故事成語のあらすじ 目次

成城石井.com  ことば 噺家  演目 志ん生 円朝迷宮 千字寄席 むだぐち

「呉越同舟」「臥薪嘗胆」「四面楚歌」……。ことばの奥に潜む物語が四字熟語の魅力です。物語の意味を知り改めて四文字の結びつきや組み立ての深淵や芳醇を感じることが四字熟語のおもしろさ。中国では「故事成語」といいます。落語にも通底する魅力です。ここでは、仏教由来、中国由来、和製の故事成語、さらには名言名句にまで材を求めて、古人の知恵と笑いをさぐってみましょう。2024年9月7日現在。

成城石井.com  ことば 噺家  演目 志ん生 円朝迷宮 千字寄席

あいえんきえん【合縁奇縁】人と人の交わりは不思議な縁によるもの

あいきこつりつ【哀毀骨立】親しい人が亡くなって、悲しくて痩せてしまった

あいきゅうおくう【愛及屋烏】→愛は屋烏に及ぶ

あいこうへんや【哀鴻遍野】難民であふれる

あいごせいもく【相碁井目】実力というものは人さまざま

あいぞうのぬし【愛憎の主】→余桃の罪

あいはおくうにおよぶ【愛は屋烏に及ぶ】人を好きになると周辺にも愛情が及ぶ

あいべつりく【愛別離苦】愛するものと別れる苦しみ

あいまいもこ【曖昧模糊】ぼんやりしていてはっきりしない

あいれんのせつ【愛蓮の説】→蓮は花の君子なる者なり

あうんのいき【阿吽の息】なにかをするときの互いの微妙な調子や気持ちの釣り合い

あおいろといき【青色吐息】弱ったときにでるため息

あおはあいよりいでてあいよりもあおし【青は藍より出でて藍よりも青し】→出藍の誉

あきたかくうまこゆ【秋高く馬肥ゆ】

あくいあくじき【悪衣悪食】質素な暮らしぶり

あくいんあっか【悪因悪果】悪い行いには悪い報いがつく

あくぎゃくむどう【悪逆無道】人の道に背く行い

あくじせんり【悪事千里】悪い行いはすぐに世間に知れる

あくしょうなるをもってこれをなすことなかれ【悪小なるをもってこれをなすことなかれ】悪事はだめ

あくせんくとう【悪戦苦闘】苦しいたたかい

あくにんしょうき【悪人正機】悪人こそ往生するにふさわしい

あくふはか【悪婦破家】心がけの悪い奥さんは家庭を壊す

あくぼくとうせん【悪木盗泉】困っていても他人に怪しまれる行いはしない

あこうのさ【阿衡の佐】名臣が政治を補佐する

あしたにみちをきかばゆうべにしすともかなり【朝に道を聞かば夕に死すとも可なり】

あたらしんみょう【可惜身命】命を大切にする

あたらずといえどもとおからず【中たらずといえども遠からず】いい線いってる

あつあくようぜん【遏悪揚善】悪を防ぎ、善を用いる

あつうんのきょく【遏雲之曲】雲も立ち止まるほどのすばらしい音楽

あっかん【圧巻】最高!

あっこうぞうごん【悪口雑言】悪口を言い放題

あつものにこりてなますをふく【羹に懲りて膾を吹く】失敗の懲りて臆病に

あてがいぶち【宛行扶持】一方的に決めた給料

あとぶつ【阿堵物】お金

あびきょうかん【阿鼻叫喚】むごたらしい

あみどんしゅうのうおをもらす【網呑舟の魚を漏らす】法が緩くて

あめいせんそう【蛙鳴蝉噪】がやがや

あやうきことあさつゆのごとし【危うきこと朝露のごとし】命があやうい

あやうきことるいらんのごとし【危うきこと累卵のごとし】不安定で危ない

あやのあがん【阿爺の下頷】愚か者

あやまちてあらためざるこれをあやまちという【過ちて改めざる是を過ちと謂う】

あやまてばすなわちあらたむるにはばかることなかれ【過てばすなわち改むるに憚ることなかれ】

あゆついしょう【阿諛追従】おもねりこびる

あゆべんねい【阿諛便佞】おもねり口先で立ち回る

あらたにもくするものはかならずかんむりをはじきあらたによくするものはかならずころもをふるう【新たに沐する者は必ず冠を弾き新たに浴する者は必ず衣を振るう】

あんうんていめい【暗雲低迷】穏やかならぬ状態が長く続く

あんえいのこきゅう【晏嬰の狐裘】倹約する

あんきょらくぎょう【安居楽業】落ち着いて好きな仕事ができる

あんこうそえい【暗香疎影】春の夕暮れ

あんしのぎょ【晏子の御】他人の権威におんぶして偉ぶる

あんしゃほりん【安車蒲輪】老人をもてなす

あんしょうのぜんじ【暗証の禅師】教理に暗い僧侶

あんじんりゅうめい【安心立命】天命にまかせ心の乱れがない

あんせんしょうじん【暗箭󠄀傷人】闇討ち

あんたくせいろ【安宅正路】仁と義とは安らかな家と整理された道

あんちゅうひやく【暗中飛躍】人知れずしのんで活躍する

あんちゅうもさく【暗中摸索】手探りで試みる

あんねいちつじょ【安寧秩序】社会に不安なく整然とした状態

あんぶんしゅき【安分守己】本文を守って生きる

いあくのしん【帷幄の臣】参謀

いいきのき【異域の鬼】客死

いいせいい【以夷制夷】外国同士を戦わせて自国を守る

いいだくだく【唯々諾々】人の言いなり

いいれんれん【依依恋恋】恋しくて離れられない

いおうえきぎょう【易往易行】念仏だけでたやすく往生できる

いかいくんとう【位階勲等】功績ある者に国家が与える栄典

いかんせんばん【遺憾千万】残念でたまらない

いかんそくたい【衣冠束帯】大げさな礼装

いきけんこう【意気軒高】元気はつらつ

いきじじょ【意気自如】いつもと同じく平然としている

いきしょうちん【意気消沈】しょげている

いきしょうてん【意気衝天】意気込みがさかん

いきそそう【意気阻喪】やる気なし

いきとうごう【意気投合】互いの心が通じ合う

いきようよう【意気揚揚】得意で誇らしげ

いきんかんきょう【衣錦還郷】出世し富や地位を得て故郷に戻る

いきんのえい【衣錦の栄】故郷へ錦を飾れるほまれ

いくえい【育英】

いくいくせいせい【郁郁青青】草木が香りよく青々と茂る

いくどうおん【異口同音】多くの人の意見が一致する

いげんのはい【韋絃之佩】おのれの性格の欠点をただすための戒め

いこくじょうしょ【異国情緒】外国の雰囲気が漂う

いこみき【已己巳己】互いに似ている

いしきもうろう【意識朦朧】意識がしっかりしない

いしにくちすすぎながれにまくらす【石に漱ぎ流れに枕す】負け惜しみ

いしにたつや【石に立つ矢】→桃李言わざれども下自ら蹊を成す

いしはくじゃく【意志薄弱】自分でけ決められない

いしべきんきち【石部金吉】融通が利かない人

いしゅうばんさい【遺臭万載】悪い評判を後世までのこす

いじゅこううん【渭樹江雲】遠方の友を思う

いしょうさんたん【意匠惨憺】工夫をこらす苦心

いしょくたりてえいじょくをしる【衣食足りて栄辱を知る】余裕が出ると気を配れる

いしょくどうげん【医食同源】医療と食事は元は同じ

いしんでんしん【以心伝心】ことばに出さずとも互いの思いが伝わる

いたいどうしん【異体同心】→一心同体

いだてんそう【韋駄天走】足が速い

いたんじゃせつ【異端邪説】よこしまな考え

いちいせんしん【一意専心】そのことだけに心をくだく

いちいたいすい【一衣帯水】川や海を隔てながらも近接している

いちいんいったく【一飲一啄】自由に生きる

いちおういちらい【一往一来】行ったり来たり

いちげつさんしゅう【一月三舟】仏の教えも人によってさまざま

いちげいいちのう【一芸一能】得意とする技芸や技能を一つ持っている

いちげんこじ【一言居士】ひとこち言っておかなくてはおさまらない人

いちごいちえ【いちごいちえ】一生に一度の出会い

いちごいちじゅう【一伍一什】始めから終わりまで

いちごみょうち【一牛鳴地】距離が近い

いちじせんきん【一字千金】価値ある文字や文章

いちじつさんしゅう【一日三秋】待ち焦がれる

いちじつのちょう【一日の長】経験や技能がちょっとまさる

いちじつへんし【一日片時】わずかの時間

いちじふせつ【一字不説】釈迦は真理を説いていない

いちじほうへん【一字褒貶】一字の使い方次第で褒めたり貶したりする

いちじゅういっさい【一汁一菜】粗食

いちじゅのかげ【一樹の陰】このかかわりは前世から因縁による

いちじょうのしゅうむ【一場の春夢】人生の栄華ははかない

いちじりゅうこう【一時流行】時流に応じて変化する俳句

いちじんほっかい【一塵法界】一つの塵の中にも全宇宙が含まれる

いちぞくろうとう【一族郎党】家族と関係者すべて

いちだくせんきん【一諾千金】約束は重んじる

いちねんつうてん【一念通天】念じて努力すれば思いは天に通じて成功する

いちねんほっき【一念発起】決心する

いちばくじっかん【一暴十寒】ちょっと努力したあとずっと怠けていてはだめ

いちばつひゃっかい【一罰百戒】一人を罰して多くの人のいましめとする

いちびょうそくさい【一病息災】持病が一つあるほうが長生きする

いちぶいちりん【一分一厘】ほんの少し

いちぶしじゅう【一部始終】ことの顛末

いちぼうせんり【一望千里】見晴らしがよい

いちぼくいっそう【一木一草】無視できない小さいもの

いちまいかんばん【一枚看板】一座の大立者

いちみととう【一味徒党】仲間

いちもうだじん【一網打尽】一味を全員つかまえる

いちもうふばつ【一毛不抜】けち

いちもくじゅうぎょう【一目十行】理解力をもった速読の人

いちもくりょうぜん【一目瞭然】一度見ただけではっきりわかる

いちもんふつう【一文不通】一字もわからない

いちやけんぎょう【一夜検校】成金

いちやじっき【一夜十起】私心をなくすのは難しい

いちようおちててんかのあきをしる【一葉落ちて天下の秋を知る】些細な前兆から大事を予知する

いちようらいふく【一陽来復】冬至→冬が過ぎて春が来る→新年

いちりいちがい【一利一害】利もあれば害もある

いちりゅうひゃくぎょう【一粒百行】一粒の米には百の作業を経る

いちりゅうまんばい【一粒万倍】わずかなものが大きな利益をつくる

いちれんたくしょう【一蓮托生】運命をともにする

いちろへいあん【一路平安】道中無事で

いっかくせんきん【一攫千金】不労で巨利を得る

いっかんのふうげつ【一竿の風月】俗事にとらわれない生活

いっきいちゆう【一喜一憂】状況次第で落ち着かない心持ち

いっきかせい【一気呵成】ひといきにやり遂げる

いっきじっき【一饋十起】政治に熱心

いっきとうせん【一騎当千】一人で千人力

いっきのこう【一簣の功】仕上がり直前のちょっとした努力

いっきゅうのかく【一丘の狢】別物に見えてもよく見ると同類

いっきょいちどう【一挙一動】細かい動作

いっきょりょうとく【一挙両得】一つのことをして二つの利益を得る

いっけんらくちゃく【一件落着】一つの事柄や事件に決まりがつく

いっこうりょうぜつ【一口両舌】前に言ったことと後で言ったことが違う

いっこくせんきん【一刻千金】千金ほどのすばらしい時間

いっこけいせい【一顧傾城】美人

いっこせんきん【一壺千金】つまらない物でも時と場合次第では貴重品に

いっこのえき【一狐の腋】希少で珍重すべきもの

いっさいかいくう【一切皆空】すべてのものには実体がない。仏教

いっさいがっさい【一切合切】すべて

いっさいしゅじょう【一切衆生】生きているものすべて。仏教

いっしそうでん【一子相伝】奥義を自分の子どもにだけ伝える

いっしどうじん【一視同仁】人を分け隔てなくいつくしむ

いっしはんせん【一紙半銭】わずか

いっしゃせんり【一瀉千里】文章がすらすら書ける

いっしょういちえい【一觴一詠】一杯飲むたびに一編を作詩する

いっしょうこうなりばんこつかる【一将功成りて万骨枯る】成功者の陰に多くの犠牲者

いっしょうさんたん【一唱三嘆】詩をほめる

いっしょくそくはつ【一触即発】危険な状態

いっしんいったい【一進一退】進んだり戻ったり

いっしんどうたい【いっしんどうたい】二人以上が強く結ばれる

いっしんふらん【一心不乱】集中する

いっすいのゆめ【一炊の夢】人生ははかない

いっすんのこういん【一寸の光陰】わずかな時間

いっせいのゆう【一世の雄】時代の英雄

いっせいふうび【一世風靡】時代の流行

いっせつたしょう【一殺多生】一人を殺して大勢を救う。仏教

いっせんそうちょう【一箭双雕】一石二鳥

いったんかんきゅう【一旦緩急】いざという時

いっちはんかい【一知半解】中途半端な知識

いっちょういっし【一張一弛】時に厳しく時におおらかに

いっちょういっせき【一朝一夕】わずかな時日

いっちょういったん【一長一短】いいところもあれば悪いところもある

いってきせんきん【一擲千金】大金を一度に使う

いってんいっかく【一点一画】構成要素

いってんばんじょう【一天万乗】天子

いっとうりょうだん【一刀両断】決断が早い

いっとくいっしつ【一得一失】得たりなくしたり

いっぱいちにまみれる【一敗地に塗れる】大敗

いっぱつせんきん【一髪千鈞】危険まるだし

いっぱんをみてぜんぴょうをぼくす【一斑を見て全豹を卜す】見識が狭い→ちょぼいち

いっぱんのむくい【一飯の報い】一度の飯の恩に報いる

いっぴんいっしょう【一顰一笑】顔に出る心の変化

いっぺきばんけい【一碧万頃】青々と広がる水面

いっぺんのひょうしん【一片の氷心】清く澄んだ心

いつぼうのあらそい【鷸蚌の争い】→漁父の利

いつやのらん【乙夜の覧】天子の読書

いつをもってろうをまつ【佚を以て労を待つ】

いっきょしゅいちとうそく【一挙手一投足】

いっけんかたちにほゆればひゃっけんこえにほゆ【一犬形に吠ゆれば百犬声に吠ゆ】

いっしょうこうなってばんこつかる【一将功成って万骨枯る】

いっしんどうたい【一心同体】

いっすいのゆめ【一炊の夢】

いったんのしいっぴょうのいん【一箪の食一瓢の飲】

いっていじをしらず【一丁字を識らず】

いっぱいちにまみる【一敗地に塗る】

いっぴんいっしょうをおしむ【一嚬一笑を愛しむ】

いっぷかんにあたればばんぷもひらくなし【一夫関に当たれば万夫も開く莫し】

いつぼうのあらそい【鷸蚌の争い】→漁父の利

いちもってこれをつらぬく【一以て之を貫く】

いのちながければすなわちはじおおし【寿ければ則ち辱多し】

いのなかのかわずたいかいをしらず【井の中の蛙大海を知らず】

いばしんえん【意馬心猿】

いへんさんぜつ【葦編三絶】熟読する

いもんのぼう【倚門之望】息子の帰りを待ちわびる母

いんがおうほう【因果応報】善行には善報が、悪行には悪報が

うえんば【烏焉馬】まぎらわしい文字

うちにかえりみてやましからずこころざしににくむことなし【内に省みて疾しからず志に悪むことなし】恥じることなし

うゆうにきす【烏有に帰す】何もなくなった

えんじゃくいずくんぞこうこくのこころざしをしらんや【燕雀いずくんぞ鴻鵠の志を知らんや】大物の心はわからない

おうこうしょうしょういずくんぞしゅあらんや【王侯将相いずくんぞ種あらんや】実力本位

おんこちしん【温故知新】蓄積知から新発見する

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かいけいのはじ【会稽之恥】敗れた恥辱

がいこつをこう【骸骨を乞う】辞職する

かいごのはな【解語の花】

かいよりはじめよ【隗より始めよ】まずは自分から

かぎゅうかくじょうのあらそい【蝸牛角上の争い】狭い世界でのつまらない争い

がしんしょうたん【臥薪嘗胆】恨みを忘れない

かっかそうよう【隔靴掻痒】はがゆい

かっしてもとうせんのみずをのまず【渇しても盗泉の水を飲まず】悪事はしない

がっしょうれんこう【合従連衡】同盟や連合で生き残る外交

かつもくしてあいまつ【刮目して相松待つ】相手をじっくり見る

かでんにくつをいれず【瓜田に履を納れず】疑われることはしない

かなえのけいちょうをとう【鼎の軽重を問う】相手も実力を疑う

がりょうてんせい【画竜点睛】総仕上げ

がんこうしはい【眼光紙背】文字づらばかりか文章の深意を知る

がんこうしゅてい【眼高手低】口ほどにもない 談志

かんこつだったい【換骨奪胎】複製芸術→焼き直し

かんせいのあ【埳井之鼃】

かんしょうばくや【干将莫邪】伝説的な名剣

きゅうぎゅうのいちもう【九牛一毛】取るに足りない

きしん【機心】機械に振り回される

きびにふす【驥尾に付す】優れた人に従うとうまくいく

きゆう【杞憂】取り越し苦労

ぎゅうじる【牛耳る】マウントを取る

きゅうじんのこうをいっきにかく【九仞の功を一簣に虧く】あと一歩で失敗

きょくがくあせい【曲学阿世】こびへつらう

ぎょふのり【漁父の利】第三者が得する

ぐこうやまをうつす【愚公山を移す】いずれは成せる

くちにみつありはらにけんあり【口に蜜あり腹に剣あり】心の中では

くちびるほろびてはさむし【唇亡びて歯寒し】運命共同体

くんしはひょうへんす【君子は豹変す】君子はつねに成長する→態度を変える

けいぐんのいっかく【鶏群一鶴】凡人の中に一人傑物がいる

けいこうぎゅうご【鶏口牛後】小集団の親玉がいい

けいせつのこう【蛍雪之功】若い頃に励む

けいめいくとう【鶏鳴狗盗】つまらない人

げきりんにふれる【逆鱗に触れる】目上の人から怒られる

けんどちょうらい【捲土重来】盛り返す

げんはつつしまざるべからず【言は慎まざるべからず】心して発言せよ

けんばのこころ【犬馬の心】恩返しの心

こうこうのしつ【膏肓の疾】不治の病

こうしつのまじわり【膠漆の交わり】親密で離れがたい仲

こうせいおそるべし【後生畏るべし】後輩は侮れない

こうてんしんなくただとくをこれたすく【皇天親なく惟徳を是輔く】天は徳人を助ける

こうとししてりょうくにらる【狡兎死して良狗烹らる】敵が消えれば功臣はじゃま

ごえつどうしゅう【呉越同舟】敵同士が同じ場所にいる

こけつにいらずんばこじをえず【虎穴に入らずんば虎児を得ず】危険を経て入手する

ごじっぽひゃっぽ【五十歩百歩】差がない

ことじににかわす【琴柱に膠す】融通がきかない

こんとんのとく【渾沌之徳】すべてを含む

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さいげつはひとをまたず【歳月は人を待たず】時間は過ぎていく

さきんずればひとをせいす【先んずれば人を制す】先手は有利だ

さたん【左袒】味方する

さちゅうのぐうご【沙中の偶語】臣下が謀反の密談を

さるものはひびにうとし【去る者は日々に疎し】身近にいないと忘れられる

さんこのれい【三顧の礼】繰り返し訪ねて礼を尽くす

さんにんとらをなす【三人虎を成す】うそも真実に

さんねんとばずなかず【三年蜚ばず鳴かず】じっと待つ

しかいまたもゆ【死灰また燃ゆ】寝た子を起こす

しかをさしてうまとなす【鹿を指して馬となす】白を黒と言う

しかんじょほう【子罕辞宝】無欲

ししにむちうつ【死屍に鞭うつ】生前の言行を非難する

しめんそか【四面楚歌】周りは敵だらけ

しゅしゅ【守株】古い習慣のまま

しゅそりょうたん【首鼠両端】迷っている

しゅちにくりん【酒池肉林】贅沢な酒宴

しゅつらんのほまれ【出藍の誉】

じょうぜんはみずのごとし【上善は水のごとし】水が最高の完成品

じょちょう【助長】無用の手助けでかえって相手を損なう

しをもってきゅうす【詩をもって窮す】文学貧民

じんこうにかいしゃす【人口に膾炙す】文章がもてはやされる

しんをとう【津を問う】人に教えてもらう

すいぎょのまじわり【水魚の交わり】親密な間柄

すいこう【推敲】文を練り上げる

ずさん【杜撰】誤りや手抜きが多い

せきあくのよおう【積悪余殃】悪を積んだ家ではその悪報が子孫に

せきぜんのよけい【積善余慶】善を積んだ家ではその余徳が子孫に

せっさたくま【切磋琢磨】努力する

ぜんいんぜんか【善因善果】よい原因にはよい結果が

せんきんのこはいちにしせず【千金の子は市に死せず】金持ちの子は金で刑罰を免れる

せんざいいちぐう【千載一遇】またとないチャンス

そうこうのつま【糟糠之妻】貧苦をともにした妻とは離れない

そうじょうのじん【宋襄の仁】いらぬ気遣い

そうりんみちてれいせつをしる【倉廩満ちて礼節を知る】 →衣食足りて栄辱を知る

そじょうのうお【俎上の魚】抵抗できないでいる

そなえあればうれいなし【備えあれば憂いなし】ふだんの準備

そほう【素封】金持ち

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たいきばんせい【大器晩成】才能の完成には時間がかかる

たいこうぼう【太公望】釣り人

たざんのいし【他山の石】他人の悪行を見て自己の向上を図る

だそく【蛇足】むだ

たまみがかざればうつわをなさず【玉琢かざれば器を成さず】学ばなければだめ

だんじておこなえばきしんもこれをさく【断じて行えば鬼神もこれを避く】強い決心で

ちいん【知音】友人

ちにいてらんをわすれず【治に居て乱を忘れず】どんなときでも

ちょうさんぼし【朝三暮四】どっちも同じだろう

ちみもうりょう【魑魅魍魎】化け物いろいろ

ちをしょすることすなわちかたし【知を処することすなわち難し】

ちんけんへいも【椿萱並茂】両親が健在

つきみつればすなわちかく【月満つればすなわち虧く】よかったりわるかったり

てんしるちしる【天知る地知る】いつかは露見する

てんはながくちはひさし【天は長く地は久し】

てんもうかいかいそにしてもらさず【天網恢恢疎にして漏らさず】悪は見逃さない

とうりものいわざれどもしたおのずからみちをなす【桃李もの言わざれども下自ずから蹊を成す】徳を慕う

とうりゅうもん【登竜門】出世の関門

とうろうのおの【蟷螂之斧】強敵に立ち向かう

となんのつばさ【図南之翼】大志を抱く

どはつてんをつく【怒髪天を衝く】怒っている

とらのいをかる【虎の威を借る】有力者の権威をかさに着る

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ないてばしょくをきる【泣いて馬謖を斬る】私情を抑えて処分する

ぬかをねぶりてこめにおよぶ【糠を舐りて米に及ぶ】被害が広がる

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はいぐんのしょうはもってゆうをいうべからず【敗軍の将はもって勇を言うべからず】しくじれば言い訳なし

はいすいのじん【背水の陣】退路を断って必死で戦う

はいばんろうぜき【杯盤狼藉】宴のあとの散乱ぶり

はくがんし【白眼視】冷たい目で見る

はくび【白眉】こいつがいちばん!

はすははなのくんしなるものなり【蓮は花の君子なる者なり】

ひこう【非攻】侵略するな

ひくれてみちとおし【日暮れて途遠し】まだまだ先か

びせいのしん【尾生の信】ばか正直

ひっぷのゆう【匹夫の勇】思慮がない勇気

ひにくのたん【脾肉の嘆】力を発揮できないでいる

ひをおなじくしてろんぜず【日を同じくして論ぜず】差がありすぎる

ふいのまじわり【布衣の交わり】身分や地位とかかわりないつきあい

ふうりんかざん【風林火山】移動・停止・攻撃・守備の鉄則

ふくすいぼんにかえらず【覆水盆に返らず】取り返しがつかない

ふしのみち【不死之道】あるわけない

ふねにきざみてけんをもとむ【船に刻みて剣を求む】古いまま

ふんけいのまじわり【刎頸の交わり】友情

べってんち【別天地】理想の土地

ほうさんしょう【法三章】簡略な法律

ぼうじゃくぶじん【傍若無人】自分勝手

ほうしんをもとむ【ほうしんをもとむ】問い続ける

ほうふくぜっとう【抱腹絶倒】大笑い

ぼくしゅ【墨守】おのれを曲げない

ぼっけい【木鶏】無心で臨む

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まくらをたかくしてふす【枕を高くして臥す】安眠

まんをじす【満を持す】準備を整えてチャンスを待つ

みぎにでるものなし【右に出る者なし】第一人者

むじゅん【矛盾】つじつまが合わない

もうぼさんせん【孟母三遷】教育は環境による

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やまいこうこうにいる【病膏肓に入る】治らない →膏肓の疾

やろうじだい【夜郎自大】狭い見識

ゆうずうむげ【融通無碍】のびのび 志ん生

ようしほうこう【雍歯封侯】部下を安心させるには嫌いな者をまず抜擢する

ようとうくにく【羊頭狗肉】見せかけだけ

よとうのつみ【余桃の罪】

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りかにかんむりをたださず【李下に冠を正さず】疑われることはしない

りょうこはふかくぞうしてむなしきがごとし【良賈は深く蔵して虚しきがごとし】ひらかさない

りょうとうのいのこ【遼東之豕】独りよがり

りょうやくはくちににがし【良薬は口に苦し】忠告は受けるのがよい

れいのおこるゆえん【礼の起こるゆえん】

ろうをえてしょくをのぞむ【隴を得て蜀を望む】さらに

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わこうどうじん【和光同塵】世に埋もれて生きる

参考文献:『中国故事物語』(後藤基巳ほか編、河出書房新社、1972年)、『中国名言物語』(寺尾善雄著、河出書房新社、1972年)、『日本故事物語』(池田弥三郎著、河出書房新社、1967年)、『中国の故事と名言五〇〇選』(駒田信二ほか編著、平凡社、1975年)、『漢文名文選 故事成語編』(三上英司ほか編著、筑摩書房、2019年)、『新明解四字熟語辞典』(三省堂編修所編、三省堂、2010年)、『岩波四字熟語辞典』(岩波書店辞典編集部編、岩波書店、2002年)、『大漢和辞典 修訂第二版』(諸橋轍次編、大修館書店、1989-90年)

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らくご【落語】


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人の心を動かす話芸、とでもいうのでしょうか。

「小説」の始まりは『荘子』内編が初出だと、駒田信二が言っていました。

ある村に三本足の烏がいた。

これだけでもう小説なのだ、という例でした。

これを聴いたり読んだりすると、人は「え!」と驚くわけです。そんな烏はいないに決まっているからです。

人の心が動く。

それが小説なんだ、ということです。

ならば、落語だって同じでしょう。

小説の読者は作家の目の前にはいませんから、紙面を通しての交流というか伝達でしょうが、落語のような話芸は、客は目の前にいるわけです。

この人たちの心を動かすのは、笑いと涙にもっていかせたほうが手っ取り早いに決まっています。

涙よりも笑いのほうがにぎやかで儲かりそうだから、というようなわけで、落語は笑い中心の芸になっていったのでしょう。

おおざっぱですが、正解はこんなところにあるのだと思うのです。

ごちゃごちゃ考証してもおもしろいのですが、それでも、とどのつまりはここに行きつくものです。

もとより「落語」ということばは、そんなに古くありません。

ことばそのものは江戸期には生まれていましたが、定着したのは明治に入ってから、というかんじですね。

明治初期の寄席では「はなし」「むかしばなし」などと番付に記しています。

噺家の芸を、なんと称して当局に届け出ていいのか迷ったほどなのですから。

なんとも、こころもとない芸であり、職業です。

でも、それが落語なのでしょう。私はそこが好きです。

「落語」は「おとしばなし」から来た漢語表現ですし、つづめて言うのを好む日本人には「らくご」の語感が向いていたでしょうから、こちらが定着した、ということですね。

「オチ」があるのが落語、とかいわれていますが、別に、落語ばかりの専売特許でもありません。

小説にだって、映画にだって、オチがあるものです。ときに、どんでんがえしのなんていう、ものすごいオチもありますが。

『荘子』での「小説」の意味は「とるにたりない話」ということだそうですから、落語と同じくくりですね。

ということは、「三本足の烏」は小説でも落語でも使えるわけで、出元は同じといえるでしょう。

今では、高座でかかるもの全般、つまり、怪談、人情噺、滑稽噺などをひっくるめて、「落語」と呼んでいますね。

明治初期の、つまり、三遊亭円朝(1839-1900)がいたころの人たちには福音のことばだったんじゃないですかね。いちいち区別している向きもあったようです。

円朝なんか、番付には「新作」と記されています。今となっては笑える表記です。

落語といっても、始まりはなにも特別なものではありません。

われわれの心の中から湧き出てきた思いやおもしろさ、日常生活の中から長い時間をかけて生まれてきたもの、といえるのではないでしょうか。

古木優

【語の読みと注】
荘子 そうじ:荘周が編んだ道家のテキスト。内編は荘周、外編と雑編は偽書
駒田信二 こまだしんじ:中国文学者、作家。1914-1994


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