【遅かりし由良之助】おそかりしゆらのすけ むだぐち ことば 落語 あらすじ
「由良之助か、遅かったァ」という絶句のしゃれ。それだけ。
遅刻をたしなめることばとして、歌舞伎ファンでなくてもたまに使われています。
戦前までの東京では、生活の至るところに歌舞伎のにおいがあったようです。
日常会話の端々に芝居の名セリフや、そのもじりがごく普通に使われていたわけです。
なかでも『仮名手本忠臣蔵』となると、どんなワキのセリフでも、骨の髄までしゃぶり尽くされていました。
これもその一つ。
「四段目」、塩冶判官が腹に九寸五分を突き立てたところで、花道から家老の大星由良之助がバタバタ。
そこで「由良之助か、遅かったァ」となるわけです。
もっともこれは実際の判官のセリフではなく、客席の嘆きの声なのですが。
これが遅刻をたしなめることばとして定着。
といっても本気ではなく、相手をからかうしゃれことばとなったものです。
逆に、遅刻した側のわびごとは、その前の「三段目」喧嘩場での判官のセリフ「遅なわりしは拙者の不調法」。
バレ小咄では、由良之助が髪を下ろした瑤泉院にお慰み用張り形(女性用婬具)を献上。そのサイズが合わず「細かりし由良之助」。