おっとよしべえかわのきんちゃく【おっと由兵衛革の巾着】むだぐち ことば

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今でもたまに使われる「おっと合点承知之助」と同じで、「よしわかった」「万事呑み込んだから心配ご無用」の意味。

由来は歌舞伎種で、「良し」と梅の由兵衛(大坂の侠客)を掛けたものです。由兵衛は本名を梅渋由兵衛といって、元禄2年(1689)に大坂千日前でお仕置きになった殺人犯。これをモデルに並木五瓶が書いて、寛政8年(1796)に俗称『梅の由兵衛』として劇化されました。主人公が女房小梅の弟長吉を殺し、革の巾着を奪う場面に掛けて洒落ています。

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熊の皮 くまのかわ 演目

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「先生、女房がよろしく申してました」。 思わずニヤリ。艶笑噺です。

別題:八百屋

【あらすじ】

横町の医者から、祝い事があったからと、赤飯が届けられた。

その礼に行かなければということで、少し人間のネジがゆるみ加減の亭主の甚兵衛に、女房が口上を教える。

「うけたまわれば、お祝い事がありましたそうで、おめでとう存じます。お門多のところを、手前どもまで赤飯をちょうだいしまして、ありがとう存じます。女房からくれぐれもよろしく申しました」

「おまえさんはおめでたいから、決して最後のを忘れるんじゃない。それからあの先生は道具自慢だから、なにか道具の一つも褒めといで」
と注意されて送り出される。

まあ、おなじみの与太郎ほどではないから、
「ありがとう存じます」
まではなんとか言えたが、肝心の 「女房が」 以下をきれいに忘れてしまった。

「はて、まだなにかあったみてえだが……」

座敷へ上げてもらっても、まだ首をひねっている。

「……えー、先生、なにかほめるような道具はないですか」
「ナニ、道具が見たいか。よしよし、……これはどうだ」
「へえ、こりゃあ、なんです」
「珍品の熊の皮の巾着だ」

なるほど本物と見えて、黒い皮がびっしりと生えている。

触ってみると、丸い穴が二か所開いている。鉄砲玉の痕らしい。

甚兵衛、感心して毛をなでまわしている間に、ひょいとその穴に二本の指が入った。

「あっ、先生、女房がよろしく申しました」

【しりたい】

触るものはいろいろ

原話は安永2年(1773)刊の笑話本『聞上手』中の「熊革」ですが、その他、同3年刊『豆談語』、同5年刊『売言葉』、同8年刊『鯛味噌津』など、複数の出典に類話があります。

男が最後になでるものは、「熊革」ではたばこ入れですが、のちに胴乱(腰に下げる袋)、熊の敷皮など、いろいろ変わりました。

前出の『売言葉』中の「寒の見まい」では敷皮になっていて、現在ではほぼこれが定着しています。

エロ味を消す苦心

五代目柳亭左楽(八代目桂文楽の師匠)、六代目蝶花楼馬楽、六代目三升家小勝など、かつてはどちらかというとマイナーで「玄人好み」の落語家が手掛けた噺でしたが、最近では、桂文朝、柳家喜多八などもやっていました。おふたりとも、故人になられているのがじつにもう残念でありますが。

この程度の艶笑噺でも、やはり公ではそのままはやりにくいとみえ、昔からエロ味を消した、当たり障りのないオチが工夫されています。

たとえば、同じ毛皮を触るやり方でも、女房が亭主のスネ毛を引っ張ったので、後でその連想で思い出したり、熊の皮は尻に敷くものだと言われて初めて「女房がよろしく……」となったり、演者によっていろいろですが、いずれもおもしろくもなんともなく、味も素っ気もありません。

医者と巾着

昔の医者は、往診の際に巾着を薬入れに使ったため、それがオチの「小道具」として用いられるのがいちばん自然ですが、現在では理解されにくくなっています。

隠語では巾着は女性の局部を意味するので、特別な会やお座敷で艶笑噺として演じる場合は当然、オチに直結するわけです。

鉄砲玉の痕をくじるやり方はかなり後発のものらしく、安永年間のどの原話にも見られません。

たばこ入れ、巾着、敷皮と品は変わっても、すべてなめし革ではなく、毛のびっしり付いたものですから触るだけでも十分エロチックで、穴まで出すのは蛇足なばかりか、ほとんどポルノに近い、えげつない演出といえます。

【熊の皮 三遊亭遊雀】