とがくししんこう
長野県の妙高戸隠連山国立公園に位置する戸隠山(長野市、標高1,904m)は、北信五岳の一つで、修験道の歴史を持つ岩山です。北信五岳とは、長野県北部(北信地方)の、斑尾山、妙高山、黒姫山、戸隠山、飯縄山。これら五つの独立峰の総称です。
いまでは戸隠神社となっていますが、明治維新での廃仏毀釈の前までは、奥の院(奥社)、中院(中社)、宝光院(宝光社)という三社の祭祀形態がありました。
中世には、戸隠山は両界曼荼羅の地とされ、西岳西光寺を中心とする真言系修験、顕光寺を中心とする天台系修験の二派が並んでいました。
江戸期には五十三の院が立ち並び、衆徒(僧侶)が一山を構成する巨大宗教都市でした。昔の人はオーバーなもので、「戸隠修験三千坊」と呼んでいました。
戸隠山には地主神として九頭竜権現がまつられていました。みくまり(水分岐)の山、水神をまつる山としての信仰がさかんでしたから、旱魃ともなると、各地から人々が雨ごいに訪れたものです。
信仰圏は越後(新潟県)、中部から関東地方にまでおよび、村々に戸隠講が組織されていました。これらは山伏、御師が仕切り、導きました。
戸隠の神は水を制御する役割を果たしてきました。水にからんだ、病気治療、蛇の祟りをしずめる、商売繁盛、安産、火除けなどの霊験が説かれてきました。
その流れの中で、梨に痛む歯の場所を記して川に流すという信仰風習がはぐくまれました。