」
とためらったが、お嬢さんが無理に押しつけたから、否応なくもろになめてしまった。

「その見返りに」
と迫ったとたん、表でドンドンと戸をたたく音。

聞くと、
「本所表町の酒乱の伯父さんで、すぐ刃物を振り回して暴れるから、急いでお帰りになった方がよろしい」
と言うので、しかたなく、その夜は引き上げる。

翌朝。

友達を連れて、うきうきして寮へ行ってみると、ぴったり閉まって人の気もない。

隣の煙草屋の親父に尋ねると、笑いながら
「あのお嬢さんのおできが治らないので易者に聞くと、二十二の男になめさせれば治るとのこと。そこで探していたが、昨日芝居小屋でばか野郎を生け捕り、色仕掛けでだましてなめさせた。そいつが調子に乗って泊まっていく、と言うので、女中があたしのところに飛んできたから、酒乱の伯父さんのふりをして追い出した。今ごろ店では全快祝いだろうが、あのおできの毒をなめたら七日はもたねえてえ話だ」
と言ったから、あわれ、男はウーンと気絶した。

「おい、大丈夫か。ほら気付け薬の宝丹だ。なめろ」
「うへへ、なめるのはもうこりごりだ」

底本:六代目三遊亭円生

【RIZAP COOK】

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【しりたい】

宝丹

上野の守田治兵衛商店で、今も販売する胃腸薬です。

別荘、下屋敷、隠居所、遊女の療養所などの総称でした。落語では、たいてい大店のお嬢さんが恋わずらいのブラブラ病で、向島の寮に隔離されます。

猿若町

猿若町は台東区花川戸の北側。いわゆる江戸三座の中村座、市村座、守田座があったことで知られます。江戸三座については、「淀五郎」をご参照ください。

業平

墨田区吾妻橋三丁目の内。昔も今も低湿地帯で、五代目古今亭志ん生ゆかりの「なめくじ長屋」で、落語マニアにはおなじみです。

類話「狸娘」

前半が似た噺に「狸娘」があります。

男二人が、芝居で娘と女中に声をかけられるくだりまでは同じですが、後半は、浅草・花屋敷の常磐屋という料亭で飲み食いした後、女中が「先に帰りますが、今度は、両国亀沢町の自分の実家にお嬢さんをお泊めするから、ぜひ後から来てほしい」と言うので、二人は据え膳だと大喜び。約束の印にと懐中時計(いかにも明治!)を持っていかれ、後で見ると紙入れもないので、かたりだと気付いたときにはもう手遅れ。しばらくして女が警察に挙げられ、「あれは狸穴(まみあな、港区麻布)の狸娘のおきんという評判のワル」と聞かされて、「道理で尻尾を出した」と、オチるものです。

エロ場面はなく、官憲をはばかった「なめる」の改作と思われますが、はっきりしません。こちらは明治中期に、初代三遊亭円左が演じましたが、その後はすたれました。

バレ噺としての演出も

演じようによっては、完全なバレ(ポルノ)になってしまう、キケンな噺です。現に、明治期には、乳房ではなく女陰をなめるやり方もあったそうですから。

別題に「重ね菊」「菊重ね」があります。これは、音羽屋(尾上菊五郎)の紋の一つで、同時にソノ方の意味も掛けているとか。

円生十八番

原話は古く、元禄4年(1691)刊の初代露の五郎兵衛著『露がはなし』中の「疱瘡の養生」です。明治の四代目三遊亭円生から、四代目橘家円蔵を経て戦後は六代目円生が得意としました。現在でも、円生一門によって継承されています。

【RIZAP COOK】

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こまりいりまめさんしょみそ【困り煎り豆山椒味噌】むだぐち ことば

【RIZAP COOK】

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「困り入リ(=困り果て)ました」の「入りま」に「煎り豆」を掛け、さらに豆の縁で、大豆の山椒煮から山椒味噌とつなげた、典型的なむだぐち。

意味は「困った」の一言だけで、以下はすべてしゃれでしかありません。山椒は実が丸くてごろごろしているところから「ころり山椒」の異名があり、そこから「ころりと参った」=なすすべがない、という意味を含ませたのかもしれません。

「困る」のむだぐちも多く、「困った膏薬貼り場がねえ」「困り桐の木」「こまりたこ彦之進」「困り名古屋」「困りの天神」「困りの天満宮」「困り山の重忠」「困るに数の子」と、挙げれば切がありません。最後のは正月料理の「ごまめ」と「困る」のダジャレ。つくづく神代の昔より、憂き世に悩みの種は尽きまじ、ですね。

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こころえたぬきのはらつづみ【心得狸の腹鼓】むだぐち ことば

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心得た、腹に呑み込んだから安心しろというのを、幾分おどけてむだぐちで言ったもの。しゃれとしては、ただ「こころえた」の「た」からたぬきを出しただけ。

「腹鼓」には、胸をたたいて請け合う意味を含めたのでしょう。「心得た」のしゃれことばは多く、ほとんどが同じパターンです。例をいくつか挙げておくと、「心得たんぼ」(「お休みの江に月は入りけり」の解説参照)「心得太兵衛」「心得玉子のふわふわ」「心得太郎兵衛のばばさま」「心得ましたと木綿四手(ゆうしで)の」などなど。むだぐちの締めに「狸の腹鼓」とした例は「面白狸の腹鼓」がありました。

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けんのんさまへつきまいり【剣呑様へ月参り】むだぐち ことば

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将棋ネタで、危うく相手のワナを見破って「あぶないあぶない」というむだぐち。「けんのん(剣呑=危険)」と「かんのん(観音)」を掛けたひどいダジャレです。

観音から月参り、つまり信心の毎月の参詣を出しただけです。「月参り」は、ただことばを整えるための付け足しと思われますが、もう一つ「月」「突き」のしゃれもあるかもしれません。「これからこう駒を突いて、こう参りましょう」と、危機回避から逆襲への意思を示したとも解釈できます。それにしても、こんなダジャレで尊い観音菩薩をダシにするとは、仏罰が当たること間違いなしでしょうね。

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けんじてんのうあきのたの【献じ天皇秋の田の】むだぐち ことば

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「けんじ」は同音異義語で、出典により「見じ」=拝見する、「献じ」=さしあげる、の二通りの意味になります。

どちらにしても「天智天皇」と掛けるしゃれは同じです。そこから、「百人一首」で第一番、天智天皇の歌「秋の田の かりほの庵(いほ)の 苫(とま)をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ」を出しています。この歌は『後撰和歌集』収録です。

「見じ」では「どれどれ拝見」、「献じ」では「一献さしあげましょう」の意味の、気取ったむだぐちになります。通常は「秋の田の」はただの付けたりであることも多いですが、さらに「あき」でしゃれを付け加え、見ていたらあきれた、とする例もあります。

【語の読みと注】
天智天皇 てんじてんのう

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けしがからけりゃとうがらしはひっこむ【罌粟が辛けりゃ唐辛子は引っ込む】むだぐち ことば

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「けしからん」という一喝に対し、まぜっ返しというより、タンカでけんかを売っている感じです。「けしからん」から「芥子が辛い」とダジャレで、「なんだ、芥子が辛くねえだ?あったりめえだい。芥子の実なんぞが辛かったら、トンガラシははだしで逃げださァ」と毒づいています。

「唐辛子は…」以下は出典によって多少変わり、「山椒や蕃椒(=唐辛子)ァ佐渡ィ金堀にでもやるわい」「唐辛子やわさびは株を売って裏店へ引っ込むわえ、べらぼうめ」など。こういう言いたい放題を、無謀にも腕の立つ侍にでも面と向かって浴びせた日には、たちまち首と胴がおさらばするのは必至。「首提灯」のおにいさんがよい教訓です。

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けいまのふんどしはずされぬ【桂馬の褌はずされぬ】むだぐち ことば

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将棋の対局中に、桂馬が前方の二枚の敵駒に両取り、両天秤をかけることを、しゃれて言ったもの。

両取りは二股、両脚を開いて掛けているのといっしょで、どちらかの駒を捨てないかぎり、これは外せません。そこで「股」「脚」から褌としゃれたわけです。別名「吊り褌」とも。で、結局大駒をタダ取りされた上に、次はいきり立った馬に成られて本当に褌が外れ、「金」が出てしまったりするわけで。こうなると踏んだり蹴ったり。

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ぐいちかすざけひげにつく【ぐいち粕酒髭につく】むだぐち ことば

【RIZAP COOK】

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「愚人夏の虫」で出た五二(ぐに)同様、やはり双六博打で、五一(ぐいち)も悪い目。三六とともに、意味のないまったくのカス目で、そこから五一三六=どっちもどっち、どんぐりの背比べという慣用句も生まれました。

しゃれとしては、ぐいちから「ぐい」と酒をあおると掛け、「カス目」から粕酒(=どぶろく)とつなげています。

最後の「ひげ」は、博打で目が出ず「ひけ(=負け)を取る」のダジャレ。やけ酒をあおっても、口の周りや髭に、賽の目同様何の役にも立たない酒粕がくっつくだけ。踏んだり蹴ったりというところでしょう。

【RIZAP COOK】

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ぐにんなつのむし【愚人夏の虫】むだぐち ことば

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双六博打で、賽の目が五二(ぐに)と悪く出たときの愚痴。「ぐに」と「ぐにん」を掛け、格言の「愚人は夏の虫」をそっくりいただいたしゃれです。愚か者は自らわが身を危地に陥れるもの、の意味から、無謀なギャンブルで自分の首を締めたか、という自嘲と取れます。

「夏の虫」は「飛んで火に入る夏の虫」を縮めて付け、ダメ押ししたもの。古く「御伽草子」の大江山酒呑童子の後悔に「ぐにんなつのむし飛んで火に入るとは、今こそ思い知られたり」とあります。同じ状況でのむだぐちに「ぐにくま太郎てて(=父)は藤四郎」とも。

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なきしお【泣き塩】演目

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短い噺ですが、志ん生もやっていました。

別題:当てずっぽう 塩屋 焼き塩(上方)

【あらすじ】

若侍が、往来でいきなり若い娘に声をかけられる。

娘は田舎から出てきて、女中奉公をしているお花。

故郷の母親が病気で心配しているところへ、田舎から赤紙付きの手紙がきたが、自分は字が読めないので、どうか変わりに読んでほしいという、頼み。

侍、さっと手紙に目を通すと
「あー、残念だ。手遅れであるぞ。くやしい。無念じゃ。あきらめろ」

いきなり泣き出したから、お花は仰天。

母親が死んだと思い込み、これもわっと泣き出した。

これを見ていた二人の町人、
「あの二人は一つ屋敷に奉公する小姓と奥女中で人目を忍ぶ仲だが、不義はお家のご法度、ついにバレてお手討ちになるところを奥さまのお情けで永の暇になったんで、女の方が男の胤を宿しちまって、あなたに捨てられては生きていけませんからってんで泣くと、男も、そんならいっしょに死のう、てんで泣いているんだ」
と、勝手なことを言い合う。

そこへ通りかかったのが、天秤を担いだ焼き塩売りの爺さん。

二人を見ると
「もしもし、若い身空でどうなすったんです。あなたもまだお若いお武家さま。あたくしにもあなたと同じくらいのせがれがおりますが、道楽者で行方知れず。親の身で片時も忘れたことはありません。無分別なことをしないで、手前の家にいらっしゃい。決して悪いことは申しません」
と説教しながら、これも泣き出した。

「あそこはきっと泣きどころかもしれねえ」
と、二人が首をかしげていると、お花のおじさんがやってきた。

事情を聞いて手紙を読んでみると、お花の母親は全快し、許婚の茂助が年期明けで、のれん分けしてもらって商売するので、お花を田舎に呼んで祝言するという、めでたい知らせ。

お花は喜んで行ってしまう。

まだ侍が
「残念だ、手遅れだ」
と泣いているので、伯父さんがわけを尋ねると
「それがしは生まれついての学問嫌い。武芸はなに一つ習わぬものはないが、字が読めない。あのお女中に手紙を突きつけられ、武士たる者が、読めぬとは申されぬ。それで身の腑甲斐なさを泣いていたのじゃ」

そばで塩屋の爺さんもまだ泣いている。

「私はね、なにかあると、すぐ涙が出るたちでして」
「へえ、そうかい」
「へい、あたしの商売がそうなんです」

天秤棒を肩に当てると
「泣き塩ォーッ」

底本:初代三遊亭円右

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【しりたい】

円馬、円右から志ん生へ

原話は安永4年(1775)刊の漢文体笑話本『善謔隨訳』中の小咄です。

上方で「焼き塩」の題で演じられていたものを、明治末、三代目桂文団治(1856-1924)の演出をもとに三代目三遊亭円馬が東京に移植。円馬よりはるかに先輩の初代三遊亭円右が「当てずっぽう」の題でよく演じ、同人の死の前年、大正12年(1923)の速記も残ります。昭和初期には七代目三笑亭可楽が「塩屋」の演題で速記を残しましたが、戦後は五代目古今亭志ん生の独壇場でした。

塩屋

江戸時代、塩売りはおもに老人のなりわいでした。この噺に登場する通り、塩を載せた浅いざるを二つ、天秤で担って売り歩きます。天秤ほか、商売道具はすべて借り物なので、元手はかかりません。

焼き塩は、ニガリを多く含む赤穂塩などでは雨の日などにべとべとになるため軽くあぶってさらさらにしたもの。別名を撓め塩ともいい、天文年間(1532-55)に、堺の塩商人、壷塩屋藤太夫が初めて製造販売したとされます。現在でも、スーパーなどで普通に売っています。

壷塩屋藤太夫

現在、台所用の塩壷は施釉製共蓋の粗陶。茶道の茶碗や水指しなどに「塩笥」と称するものがあります。元は朝鮮半島の塩入れであるそうですが、共蓋のものは見当たらないようです。江戸時代に堺あたりから壷に入った焼き塩である「壷塩」をつくり全国に売り出しました。壷の形は同じようなものですが、おおざっぱには筒形をして蓋が付いています。高さは8~10cm、口径は約7.5cm。赤粘土の素焼き煉瓦のような赤褐色。手づくりか型づぐりです。時代によっては蓋や胴の側部にその時期の印が捺されてあります。

堺の船待神社には女院御所より賜った奉書と、奉行の石河土佐守から伊織家への書状を保管しています。船待神社には元文三年(1738)に壷塩屋が寄進した竹公像の画幅があるそうです。裏面に願文があって、元祖藤太夫慶本、二世慶円、三世宗慶、四世宗仁、五世宗仙、六世円了、七世了讃、八世休心、九世藤左衛門の署名と印が残ります。

天文年間(1532-55年)、藤太夫という人が京都の幡枝土器の方法で壷をつくり、塩を大れて堺湊村から売り出し、代々「藤左衛門」と称し「伊織」の呼名を用いました。八代休心の時にはすでに大坂に出店を設け、のちに大坂に移って代々「浪華伊織」と称して、今も焼き塩の製造販売を営業しています。『堺鑑』に初代を藤太郎としているのは「藤太夫」の誤りだそうです。「泉州麻生」「泉州麿生」の印のあるものは伊織家の壷塩を模倣したものであるそうです。

後継者のない噺

志ん生は、この地味な噺をかなり淡々とオーソドックスに演じていました。円右の速記では、女は京屋のお蝶という上方女、場所が石町新道となっているほか、最後に登場して手紙を読む人物は、円右では町役の甚兵衛ですが、志ん生ではその時により無名の人物になったりしました。

受けない、笑いの少ない噺なので、志ん生以後これといった後継者は出ません。上方では、桂米朝が手掛けています。

「手紙無筆」はこの噺の別題ではなく、本来まったくの別話です。

【語の読みと注】
永の暇 ながのいとま
胤を宿す たねをやどす
撓め塩 いためじお

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ぐいちかすざけひげにつく【ぐいち粕酒髭につく】むだぐち ことば

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愚人夏の虫」で出た五二(ぐに)同様、やはり双六博打で、五一(ぐいち)も悪い目。三六とともに、意味のないまったくのカス目で、そこから五一三六=どっちもどっち、どんぐりの背比べという慣用句も生まれました。しゃれとしては、ぐいちから「ぐい」と酒をあおると掛け、「カス目」から粕酒(=どぶろく)とつなげています。

最後の「ひげ」は、博打で目が出ず「ひけ(=負け)を取る」のダジャレ。やけ酒をあおっても、口の周りや髭に、賽の目同様何の役にも立たない酒粕がくっつくだけ。踏んだり蹴ったりというところでしょう。

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くちばかりのいかのしおから【口ばかりの烏賊の塩辛】むだぐち ことば

【RIZAP COOK】

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烏賊の嘴だけで塩辛をこさえたって、食えたもんじゃない、無意味だというところから、口先ばかりの相手ををピシャリ。

「いか」は「いかさま」と掛けていて、インチキ、嘘つきを匂わせています。実際は、動物学的には烏賊に嘴はないのだそうで、俗にそう呼ばれているのは潮の排出部分だとか。それでも、「いかくちばし」は食通には珍重され、中身は干物にすると珍味です。

とまれ、烏賊なら刺身でもなんでもよかったのに、なぜわざわざ塩辛としたのか、「のしおから」の5音が必要だったのですね。「のさしみ」の4音よりも言いやすいわけで、語呂のよさからきています。烏賊が潮や墨を吹き出すように、口から出任せ出放題いう揶揄も隠れているのかもしれません。「しおから」から「トンボ」を連想、トンボには隠語で愚か者、泥棒という意味もあるのでそれを利かせたのか。そこまでいくとうがち過ぎですかね。

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くれはおけやのたなにあり【くれは桶屋の棚にあり】むだぐち ことば

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くれくれとしつこくねだる相手をこれで撃退。「くれ」と、桶の原材料の材木である榑(くれ)を掛けています。「いいかげんにしておけや」と「桶屋」も掛かっているわけです。

榑なら桶屋の仕事場の棚にあるから、「欲しけりゃそこからかっぱらっておけ」というわけ。頼む側も断る側も「くれ」のしゃれはけっこうあり、「くれのかね(暮れの鐘=金をくれと掛ける)」、江戸の地名を出した「榑木河岸(くれきがし)」など。榑木河岸は、旧日本橋榑正町(くれまさちょう)にあった河岸通りで、中央区江戸橋三丁目付近。

この手のしゃれではるか後年のものでは、東京節(1918年)の替え歌の一節で「なににもくれないクレマンソー」というのがありました。ベルサイユ講和会議(1919年)。「クリルくれくれクレムリン」てえのはなかったんですかね。

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そろそろときたやましぐれ【そろそろと北山しぐれ】むだぐち ことば

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「来た」と「北」を掛け、そこから、京都の北山から降りおろす時雨を出しています。

「北山時雨」はポピュラーな冬の季語。昭和初期の小唄勝太郎から現代の川中美幸まで、歌謡曲の歌詞にもけっこう取り上げられています。

ここで厄介なのは、「来た山」としゃれる場合、慣用的に意味が複数あることです。まずは単純明快に誰かがやってきたの意。ただ、「そろそろと」が付く場合、単に「そろそろ待ち人がやってきた」というほかに「やっとこっちの思惑通りになってきた、しめしめ」というニュアンスが加わることがあるので要注意。

次に「腹が来た山」から「急に腹が減った」というスラング。江戸時代には「腹が減った」ことを「腹が来た」と言いました。時雨は予期せず降ることから。

そこからもう一つ「気まぐれ」の異称にもなりました。

次に、同じ「来た」でも、異性に気があること。「あいつは俺にきた山」など。これは「恋心がきざした」ということでしょうが、一説には、京の北山の麓に、昔口寄せの巫女(霊媒)が出没したところから、「口寄せ」→接吻とエロチックな意味が付いたとか。

「北山」のしゃれにはほかに「北山桜」「北山寒烏」「北山の宝心丹」など、これも多数。

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そのてはくわなのやきはまぐり【その手は桑名の焼き蛤】むだぐち ことば

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合点承知之助」や「恐れ入谷の鬼子母神」と並んで、今に生き残るもっとも知られたむだぐちです。「その手は食わない」から東海道桑名と掛け、さらに、ご当地名物の焼き蛤を出しています。「その手」なので、これももともとは将棋からかもしれません。

焼き蛤の代わりに「四日市」「三日市」としている例もありますが、これは土地つながりだけで、しゃれとしての意味はありません。「そうはいかない」の別のむだぐちには、「その手は食わぬ水からくり猿が臼挽き」「その手でお釈迦の団子こねた」などがあります。

「水からくり……」の方は、からくり仕掛けの子供のおもちゃで、猿が噴水の仕掛けで臼を挽くようになっているもの。「からくり」→「魂胆はは見抜かれている」という警告と、「水」→「すべてパアになるからむだなこと」という嘲りを含んでいます。

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そのことあわせにひとえもの【そのこと袷に単衣物】むだぐち ことば

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江戸の古いしゃれことば。もともと、相手の意を受けて「そのこと、そのこと」と、大賛成という意向を即座に伝えるものです。それを重ねことばとせず、着物でしゃれているわけです。

「そのこと」は「布子(ぬのこ)と」という地口。布子は綿入れになった木綿の生地。それを二枚重ねに縫って秋冬用の袷にし、夏用には一枚で裏地なしのひとえものにします。もう一つ、「ことあわせ」は「事合わせ」で、万象のリズムがよく合うこと。動詞で「こと合う」などとも言います。これで、相手への同意と、同時に「合せ=袷」でダブル、すなわち「そのこと」の反復をも示すわけです。なかなか手が込んでいます。

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そうそうへんじょうあまつかぜ【早々返上天津風】むだぐち ことば

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「すぐにお返しします」というだけの実です。名前と自慢の和歌を、後世の江戸の町人どもにもてあそばれた気の毒な例。僧正遍昭の代表歌「天つ風 雲の通ひ路 吹きとぢよ をとめの姿 しばしとどめむ」(古今集)は「百人一首」の一首で、江戸時代の人々には親しまれていました。

出典をいくつか見ると、どうやら盃のやりとりのときのむだぐちのようです。相手に盃をさされて「はい、それでは早速ご返杯」と、今でもよくみられる光景です。特に歌の文句と関連はないようですが、もし「吹き閉じよ」「お止め」で、「はい、もうこれ切り。後の盃はご辞退申します」という心を含ませているのなら、なかなかのしゃれ者です。

【語の読みと注】
僧正遍昭 そうじょうへんじょう:816-90 平安前期の六歌仙の一人

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そうかもんいんのべっとう【そうか門院の別当】むだぐち ことば

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相手の言葉に「そうか」と直接自分で反応しているとも取れます。これもダジャレで、元は「皇嘉門院別当」。この人物は本名、正没年月日未詳で、平安末期の女流歌人。百人一首に撰ばれた「難波江の 葦の仮寝の ひと夜ゆゑ 身を尽くしてや 恋わたるべき」がよく知られていますが、むだぐちとの直接な関連はなく、ただ名前を借りられただけでしょう。ここでも「百人一首」からの拝借です。

「そうかもんいん」は、「そうか、もういい」のダジャレがプンプンにおいます。また「別当」は、ずばり「べっかっこう」(あかんべえ)の、これまたダジャレでしょう。いいように名前をおもちゃにされています。

【語の読みと注】
皇嘉門院別当 こうかもんいんのべっとう

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そういやそうれんぼうずがぼってくる【そういや葬礼坊主が追ってくる】むだぐち ことば

「そう」という返事をさらにまぜっ返したしゃれです。「そう」と「葬礼」を掛け、葬式に付き物の坊主を出したもの。締めくくりに「ぼうず」から「ぼって」と、頭韻でことばのリズムを効かせています。「ぼってくる」は「追ってくる」で、愛知県の方言。むだぐち自体がこの地方のローカルでしょう。

「ぼって」はあるいは、お布施を「ぼる」、高く搾り取るの意味も掛けているのかも。類型としては、「坊主」以下の代わりに「葬式饅頭うまかった」と付けることも。これだといっそうバチ当たりになりますが、「そう」を三回続けることできれいに頭韻がそろい、より快いリズムになっています。

「そう」の揚げ足取りでは、同じ愛知県の「そういやそういやおかっつぁま」も。さらには、「草加越谷千住の先だ」「そううまくは烏賊の金玉」など、それこそ無数にあります。「草加……」は江戸近郊の地名でしゃれたもの。後者は「いかない=烏賊」で、烏賊には金玉がないことから。子供の悪じゃれです。

せきのしみずいなり【急きの清水稲荷】むだぐち ことば

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「急き」と、歌枕の「関の清水」を掛けたもの。気が急く、忙しないということのしゃれです。

関の清水は、蝉丸神社下社(大津市)の社内にかつてあった湧き水。稲荷の祠がありました。この社は、古代から山城と近江の国境、東海道と東山道の分岐点に設けられていた逢坂山の関に隣接し、その守護神社であったもの。そこから俗に「逢坂の関の清水」と呼ばれました。この清水を詠んだ名歌は多く、紀貫之(866-945)の「逢坂の 関の清水に 影みえて 今やひくらん 望月の駒」はよく知られています。

しゃれとしては「関」が付けばなんでもいいわけで、同じ意味で「せき(関)が原」というのもありました。強いて関連を付ければ、関所はどこでも日没の前にはもう閉まってしまうので、旅人は付近で野宿したくなければ、全速力で急がなければならなかった理屈です。

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すこしおそしどう【少し御祖師堂】むだぐち ことば

「遅い(遅し)」と「お祖師」を掛けただけの、きわめて単純明快なしゃれことば。前後の会話の流れで、相手の遅れを軽くとがめたり、逆に自分が遅れた(遅れる)と告げる場合があります。

「お祖師さま」は、日蓮宗の信者が多かった江戸では宗祖の日蓮や同宗派の寺院をさします。「堀之内のお祖師さま(妙法寺)」などが著名です。

単に「祖師堂」という場合には、広く各宗派でそれぞれの宗祖の業績を記念した尊像や位牌などを安置している堂宇(広くは寺そのもの)をさします。中でも禅宗の始祖達磨(円覚)大師を祀った祖師堂をいう場合が多いのでが、江戸では「祖師」といえば「日蓮」と記号化されていますから、すぐに「ああ、日蓮のね」という理解にいたります。

すったこった【すったこった】むだぐち ことば

【RIZAP COOK】

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「すべったころんだ」を短縮したものです。「すぺったころんだ」「すべったりころんだり」とも。愚痴や言い訳めいたつまらない繰り言を、いつまでもぐずぐず並べ立てること。

似た音形のことばに「すったもんだ」があり、これを「すったこった」と同じ意味とする説もありますが、疑問です。

「すったもんだ」は「擦った揉んだ」で、複数の人間が一所に集まって揉めること。無理に関係を付けるとしたら、すったこったと世迷い言を並べる連中が複数集まると、必然的にすったもんだとけんかになるということでしょう。

タカラCanチューハイ(1994年)。宮沢りえの「すったもんだがありました」は流行語大賞に

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すまないのじろうなおざね【済まないの次郎直実】むだぐち ことば

【RIZAP COOK】

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「済まない」と「くまがい(熊谷次郎直実)」を無理に掛けただけのダジャレ。

よく注意すると、これと同レベルのダジャレがもう一つ潜んでいます。1184年3月20日の少年惨殺事件の犯行現場、「須磨の浦(すまのうら)」と「すまない」。油断も隙も敦盛です。「くまがい」のままではいくらなんでもわかりません。一度ダジャレで崩して「済まない」として初めて浮かび上がってくるという、凝ったといえば凝った代物です。

もう一つ、「済まない」は、本来は「許せない」「納得できない」の意味もありますから、前後でどういう状況を受けて言っているかによって、怒っているのか謝っているのか、解釈も変わってきます。

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