「ええ、嘘をつきゃあがれ」と軽く相手を突き放すときの軽口。
「嘘をつく」と、江戸の地名の築地を掛け、さらに、その地にある本願寺とつなげています。
「嘘を築地」と切ることも。
「門跡」は幕府が制定したもので、出家した皇族が住職を務める格式の高い寺院のこと。築地本願寺は西本願寺(浄土真宗本願寺派の本山)の直轄寺院です。
門跡に準じる「准門跡」の格ながら、俗にはやはり「ご門跡さま」と呼ばれます。中央区築地の場外市場には「門跡通り」があります。
市場一帯ももとは本願寺の境内でした。地名から、このむだぐちは江戸東京限定です。
ほかに「嘘を筑紫(つくし)」などとも言いました。
嘘つきのむだぐちはけっこう多く、「嘘の皮のだんぶくろ」「嘘ばっかり筑波山」、落語の演題でもある「嘘つき弥次郎」などが代表例です。