すまないのじろうなおざね【済まないの次郎直実】むだぐち ことば

【RIZAP COOK】

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「済まない」と「くまがい(熊谷次郎直実)」を無理に掛けただけのダジャレ。

よく注意すると、これと同レベルのダジャレがもう一つ潜んでいます。1184年3月20日の少年惨殺事件の犯行現場、「須磨の浦(すまのうら)」と「すまない」。油断も隙も敦盛です。「くまがい」のままではいくらなんでもわかりません。一度ダジャレで崩して「済まない」として初めて浮かび上がってくるという、凝ったといえば凝った代物です。

もう一つ、「済まない」は、本来は「許せない」「納得できない」の意味もありますから、前後でどういう状況を受けて言っているかによって、怒っているのか謝っているのか、解釈も変わってきます。

【RIZAP COOK】

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すったこった【すったこった】むだぐち ことば

【RIZAP COOK】

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「すべったころんだ」を短縮したものです。「すぺったころんだ」「すべったりころんだり」とも。愚痴や言い訳めいたつまらない繰り言を、いつまでもぐずぐず並べ立てること。

似た音形のことばに「すったもんだ」があり、これを「すったこった」と同じ意味とする説もありますが、疑問です。

「すったもんだ」は「擦った揉んだ」で、複数の人間が一所に集まって揉めること。無理に関係を付けるとしたら、すったこったと世迷い言を並べる連中が複数集まると、必然的にすったもんだとけんかになるということでしょう。

【RIZAP COOK】

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すこしおそしどう【少し御祖師堂】むだぐち ことば

「遅い(遅し)」と「お祖師」を掛けただけの、きわめて単純明快なしゃれことば。前後の会話の流れで、相手の遅れを軽くとがめたり、逆に自分が遅れた(遅れる)と告げる場合があります。

「お祖師さま」は、日蓮宗の信者が多かった江戸では宗祖の日蓮や同宗派の寺院をさします。「堀之内のお祖師さま(妙法寺)」などが著名です。

単に「祖師堂」という場合には、広く各宗派でそれぞれの宗祖の業績を記念した尊像や位牌などを安置している堂宇(広くは寺そのもの)をさします。中でも禅宗の始祖達磨(円覚)大師を祀った祖師堂をいう場合が多いのでが、江戸では「祖師」といえば「日蓮」と記号化されていますから、すぐに「ああ、日蓮のね」という理解にいたります。

しょうしんしょうめいけぶけちりん【正真正銘けぶけちりん】むだぐち ことば

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正真正銘間違いなし、混じりっけなしの本物というのを、江戸っ子特有の大げさな軽口で強調したものです。この後普通は「現金掛け値なし」と続けてダメを押します。

「けちりん」は「毛一厘」が縮まった形。否定、打ち消しをともなって「毛筋ほどの不純物もない」と、これも強調、アピール。「けぶ」は不明ですが、「九分九厘」のしゃれでしょうか。

現金掛け値なしは、元禄年間(1688-1704)に日本橋の三井越後屋呉服店が始めた画期的な新商法。一切の情実的な値引きをせず、公明正大に正札=正価のみで販売というもので、これが江戸のみならず全国的な評判を呼び、大繁盛。のちの大財閥の礎を築きました。転じて、「掛け値なし」が太鼓判、間違いなしという慣用語に。同様の表現は「金箔付き」「極め付き」「極印付き」「正札付き」など、さまざまです。

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しょうがなければみょうががある【生姜なければ茗荷がある】むだぐち ことば

★auひかり★

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「しょうがない」というあきらめのことばに対するまぜっ返し。「しょうがない」と「生姜」を掛け、「生姜がなければ代用品の茗荷があるだろう」と茶化しています。

「茗荷」はかなり紋切り型ですが、「冥加」と掛けたしゃれ。冥加は仏の恩恵のことで、この場合は「しょうが(=生姜)なくても、まあなんとかなるんじゃないの」くらいの感じでしょう。似た言いまわしでは、江戸で古くから使われた「仕様模様」があります。「仕様」はやり方、手段。模様はこの場合は、仕組むこと、工夫、趣向の意味ですから、ほぼ同じニュアンス。つまり同じ音韻、意味を重ねた強調表現。この後に否定「……がない」が付けば「しょうがない」と同じ意味になります。もう一つ、ストレートに「しょうがない」を表すむだぐちには「生姜苗(=ねえ)茄子苗(=ねえ)田無の市」があります。これは、「ねえ」という否定と「苗」を掛け、江戸郊外の苗市を出したしゃれです。「茄子」はもちろん「しょうがなす」→「しょうがない」のダジャレでもあります。

★auひかり★

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じゃまにならのきむくろんじ【邪魔に楢の木椋ろんじ】むだぐち ことば

スヴェンソンの増毛ネット

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一見すると「邪魔になる」というだけのむだぐち。「なる」と「なら」を掛けているわけです。何回か口に出して唱え、ことばのリズムを味わうと、自然にもう一つダジャレが隠れていることがわかります。「じゃまに」と「山に」です。

最後の「椋ろんじ」。これがなかなか難物です。辞書を引いてみれば、「むくろんじ」はムクノキ。落葉樹で、皮または実を煎じるとぶくぶく泡が出て、シャボン玉の液に。「茶の湯」で、隠居が煎茶の泡を出すのに、青黄粉といっしょにぶち込んだのが、これでした。木自体はなんの変哲もなく、「むくろ(ん)じは三年磨いても黒し」という諺から「進歩がない」ことのたとえでした。「あってもさして役に立たない、うどの大木」ということで「邪魔」とつなげたと思われます。

考えてみれば、ほとんど愚かしいダジャレばかりのむだぐちに、しかつめらしい解釈などは本来、ヤボの極み。遊び心という視点では、これはなにとなにを掛けて後にどうつなげているのか、謎解きのようなおもしろさがあるのもまた確かなのですが。そこで、引っかかった「椋ろんじ」について、木だけに掘り返してみます。以下は、筆者(高田裕史)の私見です。

結論をいえば、これは「むぐらもち」のダジャレ。あの「モグラ」のことです。ではなぜか。答えは、安政4年(1857)初編刊の滑稽本『妙竹林話七偏人』(梅亭金鵞作)に隠れていました。「山椒味噌まであればよい」と。

『七偏人』の主人公は七人の侍ならぬ七人の遊冶郎(=放蕩野郎)。なにかといえば七人が雁首そろえ、遊ぶことしか頭になし。この連中が好むのは茶番です。江戸中あっちこっちで野外芝居の趣向をこしらえ、最後にタネあかしで見物人をあっと言わせるのが生きがい。で、今日も今日とて、ああだこうだとむだぐちを叩きあいながら、相談に余念あリません。その一人、虚呂松(きょろまつ)が、演出に熱が入りすぎて腹が減ったと七輪で餅を焼き始めます。いわく「不器ッちやうに大きな網で、土俵のそとへ二、三寸はみ出すから」。……以下、「邪魔に楢の木」と、このざれぐち。この男、でっぷり太って大食い。キーワードは「餅」とわかります。そこで「むぐらもち」→「モグラ」は太っている人のたとえだと。おまけに「もち」が出ます。最後の「山椒味噌」。山椒の実が丸くてごろごろしているところから「ころり山椒味噌」。これも大食い、肥満の異称です。餅網が大きすぎ、七輪という土俵からふくれた餅がはみ出してコロコロリ。「味噌でもつけて食っちまおう」というところ。これで「むくろんじ」→「むぐらもち」のつじつまがどうにか合いました。

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しくじっぴょうごにんぶち【四九十俵五人扶持】むだぐち ことば

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将棋のむだぐちで、「しくじった」というのを「じった」から「じっぴょう」ともじり、俵取りの御家人の「十俵五人扶持」という安サラリーに掛けています。

意味としてはこれがすべてですが、細かく見ていくと、まだいくつかしゃれが隠れています。「しく」で「四九」→「四苦八苦」を効かせ、八苦よりもさらに重い「十苦」→「重苦」の心で、最下級の侍、御家人の俸禄「十俵」を出します。実は「十俵」自体、「失謬(しっぴょう)」または「失敗」のしゃれになっているので、なかなか手が込んでいます。

いずれにせよ、たかがヘボ将棋でおおげさなことで。「十俵五人扶持」は年間支給蔵米分十俵+扶持米分で、計三十五俵相当。これは幕末の相場ではおよそ十二両と一分。町奉行所同心が三十俵二人扶持で四十俵+袖の下、大工の熊五郎でも、腕がよくて飲む打つ買うさえ控えれば、年間収入十三両くらいはいきますから、まあ暮らしはなんとかカツカツでしょう。

で、しゃれに戻り、最後の「五」はというと、ただの付けたりで済ますよりは、五=悟で、ぶちぎりの負けを悟ったり、とでも考えておきますか。

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しかられたんぼのしいなぐさ【叱られ田圃のしいな草】むだぐち ことば

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叱られてしょげているようすをからかったむだぐちです。同じ形のしゃれに「心得たんぼ」があり、ともに語尾の「た」を「田んぼ」と掛けているだけ。

「しいな草」は萎れて実の入っていない草木や籾殻で「しおれ草」とも。落ち込んでいる精神状態を萎れた草にたとえたものです。

もう一つ、田んぼの「ぼ」は「坊」を効かせた可能性があり、そうなると「叱られん坊」「叱られた子供(男の子)」の意味が加わることになります。

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