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【雷門助六 八代目】

かみなりもんすけろくはちだいめ


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八代目 雷門助六(1907-1991)

終生落語会の彗星のようにあっち行ったりこっち行ったり。悠然と非主流を歩み、時折忘れかけた頃合い、ひょこっと現れて自由闊達、しかも練れた芸を披露して、またすっといなくなっちまうという印象の人でした。

なんといっても、師の芸の魅力は仕方噺にありました。

つまり、長編の人情噺をしみじみ聴かせるたぐいの名人ではなく、短い噺を得意とし、実に巧みな仕草で笑わせ、うならせました。

いわば元祖「ビジュアル落語」。例えば、マクラの小咄で人それぞれの癖を演じるのが、この方の独壇場。

ある人はやたらに訪問先の畳のケバをむしる。挨拶をしてしゃべりながらでも、もう目線はさりげなく下に向いて、虎視眈々と畳を狙っている。その目の動きと指の動き、むしったケバをフッと吹くコンビネーションの見事さ。

「七段目」などの軽い芝居噺では、本格に歌舞伎の型を演じ、また、飄々とした踊りのうまさにも定評がありました。

晩年は足が悪く、常に高座に釈台を置いていましたが、いつもにこやかに明るい語り口で、名人気取りなど微塵もなく、客を気持ちよく帰す、という節度の効いたサービス精神に徹底していました。

こういう地味で古風ながら決して陰気にならず、「ゲラゲラ」ではなく「ニヤリ」と笑わせてくれる味な芸。二度とはお目にかかれないでしょう。

高田裕史


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落語あらすじ事典 千字寄席編集部

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