【更に梨地の重箱】さらになしじのじゅうばこ むだぐち ことば 落語 あらすじ
成城石井.com ことば 噺家 演目 志ん生 円朝迷宮 千字寄席
「まったくない」「さらさら(さらに)」ない」のしゃれです。
状況によっては、「(その気は)まったくない」と、すっとぼけて否認するニュアンスにもなりそうです。
ことば遊びとしては、まず「皿」と、強い否定を導く副詞の「さらに」を掛け、皿から梨皿で「梨」を、梨から「無し」としゃれの連鎖。
さらに、梨からダメ押しで梨地の蒔絵の重箱を出したもの。
梨地は、梨の実の表面を模し、細かい点を散らした模様。
金と漆を用いた豪華な重箱に珍重されるデザインです。
そこから「重箱の隅をつっついても、なににも出ない」となります。
もう一つ、「重箱」には、遊里の隠語で、「幇間と芸者が花代や揚代を二重取りしてだまし取る」意味も。
そこから「重なる」という意味を効かせ、「さらにさらに」という否定の強調をも付け加えています。
むだぐちもこうなると、なんとも凝りに凝った言葉のタペストリーになりますね。
これでとぼける意味を加味すると、またまた「梨」から「木」→「気」のしゃれが加わり、「蒔絵」からは「まく」=だます→重箱=横領へと、際限なくことばのラビリンスが広がります。