【日蓮大士道徳話】にちれんだいしどうとくばなし 落語演目 あらすじ

  成城石井.com  ことば 演目  千字寄席 円朝作品

【どんな?】

日蓮の出生譚。
遠州から房州へ。
奇瑞をからめて生まれた日蓮。
円朝噺。
改宗した円朝が日蓮の功徳を物語に。

あらすじ

日蓮の直接の先祖である貫名家の系譜と日蓮の誕生までを描く。

全七回中、最初の二回分は本題には入らない。

円朝が自身の身辺を語る。麻布鬼子母神堂の行者、磯村松太郎の手引きで日蓮宗に入信したことを語る。

円朝自身が日蓮宗に改宗した事実を披露するのは、現在残っている作品中、これを見るだけである。

ついで、在家が守るべき「五戒」(殺生戒、偸盗戒、邪淫戒、妄語戒、飲酒戒)を話題に、仏教の基本の考えを述べる。

立宗して後、「念仏無間」と鎌倉で流行していた念仏の宗派(浄土宗、浄土真宗、時宗など)をそしるようす、念仏系がたたく鉦は陰気で法華(日蓮宗系)がたたく太鼓は陽気だ、といった落語でよく聞くたとえ話をまぜて語る。

第三回からは本題「大士系譜及び誕生話」に入る。

日蓮の遠祖は藤原鎌足に始まり、鎌足から十二代の藤原共資の代に一族は遠江に移った。

子が次々と夭逝し継嗣がいないことを苦にして、井谷明神に月に三度の願掛けを続けた1010年(寛弘7)、地元の井谷明神境内の橘の木の根方に白い綾のきれに包んで捨てられていた赤子を拾った。

これが日蓮の直接の先祖となる人で、井伊家の祖、共保となる。

井桁のそばの橘の大樹に捨てられてあったことから、紋所は「井桁に橘」が定紋となった。日蓮宗の紋所でもある。

共資から五代目の四男が四郎政直が山名郡貫名に移り住んだので貫名姓となる。

その後、貫名次郎重忠は岡本次郎の娘花鳥と結婚して一子をもうけたが、まもなく三浦泰村合戦に巻き込まれた。

重忠は安房へ流されて、在地の大野吉清の娘梅菊と結婚した。

妙の浦に蓮華が生じ泉が湧出する奇瑞、老翁が手の上に抱いた玉のような子を授ける霊夢などを経て、日蓮が誕生した。

しりたい

入信後に

日蓮宗では「8」のつく日をよしとするそうです。

円朝が麻布鬼子母神堂の磯村松太郎行者の導きで入信したのは、明治29年(1896)7月28日のことです。

その後、10月28日から、日蓮宗の週刊新聞「日宗新報」に連載されたのが、この噺です。

一般向けではなく、日蓮宗の信者に向けて円朝が語り起こした噺ですが、7回で終わってしまいました。

日蓮が生まれるところで終わりです。なんとも、いやはや。

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