【どんな?】
年の瀬、実家に戻った禄太郎は、父にはないしょで金の無心を。
円朝噺。円朝の悩みはいつもわが子。これに尽きました。1888年(明治22)の小品。
【あらすじ】
年の瀬、深川万年町。
福徳屋万右衛門の喜寿の祝いをしている家。
こっそり帰ってきた、長男の禄太郎。
無心に戻ってきたのだ。
母は、父にないしょで金を渡す。
その金で遊ぶ心づもりの禄太郎だった。
金をうっかり落としてしまった。
おのれの器量や才覚を悟った禄太郎。
一念発起、開墾に携わるため北海道に渡る。
出典:岩波版円朝全集第7巻
【しりたい】
禄太郎と朝太郎
禄太郎は、あきらかに一子朝太郎のイメージでしょう。
この噺、朝太郎の一件をあらかじめ知っていれば、円朝がどんな思いで創作したのかは容易に想像がつきます。
北海道に渡る禄太郎。
これが円朝の願望だったのでしょうか。朝太郎にはなにかをきっかけに悟り社会的に更生してほしい、という思いがにじみ出ている噺ではないでしょうか。
朝太郎が渡ったのは北海道ではなく小笠原でした。
その直後の連載が「熱海土産温泉利書」となっていきます。