【神曲崩壊】しんきょくほうかい 志ん生雑感 志ん生! 落語 あらすじ
山田風太郎(山田誠也、1922-2001、小説家)の地獄めぐりの奇書「神曲崩壊」に顔を出す志ん生。ちょっと覗いてみよう。
アル中どもの堕ちる酩酊地獄の外れが、今の住処。
酒の大河に舟を浮かべ、そこで船頭になっている。
もっとも、とっくに櫓などは放り出し、ねじり鉢巻フンドシ一本。片手に茶碗、片手に釣り竿。
傍らの手桶で、のべつ酒の河から並々と汲んでは、茶碗に注いでグビリグビリ。
地獄どころか、太平天国。
「ありったけ平らげるったって、河ぜんぶが酒じゃあ、いくらあたしだって
どうしようもないやね。ウイウイ、ウイ、ウーイ」
で、時たま左手の釣り竿を持ち上げては、
「これでうめえサカナでも釣れりゃあもっとありがてえんだが。ウーイ
。
何しろ酒の河だけに、ウワバミなんかが釣れても困る」
あまり出来のよくないサゲが付いたところで、おあとよろしく。
天からは、沛然と永遠に降り注ぐアルコールのくっさい雨。
遠くに霞むは、針の山ならぬ酒樽山。
「おっとっと、なんかひっかかりやがったぜ」
何が釣れたかは、小説本文続きをご参照のほど。
高田裕史