【金の下には歩の九太夫】きんのしたにはふのくだゆう むだぐち ことば 落語 あらすじ
成城石井.com ことば 噺家 演目 志ん生 円朝迷宮 千字寄席
これもまた将棋のむだぐち。「寝返ったな」という意味が込められています。
「歩の」から「斧九太夫」の「おの」に掛け、縁の下から覗く寝返った九太夫のさまを「金の下」に掛けているのですが、忠臣蔵のこの段がわからないと、まったく意味不明な難解むだぐちになって、使いようもありません。
意味そのものはあらかたのむだぐち同様、たいしたものではありません。
『仮名手本忠臣蔵』の「七段目 祇園一力茶屋の場」で、敵の高師直方に寝返った、もと塩冶家の次席家老、斧九太夫。大星由良之助が遊蕩にふけっている祇園の茶屋に、その真意を探るべく潜入してきます。
その九太夫、縁の下に隠れ、大星の手紙を盗み見。その場面で義太夫が語る、「縁の下には九太夫が、くりおろす文、月かげに、すかし読むとは神ならず、ほどけかかりし、おかるがかんざし」という章句のもじりがこれです。
そういうわけなので、この場合、自分の金の後ろにあるのは、敵がパチリと投入した、「寝返った」歩なのでしょう。