きたりきのじや

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「ほいきた」「待ってました」というおちゃらけ。

「来」と「喜」、さらにおそらく「気」も掛けていて、遊客が、惚れている芸者やお女郎がやっと来たので、「やれ嬉しや」というところ。

「喜の字屋」は、吉原で仕出し料理屋の総称だったので、貸し座敷で料理を待ちかねた心あったでしょう。

この屋号は同時に、江戸三座の一つである守田座の座主、守田勘弥の屋号でもありますが、関係ははっきりしません。

「き」「き」という頭韻を踏んだ、リズムのいいしゃれたことばですね。

似たむだぐちに「来たり喜之助」があリます。

その名に特別な意味はなく、「き」の韻を整えるだけのもの。

この名はさまざまに転用され、天明5年(1785)刊の黄表紙『江戸生艶気樺焼』の北利(北里)喜之助、落語では「九州吹き戻し」の、名前もそのままの「きたり喜之助」が知られています。

「待っていた」という意味のむだぐちはほかに「来たか越後の紺がすり」「北山の武者所」など。

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落語あらすじ事典 千字寄席編集部

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