「VIVANT」の最終回は?

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ごたぶんに漏れず「VIVANT」を見ています。とてもおもしろい。

ただ、YouTubeでの多くの「考察」を拝聴していると、そんなに緻密なドラマかなあ、とも思えます。

長野利彦専務(小日向文世)は出番ないでしょうし。黒須駿(松坂桃李)は憂助が裏切ったとマジで思っていましたし。野崎守(阿部寛)は裏切らないでしょうからね。ジャミーン(ナンディン・エルデネ・ホンゴルズラ)が野崎になつかないのはちょっと気になりますが。首都クーダンには国際空港があるのかどうか。全編を通じたこまやかさもここらへんが限度のようです。

そこで、最終回(2023年9月17日放送)はどうなるか、かんじんなところだけを手当たり勝手に考えてみました。

テントがいくら孤児院をつくって慈しみ深く大枚を注いだところで、しょせんは殺人者集団。裏切りには殺しで粛清する手合いです。まともではない。

テントは壊滅されてしかるべし、です。ピヨ(吉原光夫)も、ノコル(二宮和也)も、ベキ(役所広司)も、マタ(内村遥)も、シチ(井上肇)も。

ゲルもろともに木っ端微塵、地下帝国が亡びるシーンなんかが最終回にふさわしい。

ベキだけには、乃木憂助(堺雅人)とのいまわの際でのやりとりがあるでしょう。

ベキはおのが来し方を語り、孤児院の行く末を憂助に託します。親子の絆が初めて結ばれた瞬間です。

そして、最後のシークエンス。

除隊した憂助が、柚木薫(二階堂ふみ)、ジャミーンとともにバルカで孤児院経営に励みます。

バトラカ(林泰文)だけは夫婦で生き残り、ジャミーンの行く末を傍らで見守ります。顛末のすべてを見届ける、この物語の語り部なのです。

これじゃ、つまんないですね。

このシナリオの下敷きは、コンラッドの『闇の奥』やコッポラの『地獄の黙示録』のように思えます。以上は、そこからの推測でした。

神田明神布多天神の祭神はスクナビコナ。船で出雲に渡来した外来の神です。オオナムチに協力して国つくりにいそしみ、さまざまな先進技術を伝えます。奥出雲のたたら製鉄もそのひとつなのでしょう。インフラが整うと、スクナビコナは去っていきました。

余韻は響映します。



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