しゅんぷうていしょうきち【春風亭昇吉】噺家

  成城石井.com  ことば 噺家  演目 志ん生 円朝迷宮 千字寄席

【芸種】落語
【所属】落語芸術協会
【入門】2007年4月、春風亭昇太
【前座】2007年5月、春風亭昇吉
【二ツ目】2011年5月
【真打ち】2021年5月
【出囃子】独楽
【定紋】五瓜に唐花
【本名】國枝明弘
【生年月日】1979年10月29日
【出身地】岡山県赤磐市
【学歴】岡山県立岡山東高校→岡山大学法文学部中退→東京大学経済学部経営
【血液型】
【ネタ】
【出典】公式 落語芸術協会 Wiki
【蛇足】趣味は日本舞踊、海外旅行、俳句、川柳、座禅。2012年、NHK新人落語大賞本選出場「たがや」。2013年、NHK新人落語大賞本選出場「たけのこ」。2014年、NHK新人落語大賞本選出場「紙屑屋」。2015年、第1回若手演芸選手権優勝「安いお店」。2016年、第27回北とぴあ若手落語家競演会北とぴあ大賞「安いお店」。2017年、第16回さがみはら若手落語家選手権優勝「あたま山」。2018年から放送大学「人生が愉しくなる落語学」講師。2022年から岡山理科大学「人生が愉しくなる落語学」講師。 (白)



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やなぎやじんごろう【柳家甚語楼】噺家

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【芸種】落語
【所属】落語協会
【入門】1993年5月、三代目柳家権太楼
【前座】1993年6月、柳家太一
【二ツ目】1997年5月、柳家さん光
【真打ち】2006年3月、三代目柳家甚語楼
【出囃子】独楽
【定紋】丸にくくり猿
【本名】小柏一
【生年月日】1968年10月15日
【出身地】埼玉県上尾市
【学歴】早稲田大学法学部
【血液型】B型
【ネタ】愛宕山 幾代餅 井戸の茶碗 鰻の幇間 黄金の大黒 お見立て 火事息子 小言幸兵衛 子別れ 三枚起請 崇徳院 品川心中 茶の湯 佃祭 転宅 富久 猫と金魚 花見の仇討ち ふだんの袴 不動坊 味噌蔵 妾馬 百川 宿屋の仇討ち
【出典】公式 落語協会 Wiki
【蛇足】趣味は海釣り、料理。特技は百面相。第2回さがみはら若手落語選手権優勝。「大江戸台風族」の台風2号

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りんきのこま【悋気の独楽】落語演目

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【どんな?】

悋気=嫉妬。
浮気性のだんな。
行くか行かぬか。
小僧相手に独楽で占い。

別題:三ツ紋の独楽 辻占独楽 喜撰

【あらすじ】

だんなが田中さんのところへ行くと言って、夜出かけていった。

やきもち焼きのおかみさん、これは女のところだと当たりを付け、小僧の長吉に提灯ちょうちんの火を頼りに後をつけさせるが、これに気づいただんなが、長吉を買収しようとお妾さん宅へ連れていく。

長吉は抜け目がなく、口八丁手八丁くちはっちょうてはっちょう

小僧は口も身上しんじょうも軽いと脅し、酒をたらふく呑んだ挙げ句、二十銭で寝返ることにする。

「えー、まさに賄賂わいろ受納つかまつりました」

だんなは
「帰ったら、山田さん宅をのぞいてオレに声をかけられたことにし、ただいま碁が始まるようすですから、今夜のお帰りはないでしょう、と言え」
と言い含める。

証拠物件にと、
「これはだんなさまが店の者に食わせろとおっしゃったと、こう言うんだ」
と餡ころ餠まで渡す周到さ。

そうしているうち、長吉がきれいな箱を見つけた。

中には三つの独楽。

それぞれ違った紋がついている。

旦那が言うには、花菱はなびしの紋はおめかけさんの独楽。

「はあ、副細君ふくさいくんで」
「変な言い方をするな。こっちの三柏みつかしわがうちのやつのだ」
「ご本妻の」
「これが抱茗荷だきみょうがで、おれのだ。これを三つ一度にまわす。そこで、おれの独楽が花菱の方へ着けばここに泊まるという、辻占つじうらの独楽だ」

遊びに独楽売りから買ったものだからと、だんなが独楽をくれたので、長吉は喜んで、そろそろ引き揚げることにした。

「決してご心配ありません。お楽しみ」
「お楽しみだけ余計だ。こっちへ来たら時々寄れ」
「へい、日に三、四度」
「そんなに来られてたまるか」

どうせおかみさんからも、にせ情報を流した上二十銭ふんだくるつもり。

店はもう戸締まりしていたので、
「だんなのお帰り」
と大声で叫んで堂々と通ると、さっそく
「おかみさんがお呼びだ」
という。

だんなの筋書きが功を奏して、執拗な尋問をなんとかかわしたと思ったら、
「奉公人が用をするのは当たり前だよ」
と、なにもくれない。

逆に、肩をたたいてくれと言いつけられる。

しぶしぶ肩につかまっているうち、眠くなるので、長吉、本店のお嬢さんがこの間、踊りのおさらいにお出になったときの「喜撰きせん」はよかったと、
「チャチャチャンチン、世辞せじで丸めて浮気うわきでこねてェ、ツチドンドン」
と拍子に乗って背中を突いた。

その拍子に、独楽がポロリ。

紋がついているのでごまかしきれず、ついにすべて白状させられる。

おかみさんが
「やってお見せ」
と言うので実演すると、だんなの独楽はツツツーと花菱の方へ。

「えー、あちらにお泊まりです」
「おまえのやり方が悪いんだ。もう一度おやり」
「へい。……あっ、おかみさんの独楽が近づいた。だんなの独楽が逃げる逃げる逃げる……あちらへお泊まりです」

おかみさん、カンカンで、
「こっちィおよこし」
と自分でまわすが、なぜかだんなの独楽がまわらない。

「これはまわらないわけです。心棒しんぼう(=辛抱)が狂いました」

【しりたい】

やり手など

幕末には純粋な上方落語でした。

明治になって三代目柳家小さん(豊島銀之助、1857-1930)が東京に移しました。

あまり根付かなかったらしく、速記は小さんのほかは、八代目春風亭柳枝(島田勝巳、1905-59)のものくらいです。

先の大戦後では、やはり上方の三代目林家染丸(大橋駒次郎、1906-68)、東京で上方落語を演じた二代目桂小南(谷田金次郎、1920-96)が得意にし、小南門下だった二代目桂文朝(田上孝明、1942-2005)もレパートリーにしていました。

だんなと本妻の虚々実々の腹の探りあいがニヤリとさせ、「権助提灯」などよりずっとおもしろいのに、あまりやり手がいないのは惜しいことです。

四代目志ん生の改作

四代目古今亭志ん生(鶴本勝太郎、1877-1926、鶴本の)は、五代目志ん生(美濃部孝蔵、1890-1973)の二度目の師匠です。

転宅」「あくび指南」などを得意とした、江戸前の粋な芸風でした。

その志ん生が音曲の素養を生かし、この噺を「喜撰」と題して改作しています。

後半の独楽回しの部分を切り、小僧が清元きよもとの「喜撰」に熱中するあまりおかみさんを小突くので、「おまえ、人を茶にするね(=馬鹿にするね)」「へい、今のが喜撰(宇治茶の銘柄と掛けた)です」というサゲにしました。

これは一代限りで継承者はなく、五代目志ん生にも伝わっていません。

五代目志ん生は「稽古屋」で「喜撰」をうたっています。

独楽

こま。日本渡来は平安時代以前で、コマは高麗こまから渡ったことから付いた名称です。

江戸時代になり、八方独楽はっぽうこま銭独楽ぜにこま博多独楽はかたこまなど、さまざまな種類が作られ、賭博とばく曲独楽きょくこまもさかんに行われました。

「喜撰」

歌舞伎舞踊「六歌仙容彩ろっかせんすがたいろどり」の四段目で、『古今和歌集』で有名な六歌仙のそれぞれを、それぞれの性格に応じて踊り分けるものです。

第一段が僧正遍昭そうじょうへんじょう(義太夫)、以下、文屋康秀ふんやのやすひで(清元)、在原業平ありわらのなりひら(長唄)、喜撰法師きせんほうし(清元・長唄の掛け合い)、大伴黒主おおとものくろぬし(長唄)となり、それぞれに小野小町おののこまちと、その分身である茶汲み女・祇園のお梶がからみます。

天保2年(1831)3月中村座初演で、代々の坂東三津五郎ばんどうみつごろうのお家芸となっています。

「世辞で丸めて浮気でこねて」は、喜撰が花道に登場するときの冒頭の歌詞で、浮き立つようなしゃれた節回しで有名です。

それにつけても、一介の商家の小僧にまで踊りや音曲の素養が根付いていた、かつての江戸東京の文化水準の高さには驚かされます。

花菱

はなびし。家紋の一つです。わりと一般的です。

菱とは、ヒシ科の一年生植物。池、沼などの中に生えて、水面に浮かんでいます。

葉の形状は菱状三角形です。夏に四弁の白い小花が咲きます。実は硬くて、角状のトゲが目立ち、中の白い種子は食用になります。

花菱とは、この菱の葉に似た四つの弁を並べて、花びらに見立てた形からつきました。

唐花菱からはなびし唐花からはなとも呼ばれます。

大陸由来の文様とされています。

平安期には有識ゆうそく文様として、公家の調度品や衣装などに用いられていました。

使いはじめは、甲斐の武田氏でした。

「武田菱」は有名です。

江戸期には、松田氏、安芸氏、板倉氏、松前氏なども使っていました。

三柏

みつかしわ。家紋です。日本十大家紋の一つとされています。

三柏は、柏紋の中でも一般的に広く使われています。

さまざまなバリエーションがついて派生しています。

「丸に三柏」「蔓柏」「剣三柏」「鬼三柏」「三土佐柏」「三巴柏」「実付き三柏」「八重三柏」などがあります。

抱茗荷

だきみょうが。こちらも家紋。

ミョウガの花を図案化したものです。

こちらも日本十大家紋の一つです。

バリエーションは70種類以上ありますが、実際に使われている紋のほとんどは「抱茗荷」と、それを丸で囲んだ「丸に抱茗荷」です。

普及したのは戦国時代以後で、しかも摩多羅神またらしんの神紋として用いられるのが大きな特徴です。

さらには、音が「冥加みょうが」に通じることから、神仏の加護が得られる縁起のよい紋と考えられています。

神社や寺などでよく目にします。

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