志ん生のひとこと 002

五代目古今亭志ん生


  成城石井

二十四、五から三十くらいまででしたね。その頃は、どうしてもわたしといっしょになるてえ女が来て、しょうがなかった。

『サンケイ読物』1956年1月8日号「かたい話やわらかい話」から。


福田蘭堂との対談で、福田が「師匠がいちばん女のほうではなやかなりし頃はいくつです?」の問いにこたえてのひとこと。

志ん生は上のひとことのあとに「わたしの仲人がね、おまえさん、もう女房もらったらいいでしょうって言ってきた。いいかげんな返事をしているうちに半月ほどして、ほかの女をズルズルベッタリに引っ張り込んでいっしょにいたんです。そこへね、とつぜん、前の話の女を引っ張ってこられたんです、仲人に。しかたがないから、いっしょにいた女を戸棚ン中にしまいこんじゃって……。実はそのとき、仲人に連れてこられたのが今のかかあなんです」と告白しています。

戸棚の中に女を隠す、とは。これって、「今戸の狐」をなんとなく彷彿とさせるじゃありませんか。

志ん生の噺っていうのは、ディテールが実体験からの連想なのですね。

福田蘭堂(石渡幸彦、1905-76、音楽家、随筆家)は青木繁の息子で、石橋エータローの実父にあたる人。青木繁は洋画家、石橋エータローはクレージーキャッツのメンバーで料理家です。

 古木優



 成城石井

落語あらすじ事典 千字寄席編集部

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