雷門助六(八代目) かみなりもんすけろく 高田裕史

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八代目 雷門助六(1907-1991)

終生落語会の彗星のようにあっち行ったりこっち行ったり。悠然と非主流を歩み、時折忘れかけた頃合い、ひょこっと現れて自由闊達、しかも練れた芸を披露して、またすっといなくなっちまうという印象の人でした。

なんといっても、師の芸の魅力は仕方噺にありました。つまり、長編の人情噺をしみじみ聴かせるたぐいの名人ではなく、短い噺を得意とし、実に巧みな仕草で笑わせ、うならせました。いわば元祖「ビジュアル落語」。例えば、マクラの小咄で人それぞれの癖を演じるのが、この方の独壇場。ある人はやたらに訪問先の畳のケバをむしる。挨拶をしてしゃべりながらでも、もう目線はさりげなく下に向いて、虎視眈々と畳を狙っている。その目の動きと指の動き、むしったケバをフッと吹くコンビネーションの見事さ。「七段目」などの軽い芝居噺では、本格に歌舞伎の型を演じ、また、飄々とした踊りのうまさにも定評がありました。晩年は足が悪く、常に高座に釈台を置いていましたが、いつもにこやかに明るい語り口で、名人気取りなど微塵もなく、客を気持ちよく帰す、という節度の効いたサービス精神に徹底していました。

こういう地味で古風ながら決して陰気にならず、「ゲラゲラ」ではなく「ニヤリ」と笑わせてくれる味な芸。二度とはお目にかかれないでしょう。

高田裕史

【八代目雷門助六 長短】

落語家 らくごか 古木優

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先日、五反田のとあるビルで、落語を聴きました。

立川半四楼立川談慶の、です。

半四楼は45歳の前座だというのがウリでした。

しかも。

東大出て、間組、三菱商事で海外駐在経験あって、スペイン語ができるんだそうです。なんだか、すごいです。

前座ですから、噺そのものはうまいわけではありませんでした。

でも、一生懸命やってて、なんの噺か忘れましたが、頭から湯気が出てる雰囲気でした。

その気迫というか一途な熱演に、近頃見ない風景に心動かされました。

落語家はたんにはなしの巧拙ばかりではなくて、このような「余芸」も芸の内で、これをも含めたすべたが落語家なのでしょう。

明治から、そんな落語家はうじゃうじゃいました。

会では、談慶師が「文七元結」を熱演したのですが、私はよく覚えておらず、この45歳の前座さんに強烈な印象を受けた次第。

談慶師も慶應義塾大学経済学部を出た元ワコールですから、これはこれでお見事です。

「お互い学歴の無駄遣いをしているね、と楽屋なんかよく言うんです」とは、談慶師の弁。自慢ですかね。落語会の土産話となりました。

立川半四楼、前座、45歳、東大卒。

このかましかたは、船出としてはとりあえず大成功かもしれません。

ところで、現在、日本には落語家と称する人たちは何人いるのでしょうか。数えてみました。

落語協会   305人
落語芸術協会 180人
三遊一門会  58人
落語立川流  58人
上方落語協会 280人
総計  881人 2019年11月23日現在

ざっと900人弱、というところですね。日本相撲協会所属のお相撲さんは900人弱だそうですから、いい勝負です。

東京の落語家がざっと600人、関西の落語家がざっと300人、という具合です。ほかに、名古屋、仙台、金沢もの若干名いるそうですが、「ざっと900人」の中に入れ込める人数です。

ただいま、落語家は900人、です。すごいなあ。

古木優

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