「いらねえ世話を焼かずと、放っておけ」という拒否宣言と、鰻の蒲焼きを掛けたもの。洒落になっているくらいなので、もとより本気ではありません。
男女の痴話げんかで、男の方がすねたそぶりを見せている、というところ。これはおそらく『江戸生艶気樺焼(えどうまれうわきのかばやき)』あたりが発生源でしょう。天明5年(1785)にベストセラーになった山東京伝の黄表紙です。
「お世話」は同じ意味で「お世世(せせ)」となる例もありますが、もともと「おせせ」はお女中言葉をもじったものなので、これを使うのは女の方になります。
「蒲焼き」は「焼豆腐」と変わることもあります。