【縮みあがり】ちぢみあがり 落語演目 あらすじ
【どんな?】
堀の内帰りの三人組が新宿で遊ぶ。
一人は行きに見かけたオンナに目星をつけていた。
やっとこ見つけて、すぐにも寝床へと急ぐ。
オンナはものすごい訛でまくしたてるのだが、男は……。
別題:新宿三人遊び
【あらすじ】
堀の内のお祖師さま参詣、その帰り。
新宿のなじみの引き手茶屋に上がった助さん、又さん、梅さんの三人組。
とりわけ助さんは、行きに立ち寄った時に、見初めておいた女がいた。
顔の真ん中に鼻があって、スラリとして目元ぱっちり、受け唇、眉濃く、目の際にホクロあり。
そんなお女郎を捜索してくれ、と注文。
まるで警察のモンタージュ作成のよう。
ホクロが決め手で、豊倉のおやまらしい、と見当がつく。
ところが、いざ対面してみると、おやまというのはえらく顔の長い女で、お目当てのおんなではない。
たまたまその女は近々身請けされることになっていたので、そっちの方に出るというから、そんな女はいらないからさっさと持ってけ、おれは一人で寝る、とすねている。
廊下でお目当てを見つけたので、
「めぐりあった。向こうへ曲がった。それ、抜け裏(抜け道)だ。捕まえろ」
と、にわかに大騒ぎ。
四日前に見世に出たばかりのおくまという女とわかった。
「ぜひとも生け捕ってくれ。鉄柵に入れろ」
と夢中。
まだ酒盛りの最中なのに、助さんは
「もう寝る」
と言ってきかない。
部屋におくまが来ると、
「最前、お参りの途中でおまえを見かけた時、体がぶるぶる震えた。これから毎日通うつもりだから、よろしくお頼み申します」
お、堅苦しく挨拶。
おくまはぷいと横を向き、口もきかない。
「おくまさん、なんとか、ひとこと気休めでも言ってください。おくまさんや」
「よさねえか、このふと(人)は。ヂヤマ(親父)が年貢の金に困ったから売られてきたのだ。江戸というところは気休めばかりだのんし。うら(私)もねぶたくてなんねえから、おめいらもエイかげんにねぶったらよいだろのんし」
ものすごい訛だから、助さんは仰天して、
「おまえのクニはどこだえ」
「越後の小千谷だがのんし」
「どうりでさっき、体が縮みあがった」
出典:六代目桂文治
【しりたい】
豊倉
「四宿の屁」「文違い」にも登場しましたので、そちらをお読みください。
お祖師さま
日円山妙法寺。日蓮宗。「お祖師さま」とは日蓮のこと。「堀の内」にも登場します。
都内では、池上の本門寺に次ぐ重要な寺院です。厄除けで信仰を集めています。