「緡」というのは 小銭が散らばらないように銭の穴に差し通した細い紐のことです。
藁や紙を縒ったものでできています。
両端に小さなこぶを作って止めて、百文や二百文単位にして、通して数えやすくしました。
お奉行さまからの下されるものは、紺に染めた麻縄で作られたもので、特製品でした。
この特製の緡には五貫(一両一分)の銭が通してあります。
町内で評判の高い孝行者や忠義者などに与えられました。
幕府からの褒賞金はこんな形で授けれたのです。
これをいただく人が出れば、町内の名誉となりました。
一両一分は、現在の約10万円に相当します。
お奉行さまのおっしゃるには、与太郎は愚かしき者なるが、親孝行のよし、かみに聞こえ、青緡五貫文のほうびをつかわす。以後、町役人五人組でいたわり面倒をみてとらせろ、というわけだ。