第614回 TBS落語研究会 2019年8月26日 寸評

【RIZAP COOK】

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2019年8月26日(月) 東京・国立小劇場 高田裕史

五目講釈 春風亭正太郎 ★★

難しい講釈場面もトチリなく、大熱演は大いに買える。案の定、クライマックスで息切れして、テンポ、リズムがどんどんずれてしまうのはしかたがない。前半、棟梁夫婦、若だんながみんな同じ人物に聞こえるのは、言うだけ野暮ながら、まあ年季の問題か。

弥次郎  柳家小せん  ★★★

パンフにもあった通り、当人が私淑する扇橋譲りで、寄席ではなかなかできないフル・バージョンで「道成寺」まで通した意欲はりっぱ。ただし、やはり長くてダレる。北海道も猪退治も、ここの客層には色褪せたくすぐりの積み重ねで、さほど笑いは取れない。むしろ新味のある「道成寺」にポイントを絞って練りこんだ方がベターだろう。

鰻の幇間 春風亭一之輔 ★★★★

もともと、この人のやり方は、客が逐電した後の、これでもかこれでもかこれでもかと畳み掛ける一八の悲痛な叫びが眼目。黒門町文楽のあの、明治の芸人の哀感などというレベルのきれいごとなど、みじんもない。最後は心まですっかりむしられた上、仲居さんの誕生会で座敷をたたき出される救いのなさ。加えて当人いわく、濃いカルピスの原液のように、意地でも笑わない落語研究会の客を、意地でも笑わさずにおこうかと、鬼気迫る執念が加わり背筋が寒くなった(笑)。まずは極上々吉、本日のMVP。

小言念仏 橘家円太郎  ★★★★

主人公の念仏とぼやきの背後の、家族の日常が鮮やかに浮かび上がる緻密な描写は秀逸。癇癪がだんだん高じて、やさしく「さん付け」にしていた嫁がいつの間にか呼び捨てになったり、孫の赤ん坊の粗相にいらいらするくだりなど、地味ながらこの演者ならでは手堅い技量が光る。小三治の隠居の、ギャグ漫画的なおもしろさとは違った持ち味で、トリのじゃまにならない理想的なヒザ替わり。

淀五郎  柳亭市馬  ★★★

お待ちかね。全体に手堅い演出だが、難を言えば、団蔵が独白の形で、自ら「なぜ判官の側へ行かないか」のネタばらしを早々にしてしまうので、後半の仲蔵のアドバイスが被って、ややくどい印象を受けた。

番外 主催者 -★★★★★

ただでさえロケーションが悪く、行きも帰りも路線バスはとうになくなっているのに、本日にかぎって帰りの劇場発バスは「ありません」と。なんだこりゃ。おかげでぞろぞろ。9時も過ぎて地下鉄まで延々と長蛇の列。客をなめてんのか。

【RIZAP COOK】

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