Categories: 江戸の語

【鉄火】

てっか

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もとは文字通り、鍛冶職人が用いる、真っ赤に熱した鉄のこと。

そこから、さまざまなことばが派生しました。

人間の気質でいえば、カッカとなりやすく、始終けんか腰の勇み肌を鉄火肌と呼びます。

火事場のように命がけの勝負をする博打場を鉄火場とも。

落語に登場する「鉄火」は、もっぱらこうした博打場、または博打打ちです。

博打打ちだった三代目桂三木助(小林七郎、1902-61)の十八番に「へっつい幽霊」がありますが、その後半で、かまどに隠した三百円の金に気が残って化けて出る左官の長五郎の幽霊。

その自己紹介でこんなせりふが。

あっしゃあ、シャバにいたときには、表向きは左官屋だったんですが、本当を言うと向こうぶちなんです。白無垢鉄火なんですよ。

ここで言う白無垢とは、素人、かたぎのこと。

つまり、表向きは善良な職人でも、裏の顔は鉄火。今でいうと「反社」ですか。

すしには、鉄火巻がありますね。

【語の読みと注】
竃幽霊 へっついゆうれい
白無垢鉄火 しろむくでっか

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落語あらすじ事典 千字寄席編集部

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