「落語ディーパー!」を見る

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 落語ことば 落語演目 落語あらすじ事典 web千字寄席

「落語ディーパー!~東出・一之輔の噺のはなし~」は、落語マニアの俳優、東出昌大の名ゼリフ「これを知らなきゃもったいない」で始まる落語番組。Eテレで。

彼と一之輔、さらに若手落語家たちが、名人上手の映像や音源から一つのネタについて語り合う、芸談中心で構成されている、一風変わったプログラムです。管見ながら、入門、初級コースをうろうろしている落語ファンのために、Eテレが放った「落語中級ファン促成番組」といえる福音です。

これまでの放送は不定期で気まぐれなのでゲリラっぽくて。これからの放送時間もよくわかりません。2019年は「いだてん」のからみで、あるいは、円朝生誕180年もからんで、ちょっと変わったスペシャルもありました。これまでの放送分は以下の通りです。

2017年
7月31日(月) 目黒のさんま
8月7日(月) あたま山 柳家花緑
8月21日(月) お菊の皿
8月28日(月) 大工調べ
2018年
5月6日(日) 地獄八景亡者戯 五代目桂米団治 上方SP
9月3日(月) 明烏
9月10日(月) 鼠穴
9月17日(月) 粗忽長屋
9月24日(月) 居残り佐平次
2019年
1月2日(水) 春風亭昇太 新作SP 吉笑も
3月4日(月) 長屋の花見
3月11日(月) 真田小僧
3月25日(月) 風呂敷 古今亭菊之丞 志ん生SP
3月26日(火) 火焔太鼓 古今亭菊之丞 志ん生SP
9月2日(月) 牡丹燈籠お札さがし 柳家喬太郎 円朝SP
9月9日(月) 死神 柳家喬太郎 円朝SP
9月16日(月) 船徳 
9月23日(月) 時そば
9月30日(月) わさび、小痴楽真打ち昇進SP(古木優)

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雷飛行 かみなりひこう 演目

★auひかり★

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今のところ二代目今輔しかやってない、奇妙奇天烈な珍品です。

【あらすじ】

ころは大正。

なじみの芸者を連れて日光へ遊びにきた男。

ふと好奇心がわいて、芸者を先に東京に帰すと、一人で山奥まで足を踏み入れた。

ところが、慣れない山奥で案の定道に迷い、日も暮れたので困っていると、遠くに人家の灯。

「これはありがたい、一晩泊めてもらおう」
と近づくと、なんと、りっぱなお屋敷。

「はて、こんな所に」
といぶかしがりながら案内を乞うと、取り次ぎに出てきた男
「きさま人間か」

よくよく見ると、素っ裸の虎の革の褌。

ここは日光屋雷右衛門という、雷の元締めの屋敷だったから、男は仰天。

とにかく、中に入れてもらうと、貫禄十分の雷が、座敷で酒をのんでいる。

横を見ると、天人のように美しい娘が一人。

雷右衛門の一人娘で、名前は稲妻とか。

一目惚れした男、娘に酌をしてもらい、あれこれお世辞を並べているうちに、娘もまんざらでなさそうで、いつしか二人は深い仲になった。

実は、例の芸者とも、もう夫婦約束をしてあるのだが、そんなことはきれいに忘れ、ずるずると娘といちゃついて二日、三日と過ぎるうち、とうに二人の仲を悟った雷親父
「オレも野暮なこたあ言わねえ。ただ、こうなったら、家の養子になってもらおう」

もとより惚れた仲、二つ返事で承知したが、先方にはまだ条件がある。

「養子になるんなら、やっぱり雷にならなくちゃあいけねえ」
「へえ、人間でも雷になれますか?」
「そりゃあ、修業しだいよ」

というわけで、雷学校に入って勉強する羽目になった。

東京から来たから、東雷と名を変えて、一心に修行に励むうち、まだ成績が足りないが、元締めの養子だから卒業させてやってよかろうということになり、いよいよ卒業飛行の日。

先生が、
「おい東雷。うっかりすると雲を踏み外して落っこちるから注意しろよ。太鼓のたたき方でスピードが変わるから、むやみにたたいたり低空飛行をするな。それから、てめえは助平だから、飛行中に下界の女なんぞ見ちゃあならねえ。必ず墜落するから」

こまごまと注意され、いよいよ雲に乗って出発。

針路を南に取って、ピカリピカリと稲妻を光らせながら進むうち、いつしか東京上空へ。

浅草あたりに来かかると、実によく下界が見える。

ひょいと見ると、前の婚約者の芸者が、やらずの雷というやつで、男としっかり抱きあっている。

「こら、あんまりそばへ寄るな。私は雷は虫が好かないんです、だって。ばかにしてやがる。一番脅かしてやろう」

焼き餅半分、ゴロゴロガラガラとあんまり電気を強くしたものだから、東雷、あえなく雲を踏み外して墜落。

「あー、恥ずかしい。落第(=落雷)だ」

底本:三代目古今亭今輔

★auひかり★

【しりたい】

大正後期の新作

大正10年(1921)3月の『文藝倶楽部』に掲載された三代目古今亭今輔(1924年没)の速記が、唯一の資料です。

もちろん、ネタ元と思われる笑話などもなく、第一次世界大戦前後の「飛行機ブーム」を当て込んだ新作と思われます。

今輔自身の創作かもしれませんが、これもはっきりしません。

同じ月の『文藝倶楽部』には、これもやがて文明の花形となる自動車を題材にした「自動車の蒲団」(二代目三遊亭金馬・演)の速記もあり、科学文明の時代に突入していく「大正新時代」の世相がしのばれます。

「際物」の宿命として、当然ながら今輔以来、今日まで手掛けた演者はありません。

雷の登場する噺

雷の噺としては「雷の子」「へその下(艶笑)」「雷夕立」などがありますが、いずれも小咄程度で、古典落語では長編は見当たりません。

雷学校

昇学校から宙学、雷学校と、もちろんすべてダジャレ。くすぐりもほとんどダジャレを並べただけです。

たとえば、雷学校で、東雷が教授に質問。

「あそこで勉強しないで遊んでいるのは?」
「フーライ(=風来坊)だ」
「頭を抑えていやな顔をしているのがいます」
「あれはキライ(=嫌い)じゃ」
「雲に乗って行ったり来たりしているのは?」
「オーライ(=往来)」

こんな調子です。東雷先生の本名は中山行夫。本職は会社員としてありますが、これだけはダジャレではなさそうです。

【語の読みと注】
褌 ふんどし

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