【眼光紙背】がんこうしはい 故事成語 ことば 落語 あらすじ
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本を一回読んで、字句の意味だけではなく、文意の奥深さをも理解する。
よく「眼光紙背に徹す」と言います。その略が「眼光紙背」。四字熟語になっています。
たんに文字づらだけを追ってうわっつらを知るのではなく、文章の深意まで洞察すること。目の光が紙に記された文字の表面だけでなく、裏側にまで徹る、ということから。
塩谷宕陰(儒者、1809-67)の「安井仲平の東遊するを送る序」の一節に由来するそうです。安井仲平とは安井息軒(儒者、1799-1876)のこと。息軒の才能を「書を読むに眼は紙背に透る」と記しているのです。二人は昌平坂学問所(昌平黌)の教授で、同僚でした。
珍しい、和製の四字熟語なんですね。
「行間を読む」は行と行の間を推測することで、文の深い意味を理解することとは少々異なります。でも、おおざっぱには類義語といえるでしょう。
ちなみに「眼光紙背」または「眼光紙背に徹する」、過去40年間の読売新聞の記事では27回使われています。その多くが政治面でした。政治家好みの成語なのですね。
2023年8月27日(日)放送のTBS系「VIVANT」第7話。
乃木憂助(堺雅人)が野崎守(阿部寛)に、「あなたは鶏群の一鶴、眼光紙背に徹する」とささやくシーンがありました。
「これから起こることは表面だけを見ていてはわかりません。その裏をよく見てください」
そういった意図が含まれていたのでしょうね。