【奇妙頂礼屋の若だんな】

きみょうちょうらいやのわかだんな

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「奇妙」は現代語のニュアンスとは少し異なり、「不思議な」「珍しい」「趣があっておもしろい」の意。

「奇妙頂礼」は仏教用語の「帰命頂礼」のしゃれ。

「帰命頂礼」は仏に心から帰依すること。「帰依」とは仏にすべてを捧げること。

サンスクリット語「ナマス(namas)」の漢訳。「南無」は音訳です。「南」や「無」には意味がありません。

おしなべて古語は、音から推しはかるべきもので、文字から推測すると徒労に終わることが多いものです。

そんなわけで、帰依と南無は同義となります。

もっと具体的にいえば、「帰命頂礼」とは、頭を地面につけて礼拝し、仏に帰依する意思を伝えることです。さらに、仏を礼拝するときにとなえる文言ともなります。

「帰命」は「南無」の漢訳語です。「頂礼」は頭を地面につけて仏の足もとを拝む礼法をさします。ということは、「帰命」も「頂礼」も仏に従うという意味では同義となります。

そんなところから、信仰の証の唱え文句となったのですね。

世俗化した「奇妙頂礼」は、「恐れ入った、感服した」のニュアンスが強くなりまました。

さらには、「若だんな」と付けておどけ、ダメ押しに「よっ、妙で有馬の人形筆ェ!」などと囃したりもしました。

帰命到来屋の若だんな、よっ、妙で有馬の人形筆ェ!

ここまでくると、江戸語っぽくなっていますね。

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落語あらすじ事典 千字寄席編集部

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