知りたくなる!故事成語のあらすじ


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「呉越同舟」「臥薪嘗胆」「四面楚歌」……。ことばの奥に潜む物語が四字熟語の魅力です。物語の意味を知り改めて四文字の結びつきや組み立ての深淵や芳醇を感じることが四字熟語のおもしろさ。中国では「故事成語」といいます。落語にも通底する魅力です。ここでは、仏教由来、中国由来、和製の故事成語、さらには名言名句にまで材を求めて、古人の知恵と笑いをさぐってみましょう。2024年7月2日現在。

あいえんきえん【合縁奇縁】人と人の交わりは不思議な縁によるもの

あいきこつりつ【哀毀骨立】親しい人が亡くなって、悲しくて痩せてしまった

あいきゅうおくう【愛及屋烏】→愛は屋烏に及ぶ

あいこうへんや【哀鴻遍野】難民であふれる

あいごせいもく【相碁井目】実力というものは人さまざま

あいぞうのぬし【愛憎の主】→余桃の罪

あいはおくうにおよぶ【愛は屋烏に及ぶ】人を好きになると周辺にも愛情が及ぶ

あいべつりく【愛別離苦】愛するものと別れる苦しみ

あいまいもこ【曖昧模糊】ぼんやりしていてはっきりしない

あいれんのせつ【愛蓮の説】→蓮は花の君子なる者なり

あうんのいき【阿吽の息】なにかをするときの互いの微妙な調子や気持ちの釣り合い

あおいろといき【青色吐息】弱ったときにでるため息

あおはあいよりいでてあいよりもあおし【青は藍より出でて藍よりも青し】→出藍の誉

あきたかくうまこゆ【秋高く馬肥ゆ】

あくいあくじき【悪衣悪食】質素な暮らしぶり

あくいんあっか【悪因悪果】悪い行いには悪い報いがつく

あくぎゃくむどう【悪逆無道】人の道に背く行い

あくじせんり【悪事千里】悪い行いはすぐに世間に知れる

あくせんくとう【悪戦苦闘】苦しいたたかい

あくにんしょうき【悪人正機】悪人こそ往生するにふさわしい

あくふはか【悪婦破家】心がけの悪い奥さんは家庭を壊す

あくぼくとうせん【悪木盗泉】困っていても他人に怪しまれる行いはしない

あこうのさ【阿衡の佐】名臣が政治を補佐する

あしたにみちをきかばゆうべにしすともかなり【朝に道を聞かば夕に死すとも可なり】

あたらしんみょう【可惜身命】命を大切にする

あつあくようぜん【遏悪揚善】悪を防ぎ、善を用いる

あつうんのきょく【遏雲之曲】雲も立ち止まるほどのすばらしい音楽

あっこうぞうごん【悪口雑言】悪口を言い放題

あつものにこりてなますをふく【羹に懲りて膾を吹く】

あてがいぶち【宛行扶持】一方的に決めた給料

あとぶつ【阿堵物】お金

あびきょうかん【阿鼻叫喚】むごたらしい

あめいせんそう【蛙鳴蝉噪】がやがや

あやうきことるいらんのごとし【危うきこと累卵の如し】

あやのあがん【阿爺の下頷】愚か者

あやまちてあらためざるこれをあやまちという【過ちて改めざる是を過ちと謂う】

あやまてばすなわちあらたむるにはばかることなかれ【過てば則ち改むるに憚ること勿れ】

あゆついしょう【阿諛追従】おもねりこびる

あゆべんねい【阿諛便佞】おもねり口先で立ち回る

あらたにもくするものはかならずかんむりをはじきあらたによくするものはかならずころもをふるう【新たに沐する者は必ず冠を弾き新たに浴する者は必ず衣を振るう】

あんうんていめい【暗雲低迷】穏やかならぬ状態が長く続く

あんえいのこきゅう【晏嬰の狐裘】倹約する

あんきょらくぎょう【安居楽業】落ち着いて好きな仕事ができる

あんこうそえい【暗香疎影】春の夕暮れ

あんしのぎょ【晏子の御】他人の権威におんぶして偉ぶる

あんしゃほりん【安車蒲輪】老人をもてなす

あんしょうのぜんじ【暗証の禅師】教理に暗い僧侶

あんじんりゅうめい【安心立命】天命にまかせ心の乱れがない

あんせんしょうじん【暗箭󠄀傷人】闇討ち

あんたくせいろ【安宅正路】仁と義とは安らかな家と整理された道

あんちゅうひやく【暗中飛躍】人知れずしのんで活躍する

あんちゅうもさく【暗中摸索】手探りで試みる

あんねいちつじょ【安寧秩序】社会に不安なく整然とした状態

あんぶんしゅき【安分守己】本文を守って生きる

いあくのしん【帷幄の臣】参謀

いいきのき【異域の鬼】客死

いいせいい【以夷制夷】外国同士を戦わせて自国を守る

いいだくだく【唯々諾々】人の言いなり

いいれんれん【依依恋恋】恋しくて離れられない

いおうえきぎょう【易往易行】念仏だけでたやすく往生できる

いかいくんとう【位階勲等】功績ある者に国家が与える栄典

いかんせんばん【遺憾千万】残念でたまらない

いかんそくたい【衣冠束帯】大げさな礼装

いきけんこう【意気軒高】元気はつらつ

いきじじょ【意気自如】いつもと同じく平然としている

いきしょうちん【意気消沈】しょげている

いきしょうてん【意気衝天】意気込みがさかん

いきそそう【意気阻喪】やる気なし

いきとうごう【意気投合】互いの心が通じ合う

いきようよう【意気揚揚】得意で誇らしげ

いきんかんきょう【衣錦還郷】出世し富や地位を得て故郷に戻る

いきんのえい【衣錦の栄】故郷へ錦を飾れるほまれ

いくえい【育英】

いくいくせいせい【郁郁青青】草木が香りよく青々と茂る

いくどうおん【異口同音】多くの人の意見が一致する

いげんのはい【韋絃之佩】おのれの性格の欠点をただすための戒め

いこくじょうしょ【異国情緒】外国の雰囲気が漂う

いこみき【已己巳己】互いに似ている

いしきもうろう【意識朦朧】意識がしっかりしない

いしにくちすすぎながれにまくらす【石に漱ぎ流れに枕す】

いしにたつや【石に立つ矢】→桃李言わざれども下自ら蹊を成す

いしはくじゃく【意志薄弱】自分でけ決められない

いしべきんきち【石部金吉】融通が利かない人

いしゅうばんさい【遺臭万載】悪い評判を後世までのこす

いじゅこううん【渭樹江雲】遠方の友を思う

いしょうさんたん【意匠惨憺】工夫をこらす苦心

いしょくたりてれいせつをしる【衣食足りて礼節を知る】

いしょくどうげん【医食同源】医療と食事は元は同じ

いしんでんしん【以心伝心】ことばに出さずとも互いの思いが伝わる

いたいどうしん【異体同心】→一心同体

いだてんそう【韋駄天走】足が速い

いたんじゃせつ【異端邪説】よこしまな考え

いちいせんしん【一意専心】そのことだけに心をくだく

いちいたいすい【一衣帯水】川や海を隔てながらも近接している

いちいんいったく【一飲一啄】自由に生きる

いちおういちらい【一往一来】行ったり来たり

いちげつさんしゅう【一月三舟】仏の教えも人によってさまざま

いちげいいちのう【一芸一能】得意とする技芸や技能を一つ持っている

いちげんこじ【一言居士】ひとこち言っておかなくてはおさまらない人

いちごいちえ【いちごいちえ】一生に一度の出会い

いちごいちじゅう【一伍一什】始めから終わりまで

いちごみょうち【一牛鳴地】距離が近い

いちじせんきん【一字千金】

いちじつさんしゅう【一日三秋】

いちもうだじん【一網打尽】

いちようおちててんかのあきをしる【一葉落ちて天下の秋を知る】

いちようらいふく【一陽来復】

いつをもってろうをまつ【佚を以て労を待つ】

いっきょしゅいちとうそく【一挙手一投足】

いっけんかたちにほゆればひゃっけんこえにほゆ【一犬形に吠ゆれば百犬声に吠ゆ】

いっしょうこうなってばんこつかる【一将功成って万骨枯る】

いっしんどうたい【一心同体】

いっすいのゆめ【一炊の夢】

いったんのしいっぴょうのいん【一箪の食一瓢の飲】

いっていじをしらず【一丁字を識らず】

いっぱいちにまみる【一敗地に塗る】

いっぴんいっしょうをおしむ【一嚬一笑を愛しむ】

いっぷかんにあたればばんぷもひらくなし【一夫関に当たれば万夫も開く莫し】

いつぼうのあらそい【鷸蚌の争い】→漁父の利

いちもってこれをつらぬく【一以て之を貫く】

いのちながければすなわちはじおおし【寿ければ則ち辱多し】

いのなかのかわずたいかいをしらず【井の中の蛙大海を知らず】

いばしんえん【意馬心猿】

いへんさんぜつ【葦編三絶】

いんがおうほう【因果応報】善行には善報が、悪行には悪報が

がんこうしはい【眼光紙背】文字づらばかりか文章の深意を知る

がんこうしゅてい【眼高手低】口ほどにもない 談志

かんしょうばくや【干将莫邪】伝説的な名剣

きゅうぎゅうのいちもう【九牛一毛】取るに足りない

けいぐんのいっかく【鶏群一鶴】凡人の中に一人傑物がいる

こうこうのしつ【膏肓の疾】不治の病

こうてんしんなくただとくをこれたすく【皇天親なく惟徳を是輔く】天は徳人を助ける

しゅつらんのほまれ【出藍の誉】

せきあくのよおう【積悪余殃】悪を積んだ家ではその悪報が子孫に

せきぜんのよけい【積善余慶】善を積んだ家ではその余徳が子孫に

ぜんいんぜんか【善因善果】よい原因にはよい結果が

そうじょうのじん【宋襄の仁】いらぬ気遣い

たざんのいし【他山の石】他人の悪行を見て自己の向上を図る

ちみもうりょう【魑魅魍魎】化け物いろいろ

ちんけんへいも【椿萱並茂】両親が健在

はすははなのくんしなるものなり【蓮は花の君子なる者なり】

ゆうずうむげ【融通無碍】のびのび 志ん生

ようしほうこう【雍歯封侯】部下を安心させるには嫌いな者をまず抜擢する

よとうのつみ【余桃の罪】

参考文献:『中国故事物語』(後藤基巳ほか編、河出書房新社、1972年)、『中国名言物語』(寺尾善雄著、河出書房新社、1972年)、『日本故事物語』(池田弥三郎著、河出書房新社、1967年)、『中国の故事と名言五〇〇選』(駒田信二ほか編著、平凡社、1975年)、『新明解四字熟語辞典』(三省堂編修所編、三省堂、2010年)、『岩波四字熟語辞典』(岩波書店辞典編集部編、岩波書店、2002年)、『大漢和辞典 修訂第二版』(諸橋轍次編、大修館書店、1989-90年)



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