半分垢 はんぶんあか 演目

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お相撲さんが出てくる噺は、けっこう珍しいんですね。

【あらすじ】

巡業から久しぶりに帰ってきた関取。

疲れからぐっすり眠っているところへひいきの客が訪ねてくる。

かみさんに、寝ているなら起こさないでいいと言い、相撲取りは巡業に出ると太るというから、さぞ大きくなったろうと尋ねる。

かみさん、ここぞとばかり、戸口から入れないので格子を外さなければならなかったとホラを吹く。

それを奥で聞いていた関取、客が帰った後、かみさんに
「三島の宿で茶屋から富士を見て、大きなものだと感心していたら、そこの婆さんが『大きく見えても、あれは半分雪です』と、普通なら日本一の山をお国自慢するところを、逆に謙虚に言った。その奥ゆかしさに、かえって富士が大きく見えた」
と語り、人間は謙虚であれば、他人は実際より自分を大きく見てくれるのだから、自慢はするなと説教した。

そこへまた別のひいきの客が来たので、かみさん、今度は
「関取は細くなって、格子の隙間から入れるぐらいです」

関取がびっくりして顔を出すと、客は
「とてもそうは見えない。大きくなった」
「いえ、これで半分は垢です」

【しりたい】

二つの小ばなしから

富士山を謙遜するくだりが、寛政元年(1789)刊の笑話本「室の梅」中の「駿河客」、「半分は垢です」のオチの部分が元禄14年(1701)年刊「百成瓢箪」中の「肥満男」と、以上二つの小ばなしから構成されています。

相撲取りの出てくる噺

このほかに、たった3尺2寸(97cm)のミニ力士・鍬潟(くわがた)が6尺5寸・45貫(197cm、170kg)の雷電為右衛門を転がす「鍬潟」、第六代横綱の出世譚「阿武松(おうのまつ)」、大関にそっくりなばっかりに……の「花筏」、エロ噺の「大男の毛」などがあります。

化け物扱いされた相撲取り

この噺にでもわかりますが、昔の相撲は、体の大きいことをことさら気にし、大きいと言われることを極端にいやがる傾向があったようです。

現代と違って、一般人との体格差があまりにも大きかったため、190-を超える若者や肥満の子供は、相撲が弱くても見世物扱いで土俵入りをさせられたり、ただでさえ好奇の目で見られることが多かったからでしょう。

この噺をよく演じた五代目古今亭志ん生の速記でも、「二階の屋根の上に関取の顔があった」、「十枚も布団をたして掛けた」、「顔は四斗樽、目はタドン」「道中で牛を二、三頭踏み殺した」と、言いたい放題です。

二階の屋根から顔

身長で歴代第三位(227cm)の記録を持ち、巨人の代名詞としてしばしば引き合いに出される大関・釈迦ヶ嶽(しゃかがたけ)雲右衛門(1749-75)の逸話です。

【半分垢 古今亭志ん生】

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